今月の音遊人
今月の音遊人:大塚 愛さん「私にとって音は生き物。すべての音が動いています」
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心の奥から絞り出すようなパワーに満ちた声とユーモア溢れるトークで、デビューするやいなやコンサートチケットが入手困難な人気シンガーへと駆け上がった綾戸智恵。衝撃のデビューから20年、かつ還暦を迎えた2017年、集大成ともいえるアルバム『DO JAZZ Gokko』をリリースし、現在このアルバムを中心とするライブ『DO JAZZ LIVE Gokko』で各地をまわっている。2017年12月10日にモーション・ブルー・ヨコハマ行われるライブは、『DO JAZZ LIVE Gokko』のクラブ版のスタートとなるものだ。
アルバムに収録された曲は実に多様で、深くじっくりと歌い上げる『Amazing Grace』から、ドラムが軽やかにリズムを作る『I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free』、さらには、ザ・ローリング・ストーンズの『Honky Tonk Women』やプリンスの『kiss』も入っているというバラエティに富んだラインナップ。いわく「これなら喜んでいただけるという曲。歌えるもの」を集めたアルバムだそうだ。
「どんな曲を歌いたいのか。それは洋服を選ぶときと一緒。気分や。誰かが歌ってるのを聴いて、あ、これ歌いたいなぁって。歌ってみて、似合わへんって言われたらもう歌わへん。若いときは似合わんでもええから歌ってみたいと歌ってましたよ。でも、そろそろこれが自分に適した歌やってわかる年齢になってきたからね」
ライブやメディアで垣間見る綾戸の語り口から、年齢など気にせずに我が道を行っているのだと思いがちだが、然にあらず。60歳を迎えて歌手としての自らのあり方をシリアスに考え尽くした。それは「ゆっくり降りてゆく」ことだという。
「60歳らしくおらなあかんと思ってます。アホなことばっかりは言うてられません。音楽業界にまだまだ貢献してくださいって言われるような、若い人に尊敬されるような年寄りになりたい。そのためには、ゆっくりと坂を降りていきたいんです。登るときはやりたいようにやるけど、降りるときはさすが60歳やねと言われるように。若いときは素材がないから自分を作らなあかんかったけど、この年になったらじわじわと涌いてきます。そのじわじわ涌いてくるもので、ゆっくり降りようと思ってます」
この20年で自分に合う音楽を十分に見極めてきたということだろう。だからこそ、『DO JAZZ Gokko』に収められた曲は誰の曲であっても、綾戸節になっている。似合う服をさらっと着こなして颯爽と出かけてゆく、イキのよい女性の姿が浮かんでくるようだ。
今回のライブはバンド編成であることが聴きどころだ。集まったミュージシャンは凄腕ばかり。演奏に関しては全面的に信頼し、任せているという。
「ここでこう鳴ったらええなぁという音が、所々で入ってくる。その瞬間、あぁ、バンドってええなぁ、って思います。思わぬ所から音がでてくる、千手観音の感覚やね(笑)。コードがわからんでも、これこれって弾くとすぐにわかってくれる。そういうメンバーがうしろにビチッといてくれるから、バンドの音がしっかりできるんです」
モーション・ブルー・ヨコハマのライブは「クリスマス・スペシャル」とも謳っているので、クリスマスシーズンならではの雰囲気も楽しみなところ。さらに、ステージと客席が近いだけに、綾戸とバンドのメンバーがどのように音のやりとりをしているのか、間近で感じられるのも楽しみだ。
61歳になるまで続くという『Do JAZZ LIVE Gokko』。デビューから20年を経てどんな歌を選び、歌っていくのか。まずはヨコハマの地で見て、聴いて欲しい。
「60歳らしく、やりまっせー!」
『DO JAZZ Gokko』
発売元:MYDO
発売日:2017年6月21日
料金:3,240円(税込)
日時:2017年12月10日(日)
1st 16:30開演(15:15開場)、2nd 19:30開演(18:15開場)※入替制
会場:モーション・ブルー・ヨコハマ(神奈川県横浜市)
2017年3月3日(土)ブルーノート名古屋、3月24日(土)大阪ロイヤルホース