Web音遊人(みゅーじん)

世良公則インタビュー

“あの世良公則”ではなく、“この世良公則”を聴いてほしい/世良公則インタビュー

日本のロック界のパイオニア、世良公則が『あんたのバラード』で鮮烈なデビューを飾ったのは1977年、22歳のときだった。

「当時はストーンズなんかも30代だし、ロックミュージックの現役では一番キャリアがある方でも40歳前。後に20代後半で映画やテレビドラマに出演し、 お芝居の世界でさまざまな年代の役者さんが活躍しているのをみて思ったことは、 音楽も世代を超えてエネルギーやパワーを共有する時代にならなきゃいけないということです 」。そう語る世良はまもなく、当時は“未踏”だった60歳を迎える。アニバーサリーイヤーとなる2015年、常にブラッシュアップを続けてきた世良の“今”を伝えるプロジェクトが次々と発表された。

第1弾として、野村義男とのアコースティック・ユニット「音屋吉右衛門」のライブアルバム『オトコノウタ』をリリース。続く第2弾では、作詞・作曲を奥田民生が手がけ、つるの剛士を相棒に迎えた初のデュオ曲『いつものうた』を発表した。60歳、50歳、40歳の3世代をまたいだプロジェクトにより、世良の思いが実現した形だ。

そして2015年10月14日、第3弾として、いよいよ世良公則監修の史上初のオフィシャルベストアルバム『Premium BEST Songs & Live~いつものうた』が発売される。「ヒット曲、とくにツイストの曲しか知らないけれど、30年来、世良のファンだといってくれる方もいます。最後にライブに足を運んだのは20年、30年前という人も多いと思うんです。今回収録したのは、今、僕がライブでこの歌を届けたい、このメッセージを伝えたいと思っている曲。ヒットではなくてベストということです」。『あんたのバラード』から最新楽曲『いつものうた』までを網羅し、全曲をリマスタリング。世良公則としてはもちろん、GUILD9、音屋吉右衛門、feat. 神本宗幸と、さまざまな形でライブを行う世良だが、それらの魅力が詰まった作品となった。

「“あの世良公則”ではなく、“この世良公則”を聴いてもらえるベスト。“今”の世良を聴いて、ライブに来ていただいたときシンクロするようなものをつくりたかった」。さらに今回のアルバムは、神本宗幸ほかツイストメンバーに、ダグ・アルドリッチ、マーティ・フリードマンら外国人ミュージシャンを加えた「TWIST INTERNATIONAL」による、2003年の伝説の日本武道館ライブを収録した2枚組となっている。初回限定版では、当時、プライベートで世良が撮影していたものを自ら再編集した映像もDVDで初公開される。「今見ても、古いって感じないんですよね。彼らの演奏は、いまだにすごく感動できますし。そのときの自分もとても素直に呼吸していて、ああすればよかったとか、ああしなきゃ、とかがない。もちろん、そのときの僕に何か言いたいかと聞かれたら、“今のオレの方がかっこいいぞ”となるんですが」

世良正則

今後も各地でのライブが目白押しだが、30代後半からはなるべくニュートラルに、そのときどきのあるがままの自分でライブに臨んできた、と世良はいう。自らは水を提供する蛇口でしかなく、オーディエンスはその水をどう飲もうが自由。すべてを聴き手にゆだねる覚悟だ。ステージに立ち、そこに満ちる空気や熱、エネルギーと対峙したとき初めて世良は変化していく。「家に帰ってからもこのフレーズが頭から離れない。ライブに来てくださった方には、そんな瞬間をほんの少しでもいいから持ち帰っていただけたらいいですね」

アルバムで、ライブで。“この世良公則”の音楽は、胸に強く響くに違いない。

■ライブインフォメーション

世良公則ソロ・アコースティックライブ O-kiraku LIVE 2015
 日時:11月14日(土)16:00開演
 会場:東京・シアター1010 

押尾コータロー クリスマス・スペシャルライブ2015(ゲスト出演)
 日時:2015年12月18日(金)18:30開演 
 会場:大阪・サンケイホールブリーゼ

▶ 世良公則 Knock・Knock 2015[音屋吉右衛門/世良公則×野村義男]
 日時:2015年12月20日(日)17:30開演
 会場:東京・よみうり大手町ホール

世良公則 60th Anniversary LIVE「Birth」
 ~タカガウマレタヒ~福岡公演 世良公則×GUILD9
 日時:2016年2月6日(土)19:00開演
 会場:福岡・福岡サンパレス
 出演者:世良公則/GUILD9
 (G.野村義男、Dr.横瀬卓也、B.櫻井哲夫、Key.神本宗幸) 
 ゲスト:つるの剛士、他スペシャルゲストあり

 音屋吉右衛門「さぁ~どこからでもかかってきなさい!!! 2016」
 (世良公則×野村義男)
 日時:2016年3月19日(土)17:00開演
 会場:大阪なんばhatch

■アルバムインフォメーション

『Premium BEST Songs & Live~いつものうた~』
世良公則監修による初のオフィシャルベストアルバム。ツイスト時代の大ヒット曲からソロ時代の代表曲を網羅し選曲した究極盤。
発売元:(株)ドリーミュージック
発売日:2015年10月14日
価格: 5,000円(初回限定盤3枚組、税込)/4,000円(通常盤2枚組、税込)

 

特集

宮本笑里

今月の音遊人

今月の音遊人:宮本笑里さん「あの一音目を聴いただけで、救われた気持ちになりました」

9355views

音楽ライターの眼

ブルース・ホーンズビーが“スパイク・リー三部作”で新たなる飛躍へ

2292views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生

16822views

楽器のあれこれQ&A リコーダー

楽器のあれこれQ&A

リコーダーを長く楽しむためのお手入れ方法

8812views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

10340views

オペラ劇場の音楽スタッフの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

舞台上の小さなボックスから指揮者や歌手に大きな安心を届ける/オペラ劇場の音楽スタッフの仕事(後編)

13809views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

21375views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

8881views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

22730views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

5145views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.8 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

初心者も経験者も関係ない、みんなで音を出しているだけで楽しいんです!

5310views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25450views

桑原あい

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若きジャズピアニスト桑原あいがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

15531views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8542views

ジャズとデュオの新たな関係性を考えるvol.4

音楽ライターの眼

ジャズとデュオの新たな関係性を考えるvol.4

3522views

音楽文化のひとつとしてレコーディングを守りたい/レコーディングエンジニアの仕事(後編)

オトノ仕事人

音楽文化のひとつとしてレコーディングを守りたい/レコーディングエンジニアの仕事(後編)

6145views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:人を楽しませたい!それが4人の共通の思い

6632views

楽器探訪 Anothertake

バンドメンバーになった気分でアンサンブルを楽しめるクラビノーバ「CVP-800シリーズ」

7338views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

24385views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

泣いているのはどっちだ!?サクソフォン、それとも自分?

6013views

楽器のあれこれQ&A

講師がアドバイス!フルート初心者が知っておきたい5つのポイント

19004views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

8881views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25450views