Web音遊人(みゅーじん)

JTBロイヤルロード銀座

日本では出逢えない海外の音楽体験ツアーを楽しんでいただく/海外への音楽旅行の企画の仕事

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を現地で聴きたい。バイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭を鑑賞してみたい。そんな音楽ファンの声を受けて企画されているのが、音楽鑑賞を目的とする海外旅行だ。ラグジュアリー旅行専門のJTBロイヤルロード銀座では、ヨーロッパを中心に年間40コースほどの“音楽の旅”を、「ライブ」ブランドとして企画・販売している。音楽関連ツアーの企画・販売から添乗までを担う原田泰典さんにツアー作りについてお話を伺った。

「ヨーロッパの各劇場や音楽団体が毎年春に出す、秋から翌春の公演情報を入手することからツアー作りはスタートします。資料を送ってもらい、さらにインターネットで最新の情報を確認。こうして集めた情報を一覧化し、ツアープログラムの候補を作っていきます」
メインプログラムは、人気の高いウィーン・フィルやベルリン・フィルなどのオーケストラや、歌劇場などが中心となるが、鍵となるのは海外に行ってまで聴く必然性の有無だ。
「日本からわざわざお出かけいただくわけですから、日本では聴くことができないプログラムを中心に考えます。そのポイントのひとつは『なかなか来日しない指揮者や歌い手などを海外で聴きませんか』というご提案。もうひとつは魅力的な楽曲、演目自体の珍しさですね」
ひとつのツアーコースは概ね8~10日間ほど、その間に複数の公演を鑑賞できるようにプログラムの組み合わせを考える。この組み合わせの妙が、商品の人気を左右するし、もっとも頭を悩ませるところでもある。
「『この公演はぜひ!』というプログラムがあっても、その前後でいい公演がなく、企画を諦める場合もあるんです。できればウィーンとベルリンというように複数の街を楽しんでいただきたい。街と公演の組み合わせを考えるのはパズルのようですね」

音楽の旅「ライブ」

(写真左)ヨーロッパの劇場などの資料。(写真右)JTBロイヤルロード銀座では、音楽の旅「ライブ」ブランドでパンフレットを年3回発行。クラシック音楽鑑賞に特化した、ほかにはない独自のツアー商品を多数揃える。

旅行商品であるからには、観光の充実も欠かせない。それもただ名所を歩くのではなく、“音楽旅行”ならではのアイデアを光らせたい。「音楽家が活躍した街にいるからこそ」の体験をしてもらおうと、企画を練る。
「たとえば、ウィーンでベートーヴェンを聴く日に彼のお墓参りをするというように、音楽家が生まれた街や暮らした街を訪れると、ひとつのストーリーとなって心に残るのでしょう。お客さまからもご支持をいただいています。公演と場所のマッチングがなかなか大変ではありますが、やりがいも大きいですね」
原田さんたちが企画した、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウの世界三大オーケストラを聴くツアーや、ナポリ、ローマ、ミラノのイタリア三大歌劇場を観るツアーなどは、現在も続く人気ツアーとなっている。成功の裏には、長年にわたって現地の関係者と信頼関係を築いてきたことも大きく寄与している。JTBの現地ネットワークを含め、可能な限り手を尽くしてチケットを入手しているのだ。

音楽の旅「ライブ」

JTBロイヤルロード銀座 本店のお客様用サロン。日常を離れた極上の旅を提供するシックな設えとなっている。クラシック音楽旅行の「ライブ」のほかにも、さまざまな旅行企画のブランドを扱う。

