今月の音遊人
今月の音遊人:小林愛実さん「理想の音を追い求め、一音一音紡いでいます」
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誰にとっても、今や生活に欠かせない音楽ですが、スマホや携帯音楽機器などによる大音量の音を長時間聴き続けたりすると、聴覚に負担がかかり難聴が生じる可能性があるといいます。WHO(世界保健機構)は2019年2月「世界の若者(12~35歳)の半分にあたる11億人が難聴になるリスクがある」と警鐘を鳴らしました。この若者の「難聴リスク」に対処しようと注目されているのが耳に負担をかけずに音楽を楽しむ「Safe Listening(セーフリスニング)」という概念です。
ヤマハはセーフリスニングを実践するために「よい音を楽しむ」ことと「健康への配慮」の両立を目指し、音量に応じて音のバランスを自動調整する独自の技術「リスニングケア」を開発。2019年12月にはこれを搭載した最初の「耳を守る」完全ワイヤレスイヤホン「TW-E3A」とネックバンド型のワイヤレスイヤホン「EP-E30A」を発売しました。
人の聴覚は周波数帯により感度が異なるため、ボリュームを小さくするほど高音域や低音域が聴き取りにくくなります。それが音量を大きくしてしまう原因の一つです。そこで音質調整をし、音量に応じて音の聴こえ方を最適なバランスになるよう補正するのが「リスニングケア」の技術。音量が小さくても聴きやすい音が再現されるので自然に耳への負担が軽減されます。
新技術の開発当初は、楽器・音響技術と健康を守るという考えが結びつくとは想定されていませんでした。しかし、ユーザーインサイト(本質的欲求、深層心理)調査を行ったところ、WHO の勧告を裏打ちするように長時間音楽を聴くことの多い10代の若者やミレニアル世代(おおむね1980年代以降の幼少期からITになじんできた世代)には、過剰な音が健康へ及ぼす悪影響に不安を感じる傾向があることがわかりました。
ヤマハはこうしたユーザーのニーズに応えるべく、聴覚保護で新しい価値を提案し、さらなる研究を重ねています。「リスニングケア」機能は、今後投入するヘッドホン・イヤホン製品に幅広く搭載していく計画で、これは音・音楽を事業の中核に据える企業の社会的使命でもあります。
2020年9月にはラインナップを拡充し、ネックバンド型の最上位モデル「EP-E70A」を発表。アクティブ・ノイズ・キャンセリング機能を搭載し、筐体自体の高い遮音性とあわせて、音楽への深い没入体験を実現しました。リスニング時の外部ノイズを抑えることも音量の最適化に寄与し、耳を守ることにつながります。なお、2020年11月に「TW-E3A」の後続モデルとなる「TW-E3B」も、新しくラインナップに加わりました。