今月の音遊人
今月の音遊人:小林愛実さん「理想の音を追い求め、一音一音紡いでいます」
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われら音遊人:震災の年に結成したビッグバンド、ボランティア演奏もおまかせあれ!
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2019.4.12
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラ
土曜日の午後、東京・港区にある区民センターのスタジオの扉を開くと、サクソフォンの心地よい音色が耳に入ってきた。サミー・ネスティコの名曲『ザ・クイーン・ビー』だ。この曲をバンドテーマ曲とするのが「スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラ」。2011年、港区主催のジャズ講座を受講した有志が立ち上げたビッグバンドである。
「八期生の〝八〞と〝蜂〞をかけて、英語の蜂〝ビー〞を使いました」と名付け親の山口虎吉さん。メンバーはそれぞれ仕事などを持つ「働き蜂」だが、力を合わせれば蜂蜜やプロポリスなど、人を喜ばすものを作り出す力がある、という意味が込められている。20名のメンバーの職業は、マスコミ、弁護士、システムエンジニア、金融、医療系、主婦などさまざま。平均年齢は50代。育休中のメンバーを含めると男女比はほぼ半々だ。
パートリーダーの鶴藤(つるふじ)真さんは「講座で初めてトランペットを持った」というが、メンバーは年齢や職業だけでなく、その音楽歴も異なる。
メンバーの増減もあった。2人いたトロンボーン奏者が転勤などで卒業し、頭を抱えていたとき、サクソフォン担当が、バストロンボーンをやると申し出てくれた。さらに同じ講座の他期受講生が加わり、今はトロンボーン4人体制を維持している。このように、難局をその都度乗り越えながら8年の歴史を刻んできた。
練習は月に2回、土曜日の午後。講師の吉田洋輔先生にみっちり指導してもらう。その成果は、港区内外でのイベントのステージで発揮。2018年はすみだストリートジャズフェスティバルにも初参加し、年々、活動の範囲を広げている。
また、ボランティア演奏も活動の大きな柱のひとつ。港区社会福祉協議会の承認団体として、老人ホームや介護施設などに積極的に出向いている。バンドを結成したのが東日本大震災の年だったこともあり、「皆を元気づける活動がしたい、という思いがボランティア活動につながっています」とリーダーの大野雅之さんは語る。
レパートリーはジャズのスタンダードナンバーからスイングアレンジした洋楽やJポップまで、さまざまだ。「聴いた人に心地よい気持ちの変化があれば、うれしい」(サブリーダーの佐藤智美さん)からこそ、聴く人に合わせた選曲を心がけている。
「ビッグバンドの活動継続に不可欠なのは、楽譜と先生と場所の三つ。僕らは楽器を持って参加するのみなんです。たとえうまく吹けなくとも、それは僕らの個性ですから」。山口さんの力強い言葉に、メンバーは笑顔を浮かべ大きく頷いていた。
Q.バンド活動に対する家族の理解は?
土曜日はバンドの練習ですが、日曜日は家族のためにしっかり空けています。ステージを観て、家族も少しだけ僕を見直してくれたようですよ(笑)。
(バンドリーダー:大野雅之さん)
Q.ふだんの練習はどうしていますか?
私は複数のバンドに所属しているので、皆との練習がいちばんの個人練習でもあります。それにはほかのメンバーの音をよく聴くようにしています。また、1か月にどの位の時間と費用をかけたかを記録することで、練習の意欲も湧いてきますね。
(トランペット:山口虎吉さん)
メンバー全員が運営に参加
“皆のバンド”なので、運営も皆で。全員が何らかの役割を担っている。バンドリーダー、サブリーダー、パートリーダーのほか、事務局、会計、楽譜、広報(渉外)、イベント、美術(衣装など)、レクリエーションなどの係があり、役割分担は話し合いで。会計など手間のかかる係は複数人で担当。
講師の指導内容をレポートで共有
練習した曲目や講師からの指導内容などは、毎回、記録係がすべて記録して、全員で共有している。これはメンバーのひとりが自主的に始めたことだが、いまやこのレポートは各自の気づき、バンド全体の上達のカギとして、なくてはならないものになっているという。
伝達事項や情報共有は無料アプリを活用
大所帯であるビッグバンドの連絡ツールとして、無料アプリの「らくらく連絡網」を活用。練習の日程調整や出欠確認、伝達事項などはすべて「らくらく連絡網」でしている。社会人バンドなので月2回の練習は土曜日に固定し、日程は3か月前に告知。その後、時間や場所、練習曲目などを通達する。
会費は練習参加ごとに
バンドは会費制ではなく、1回の練習ごとに参加費として1人1,500円を会計係に支払う。会費制にしないのは、練習になかなか参加できないメンバーもいるため。集めたお金は練習会場の使用料、楽譜の購入費、講師への謝礼、イベントの参加費などに利用している。
●バンド名:Swing Bees Jazz Orchestra
●結成時期:2011年5月
●モットー:吹いてウキウキ!聴いてもっとウキウキ!Happyなひとときを!
●練習頻度:月に2回
●平均年齢:50代
●メンバー:アルトサクソフォン:佐藤智美、尾野明夫、渋谷弘毅、松川奈緒美/テナーサクソフォン:齋藤祥子、高野正幸/バリトンサクソフォン:大野雅之/トランペット:鶴藤真、望月晶子、山口虎吉、西田香織、竹谷智史/トロンボーン:猪俣一朗、青木康次、戸谷真希、鈴木すみれ/バストロンボーン:板東理枝/ピアノ:内垣秀子/ベース:小松聖/ドラム:高木俊博/講師:吉田洋輔(ヤマハミュージックジャパン登録トランペット講師)
●活動内容:東京都港区を中心に、地域のイベントに出演するほか、老人ホームなどでボランティア演奏も行う。
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文/ 蜂須賀裕子
photo/ 赤城耕一
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラ
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