
今月の音遊人
今月の音遊人:上原ひろみさん「初めてスイングを聴いたときは、音と一緒に心も躍るような感覚でした」
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あたたかみのあるデザインと音響を両立した、北海道を代表する音楽の殿堂/札幌コンサートホールKitara 大ホール
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2017.2.16
tagged: ホール自慢を聞きましょう, ホール, 札幌コンサートホールKitara, Kitara
札幌市の中心部に位置し、市民の憩いの場として親しまれている中島公園。札幌コンサートホールKitara(以下、Kitara)は、豊かな緑と水をたたえたこの中島公園の一角にある。Kitaraが誕生したのは1997年7月。「国際都市札幌にふさわしい音楽ホールを」という声に応え、建設構想の策定から6年の歳月をかけて完成した。市民からの公募で選ばれたKitaraという名前には、ギリシャ神話の音楽神アポロンが奏でた「キターラ」と「北」の意味が込められている。
2008席の客席がオープンステージを包み込むアリーナ型の大ホールは、曲線を描く木製の反射壁が客席を取り囲み、天井の音響反射板からつり下げられたシャンデリアが柔らかな光を放っている。あたたかみのある、丸みをおびたホールのフォルムは「どの席に座っても最高の音を鑑賞できること」を目指した結果なのだという。
ホールの正面に立つオルガンは、アルフレッド・ケルン社(フランス)が、Kitaraのために2年の歳月をかけて製作したもの。北海道の針葉樹林をモチーフとしたデザインが施されている。
屋内で人が耳にする音は、直接音(発せられた音そのもの)と反射音(壁や天井にぶつかって返ってくる音)から成り立っている。Kitaraの音響設計は、コンピュータを駆使して初期反射音のシミュレーションを繰り返し、曲線の反射壁を客席にも設置することで、最高の音響効果を実現。反射壁には北海道産のやわらかな木材が使用され、場所によって異なるカーブを描いている。
さらに、オーケストラが発した音をホール全体に拡散させるため、4枚の音響反射板を組み合わせてステージ上部をすべてカバー。音響反射板の高さは10cm単位で上下調整でき、基本的な位置は決まっているものの、公演内容や演奏者の希望によって微調整することもあるそうだ。
ところでKitaraの大ホールは、どこか開放的で軽やかな空気をまとっている。なだらかな曲線を描く明るい色味の木の壁、オーロラのカーテンが輝いているような天井の光。よく見ると、2、3階席前面の壁が垂直ではなく外側にやや傾斜して、空間に広がりを与えていることに気づく。「仕切られている」印象が薄いのだ。そのような居心地のよさも、このホールの大きな魅力だろう。
ステージ後ろから見たホールの客席。
また、中島公園の中というロケーションも、Kitaraの魅力を語るうえで欠かせない。街の喧噪を離れ、木々に包まれた公園の中を歩く。このひとときもまた、これから始まる非日常の時間のワンシーンなのだ。
北海道唯一のプロオーケストラ、札幌交響楽団の本拠地でもあるKitara。地元の人はもちろんのこと、観光で札幌を訪れる人も、ここでコンサートを楽しむことをプランに加えてみてはいかがだろうか。
正面やメインエントランス、大ホールのホワイエなどには、北海道美唄市出身の世界的彫刻家、安田侃(やすだ かん)氏による白いイタリア大理石の彫刻が。
中島公園の南北にある、地下鉄中島公園駅と幌平橋駅からそれぞれ徒歩約7分。ホールまでのアプローチもゆっくりと楽しみたい。
所在地:北海道札幌市中央区中島公園1-15
TEL:011-520-2000
ホール形式:アリーナ形式
席数:2008席
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