Web音遊人(みゅーじん)

音座銀座「カントリー&ウェスタンを巡るアコースティックギターの世界」Web音遊人

佐野史郎と高田漣がアコースティックの生音とともに巡るカントリー&ウェスタンの世界

第12回を迎えた『音座銀座(On The Gin Za)』は、会場をヤマハ銀座スタジオに移してのスペシャルバージョンとなった。ナビゲーターは俳優でありミュージシャンとしても活躍する佐野史郎。豊富な音楽知識をベースに、深くコアな話題にまで掘り下げることで毎回人気を博している。今回のテーマは「カントリー&ウェスタンを巡るアコースティックギターの世界」。ゲストはマルチ弦楽器奏者として知られる高田漣。ステージにはギターやフラットマンドリン、バンジョーなどが並び、いつもとはちょっと異なる雰囲気に、期待も高まりつつスタートした。

高田漣は、フォークシンガーの故・高田渡を父に持つ。「渡さんと僕は、吉祥寺の焼き鳥屋でばったり会ったりして」と佐野がご近所トークを始めると、「高校生の頃に佐野さんとお会いしたのも吉祥寺、ニール・ヤングの話をしたのを覚えている」と高田が応じる。最初の1曲はニール・ヤングの『Get Back To The Country』。イントロのフィドル(バイオリン)が心地よい。「ニールはカントリーの巨人といわれるハンク・ウィリアムスが使っていたギターを手に入れ、そのギターに“ハンク”と名付けて、今もライブで使っているんですよ」と高田がレアな話題を披露。ロックの殿堂入りしたニールだが、アメリカのルーツミュージックを大事にしているのだという。 

音座銀座「カントリー&ウェスタンを巡るアコースティックギターの世界」Web音遊人

「3~4歳の頃に、こういう音楽がラジオから流れていた記憶はある」と佐野が次に選んだのは、ハンク・ウィリアムスの『Move It On Over』。ロックの原型ともいわれる曲である。高田が10年来バックをつとめている細野晴臣は、自身をカントリーシンガーと言っているという話から、初期のカントリーミュージックであるヒルビリー、R&Bの元になったレイス・ミュージックへと内容は大きく展開。それぞれ白人と黒人の音楽の話題だったのが、やがてロックンロールに結びつくという『音座銀座』らしいヒストリー談義になってくる。

 カントリーとポップス、2つのチャートでナンバーワンを獲得したエルビス・プレスリー。カントリー・ミュージシャンのチェット・アトキンスはエルビスの初期にギタリストとして参加していた。ジョージ・ハリスンはチェットの影響を濃く受けている……と話が進んだところで、佐野が「チェット・アトキンスのギャロッピング奏法を教えてよ」と促す。高田がアコースティックギターを手に取り、即席のギター講座となる。その後エレキに持ち替え、ビートを効かせながらのピッキングも披露。カントリーの名曲を聴きつつ、フラットマンドリン、バンジョーで触りを演奏、ドブロ(金属の共鳴板を持つギター)でのスチールギター奏法も聴かせてくれたところで、最後は高田渡の名曲『生活の柄』を佐野とデュエット。サプライズのミニコンサートに会場は聴き惚れた。

 すべてを紹介できないのが残念だが、日本のカントリー・ミュージシャン、ウィーリー沖山、ジミー時田から、かまやつひろし、高田渡まで、いつもながらの豊富な内容となった。「これまで、あちこちに飛んでさまざまなジャンルを聴いてきましたが、巡り巡りいろんな音楽にカントリー&ウェスタンのエッセンスが溶け込んでいることがわかった」という佐野の思いをしっかり共有。充実感たっぷりのお得なひと時となった。

さて次回は2017年4月14日(金)、俳優でありギタリストとしても「エド山口&東京ベンチャーズ」を率いて活躍中のエド山口さんをお招きし、エレキ・サウンドの代名詞ともいえる「テケテケ」について、奏法の誕生から後の音楽に与えた影響まで、深く、広く、面白く、語っていただきます。みなさま、乞うご期待!

■第12回 音座銀座スペシャル「佐野史郎vs高田漣 カントリー&ウェスタンを巡るアコースティックギターの世界」曲リスト

トークショーの中で紹介された曲の一覧表です。こちらのPDFファイルをご覧ください

■第13回 音座銀座「佐野史郎vsエド山口 エレキだ!Go!Go!テケテケテケテケ!!」

日時:2017年4月14日(金)開場17:30/開演18:00
場所:ヤマハ銀座ビル1F“ポータル”(東京都中央区銀座7-9-14 )
出演:ホスト・佐野史郎 ゲスト・エド山口
観覧:無料
席数:予約席35名(抽選)※後方に立ち見フリースペースあり(当日先着順)
イベントの詳細・お申し込みはこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:宇崎竜童さん「ライブで演奏しているとき、もうひとりの宇崎竜童がとなりでダメ出しをするんです」

10421views

音楽ライターの眼

連載33[ジャズ事始め]オスカー・ピーターソンを完コピしていた佐藤允彦が本人を前に冷や汗を流して学んだこと

3503views

NU1XA

楽器探訪 Anothertake

アコースティックピアノを演奏する喜びをもっと身近に。アバングランド「NU1XA」

2874views

初心者必見!バンドで使うシンセサイザーの選び方

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!バンドで使うシンセサイザーの選び方

23638views

大人の楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

19585views

ホールのクラシック公演を企画して地域の文化に貢献する/音楽学芸員の仕事

オトノ仕事人

アーティストとお客様とをマッチングさせ、コンサートという形で幸福な時間を演出する/音楽学芸員の仕事

11989views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

11850views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

6140views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

22688views

われら音遊人

われら音遊人:ただ今、バンド活動リハビリ中!

7996views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.7

パイドパイパー・ダイアリー

最初のレッスンで学ぶ、あれこれについて

4727views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10146views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

9794views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

10190views

音楽ライターの眼

伝説のレーベル“ワックス・トラックス!”その栄枯盛衰を描いた映画『インダストリアル・アクシデント』の海外ブルーレイ発売

2351views

鬼久保美帆

オトノ仕事人

音楽番組の方向性や出演者を決定し、全体の指揮を執る総合責任者/音楽番組プロデューサーの仕事

2499views

AOSABA

われら音遊人

われら音遊人:大所帯で人も音も自由、そこが面白い!

11657views

楽器探訪 Anothertake

ピアノならではのシンプルで美しいデザインと、最新のデジタル技術を両立

6703views

東広島芸術文化ホール くらら - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

繊細なピアニシモも隅々まで響く至福の音響空間/東広島芸術文化ホール くらら

13550views

サクソフォン、そろそろ「テイク・ファイブ」に挑戦しようか、なんて思ってはいるのですが

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォンをはじめて10年、目標の「テイク・ファイブ」は近いか、遠いのか……。

8269views

初心者必見!バンドで使うシンセサイザーの選び方

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!バンドで使うシンセサイザーの選び方

23638views

こどもと楽しむMusicナビ

サービス精神いっぱいの手作りフェスティバル/日本フィル 春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」

9387views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30411views