中学生のころからのクラシックファンで、音楽旅行では添乗も務める原田さん。音楽好きが集うゆえにこんなエピソードも。
「二日目のご昼食時などで皆さまがお顔合わせとなり、最初はご挨拶といった感じですが、だんだん、音楽の話になると会話が盛り上がってくるんです。私も好きなので、ついついのってしまって……。気が付いたら出発の時間を過ぎてしまい、あとが大変でした」
このようにお客さんと一緒に盛り上がれるのも、音楽という共通の話題があるからこそ。参加者は一回のツアーあたり10名前後なので雰囲気もアットホームだ。
「お一人で参加される方も多いのですが、音楽の話ですぐに打ち解けられるようです。お友達になられた方と次のツアーでご一緒に参加されるというのも、趣味の旅ならではですね」

原田さんは現在の「ライブ」部門に就いて5年ほど。以前は「趣味と仕事は別にしよう」と思っていたが、プライベートで自社のツアーに参加したのを機に「好きなことを活かせる仕事があるのに、目指さなくていいのか」と自問。「ライブ」部門への異動希望を出した。
現在は、持てる限りの知識を結集してツアー作りに励む原田さん。それだけに「この企画は良かった!」と感想をもらえるのが一番嬉しいと話す。それは自分のアイデアが認められたという以上に「日本で出逢えない音楽に触れていただけた喜びが大きい」という。
海外では、日本では知名度の低いとても若い指揮者が音楽監督に就任するなど、新たな潮流が生まれている。少しでも多くの音楽ファンにその魅力を伝えるべく、原田さんは新たなツアーの企画に日々奮闘する。

音楽の旅「ライブ」

「激変する世界のクラシック界の流れを、ぜひ、現地で体験していただきたいと思います」

Q.子どもの頃、なりたかった職業は?
A.まわりのみんなもそうでしたけれど、電車の運転手になりたかったですね。今で言う“テッちゃん”。昔に比べれば熱も薄れていて、マニアではないけれど旅行に鉄道は欠かせませんから、鉄道は今も気になる要素の一つではあります。運行される車両や座席位置にもこだわります。

Q.これまでどんな音楽に触れてきましたか?
A.子どものときから音楽は好きで、小学生の頃は歌謡曲をテレビのランキング番組やラジオでよく聴いていました。アイドルから演歌までいろいろと、口ずさんでいましたね。中学校では音楽の先生が合唱に熱心な方で、クラス対抗の合唱コンクールを毎年開催し、レコーディングもしていたんです。そこで、一人で聴くことからみんなで集まって歌う合唱の世界に入って、その楽しさに目覚めました。高校では合唱部に入って、コンクールを目指し、合唱漬けの日々を送りました。

Q.プライベートでよく聴く音楽は?
A.やはりクラシックですね。国内のコンサートへ行くことはもちろんですが、ウィーン・フィルなどはオーストラリアのラジオ放送局がインターネットでライブ放送をしていますし、ベルリン・フィルは映像も配信しています。これらを利用して最新の情報を得るようにしています。高校生の頃はFM放送のクラシック番組をよくカセットテープに録音していたんです。今は、テープからデータをCD-Rに移して、たまに聴いています。指揮者や楽曲など、レコードでは聴けない組み合わせもありますから、貴重だと思いますよ。

Q.最近、印象に残ったコンサートは?
A.毎年3月に仙台で行われる東日本大震災の復興コンサートを聴きに行くツアーを、インターネットラジオ「OTTAVA」のご協力のもと企画し、添乗してきました。仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏は、被災地をバックアップしていくようなパワフルなもので、とても感動的なコンサートでした。翌日がちょうど3月11日でしたので、被災地での追悼のセレモニーに参加させていただいたことも、大変心に残りました。

Q.休日の過ごし方は?
A.音楽に触れない日はないくらいなのですが、ずっと音楽を聴いてばかりいるのも疲れてしまうので、メリハリをつけています。その一つがプロ野球観戦。昔ながらの雰囲気が残っている神宮球場が好きなんです。屋外で風にあたりながら飲むビールは最高ですよ(笑)。月に1、2回、仲間を募ってみんなでワイワイ観戦すると、リフレッシュできるんです。息子が小学生のときから野球をやっていて、応援にもよく行っていました。

取材協力:JTBロイヤルロード銀座

 

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