Web音遊人(みゅーじん)

サクソフォン講師がアドバイス!ステップアップのコツ

管楽器の中では比較的音が出しやすく、華もあるサクソフォン。今回は、さらなるステップアップを目指すためのアドバイスをお届けします。

Q1.一人で練習することが増えましたが、モチベーションを維持する方法はありますか?

A.複数人で練習できる機会が減ってしまったのはコロナ禍ならではの悩みですよね。私が講師をしている教室では、室内にパーテーションを設けるなどの対策をきちんとして、最大5名までのグループレッスンを再開しています。お一人で練習したいという方は、CD付きの教材で練習されています。

一人で練習しているときには関連する本を読むなどして、練習に向き合う気持ちを高めるのもいいと思いますよ。私は『エフォートレス・マスタリー』をおすすめします。なぜ音楽を演奏するのか、練習にどう向き合うのか、など、さまざまな気づきが得られるすばらしい本です。私はいつも持ち歩いていて、まず数ページ読んでから練習を始めるようにしています。

※『エフォートレス・マスタリー』ケニー・ワーナー著/藤村奈緒美訳
2,310円(税込) ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊

Q2.いい音が出ずにスランプに陥っています。どうしたら抜け出せますか?

A.自分がスランプだと自覚するということは、実はレベルがワンランク上がったことの裏返しだということが多いです。最初は音が出るだけで満足していたかもしれないけれど、その段階を過ぎると、以前はキャッチできなかった微妙な音色も聴こえてくるようになる。その結果、「自分は上達していない」とか「スランプだ」と思って、つまらなく感じてしまうのだと思います。だけど、それは上達していくうえでの大切なプロセスなんですよ。

個人で練習されている方も、そういうときこそ、誰かに見てもらうと解決が早いと思います。私の経験上、アンブシュアに問題がある可能性が高いと思いますが、たとえ5分間のレッスンでも、原因と解決策が見つかるはずです。

Q3.スウィングを上手に身につけるコツはありますか?

A.深いテーマです。スウィングとは楽譜のとおりに演奏すれば表現できるものではないですし、時代やプレイヤーによってもニュアンスが違いますから。おすすめする練習方法は、好きなプレイヤーのフレーズを一緒に歌えるようにして、そのうえで採譜したり、演奏したりしてみることです。そうすると、音の高低だけでなく、アーティキュレーションも捉えやすくなりますよ。

私がおすすめするプレイヤーを3人挙げておきます。まず、ソニー・スティット。スウィング感も抜群ですし、拍をまたいだりしない素直なフレーズが多いので一緒に歌いやすいと思います。あとは私の好みですが、スタン・ゲッツのスウィング感は神がかったところがありますし、キャノンボール・アダレイのスウィングは弾むぐらいに深くて、聴いていて気持ちがいいですね。

Q4.毎日できる短時間のエクササイズはありますか?

A.毎日やるというのであれば、楽器を吹くこと以前に、ブレスの練習をするのが効果的ですよ。音がしっかり鳴るときというのは、振動が楽器だけでなく身体にも伝わっているものです。深い息が身体の中を循環することを意識して、毎日少しずつでもブレスの練習をすると、いざ楽器を持ったときに本来の鳴りを感じることができると思います。

また、サクソフォンのステップアップに必要になるのは、脱力することです。例えば、強い音を出そうと思って息を吹き込もうとすると、かえって圧力が生まれて音が出にくくなってしまう。また、無理な姿勢で吹いていると長く続かない。自分の身体に対して繊細になって、口も指も身体全体の余計な力を抜いて、自然に楽器と向き合える身体づくりが大切だと思います。

協力:ヤマハミュージックレッスン 佐藤渉 講師

楽器に関する疑問・質問大募集!

音楽情報誌「音遊人」とWebマガジン「Web音遊人」では、楽器に関する疑問や質問を募集しています。ぜひ、お聞かせください!
詳細はこちら

facebook

twitter

特集

川井郁子さん

今月の音遊人

今月の音遊人:川井郁子さん「私にとっての“いい音楽”とは、別世界へ気持ちを運んでくれる翼です」

10684views

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase15)ブルックナー生誕200年、「交響曲第3番」第1稿の怪物性、ワーグナーファンの受難

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase15)ブルックナー生誕200年、「交響曲第3番」第1稿の怪物性、ワーグナーファンの受難

1356views

最新の音響解析技術で低音域のパワフルな音量と響きを実現

楽器探訪 Anothertake

アコースティックギター専用の音響解析技術で低音域のパワフルな音量と響きを実現

10327views

楽器のあれこれQ&A

エレクトーンについて、知っておきたいことや気をつけたいこと

26292views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:和洋折衷のユニット竜馬四重奏がアルトヴェノーヴァのレッスンを初体験!

5467views

オトノ仕事人

最適な音響システムを提案し、理想的な音空間を創る/音響施工プロジェクト・リーダーの仕事

2227views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

25199views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

6326views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

12176views

Red Pumps BIGBAND

われら音遊人

われら音遊人:出自がさまざまなメンバーと、誰もが楽しめる音楽をビッグバンドで

1038views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

8684views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

26235views

大人の楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

19903views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

13275views

音楽ライターの眼

指揮界の革命児、クルレンツィスがベートーヴェン・イヤーに放つ衝撃的な「運命」

4617views

ホールのクラシック公演を企画して地域の文化に貢献する/音楽学芸員の仕事

オトノ仕事人

アーティストとお客様とをマッチングさせ、コンサートという形で幸福な時間を演出する/音楽学芸員の仕事

12334views

われら音遊人

われら音遊人:ただ今、バンド活動リハビリ中!

8198views

楽器探訪 Anothertake

存在感がありながら他の楽器となじむシンフォニックなサウンドが光る、Xeno(ゼノ)トロンボーンの最上位モデル

5776views

札幌コンサートホールKitara - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

あたたかみのあるデザインと音響を両立した、北海道を代表する音楽の殿堂/札幌コンサートホールKitara 大ホール

18436views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

あれから40年、おかげさまで「音」をはずさなくなりました

4808views

楽器のあれこれQ&A

サクソフォン講師がアドバイス!ステップアップのコツ

2558views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

7770views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

31119views