今月の音遊人
今月の音遊人:東儀秀樹さん 「“音で遊ぶ人”といえば僕のことでしょう。どのような楽器の演奏でも、楽しむことだけは忘れません」
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新たな相棒「エレクトリックバイオリン」とともに、ニュープロジェクト始動/牧山純子インタビュー
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2020.6.15
tagged: バイオリン, インタビュー, エレクトリックバイオリン, アレグリア, 牧山純子
ジャズとクラシックの融合をはじめ、バイオリンを手にさまざまなジャンルとのコラボレーションを繰り広げる牧山純子。クラシックのバイオリニストとして研鑽を積みながら、20代後半でバークリー音楽大学に留学し、ジャズの世界に飛び込んだという異色の経歴を持ち、独自のスタイルで幅広い層のファンを魅了してきた。そんな彼女が「牧山純子ニュープロジェクト」名義でリリースした新作『アレグリア』は、フュージョンやスムース・ジャズに大きく舵を切った新境地と言うべきアルバムである。
「私自身はあまりジャンルにこだわりがないというか、ずっとクラシックだけをやってきて、ほかの音楽に出会ったのが遅かったので、いつまでも新鮮な気持ちでいろいろな音楽にトライできているのだと思います。ここ数年はヨーロッパとのつながりが強かったので、ジャズとクラシックを融合させたスタイルが自分としても生み出しやすかったのですが、インディーズ時代にやっていたスムース・ジャズのような音楽を、いつかまたやりたいとずっと考えていました。そして今回、レコード会社を移籍するタイミングで“牧山純子ニュープロジェクト”を立ち上げ、打ち込みやエレクトリック楽器を使ったバンド編成で、新しいことにトライしようと。もっとも、これまでのアコースティックな路線は“牧山純子”名義で並行して続けていきます」
今作はサウンドプロデューサーに安部潤とKay-ta Matsunoを迎え、2019年11月にロサンゼルスでレコーディングが行われた。現地のスタッフやミュージシャンと四つに組んで収録された音は、西海岸の陽射しのように明るく、アーバンな色彩を帯びている。
「メールやデータのやり取りだけでなく、現地のミュージシャンと顔を合わせて録音したかったのと、あの乾いた土地でバイオリンがどう鳴るのかを試したかったのもあり、思いきってロサンゼルスに飛びました。ヨーロッパで弾くのとは違い、カーンと明るく、エンタテインメントな音になっていると感じましたね。その場の楽しい空気を震わせているような。バイオリンというと一般的には哀愁漂う深い音色というイメージがありますが、まわりの人たちやその場の雰囲気によって引き出されるものも多分にあると思います。今回はレコーディングエンジニアも現地のスタッフで、マイクの配置やピアノの調律などにもスタジオごとのこだわりがあるなかで録ったので、ロサンゼルスの音になっているのではないでしょうか」
Junko Makiyama New Project「Brisa de Alegria」(MV)/牧山純子ニュープロジェクト「ブリザ・デ・アレグリア」
収録曲は、牧山オリジナルのほか、牧山と安部の共作曲、Kay-Ta Matsunoの曲、そしてイーグルスやT・レックスのカバーなど、多彩なラインナップとなっている。
「今回はスムース・ジャズやファンクなど、あまり私に馴染みのないリズムがありましたので、まず安部さんにトラックを作っていただき、そこにバイオリンでメロディを考えて乗せるという方法もとりました。一方、アルバム冒頭の『ラ・フェット・デュ・モール』はKay-Taさんになにもリクエストせずに書いていただいた曲ですが、音符で埋めつくされて真っ黒になった楽譜が届いて、“え、これ私が弾くの!?”と青ざめたり(笑)。でも、自分で作曲するとどうしても手癖が出たり、バイオリンで無理なく弾けるほうに流れてしまいがちなので、いい挑戦になりました。『スコッチ・ミスト』は、知り合いのミュージシャンのライブでビートがズレた感じの曲を聴いて面白いなと思ったことをKay-Taさんに話したら、“ローファイ・ヒップホップというジャンルがあるんですよ”と教えていただき、“私、こういうのやってみたいのですが、書いていただけますか?”とリクエストして書いていただいた曲です」
なかでも、レコーディングにいちばん時間がかかったのは『ホテル・カリフォルニア』だったという。やはり万人の知る曲だけに、どこまで原曲に手を入れてよいかの判断が難しかったと語る。同じくカバーの『20th センチュリー・ボーイ』では、エレクトリックバイオリンをギターのように鳴らしているのが印象的だ。
「この曲ではヤマハのエレクトリックバイオリンにエフェクターをつないで弾いたのですが、弾ききっても思いのほか音が長く続くのです。これは、今までにまったく体感したことのない感覚でした。
そういう意味でも、普段弾いているアコースティックのバイオリンとはまったく別物として使おうと思いました。それならば、とことんオシャレで、とことん遊べるものがいいと、ヤマハさんに無理を言って指板を赤く塗っていただいたり。プロの演奏家としては“とことん遊べる楽器”という考え方になりますが、バイオリンにはじめて触れる初心者にとっても、エレクトリックバイオリンの方が音を出しやすいので、良いきっかけになると思います」
このアルバムをもとにしたライブも計画されているとのこと。そちらも楽しみに待ちたい。
【2020年4月8日発売】牧山純子ニュープロジェクトNEW ALBUM「アレグリア」トレーラー映像(ラ・フェット・デュ・モール/インフィニティ/ブリザ・デ・アレグリア)
牧山純子ニュープロジェクト『アレグリア』
発売元:キングレコード
発売日:2020年4月8日
価格:3,000円(税抜)
詳細はこちら
牧山純子オフィシャルサイト
文/ 原典子
tagged: バイオリン, インタビュー, エレクトリックバイオリン, アレグリア, 牧山純子
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