Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:伊藤千晃さん「浜崎あゆみさんの『SURREAL』は私の青春曲。今聴くとそのころの記憶があふれ出ます」

AAAを卒業し、2018年からソロアーティストとして活動する伊藤千晃さん。2021年6月にミニアルバム『sheer』をリリースし、そのニューアルバムを引っ提げてのZeppツアーも決定しています。常にブラッシュアップされた“今”を見せてくれる彼女に、音楽の原点や現在の音への思いをうかがいました。

Q1.これまでの人生の中で一番多く聴いた曲は何ですか?

この業界に入るきっかけにもなった、浜崎あゆみさんの『SURREAL』です。

私は10代で音楽に興味を持ち始め、浜崎あゆみさん、globeさん、Every Little Thingさんなどエイベックス・サウンドを聴いて育ちました。音楽だけでなく、ミュージックビデオもとても好きでしたね。当時は壮大なものが多くて、音楽と映像が融合した何て美しい世界なんだろう何て夢のある作品なんだろうと心を打たれ、この仕事に就きたいと強く思うようになりました。
なかでも『SURREAL』は、曲はもちろんですが、ミュージックビデオの世界観がそのころの自分の興味とぴったりマッチしていて、もう何回も聴きました。それから作詞家や作曲家を調べて、その方がいろいろなアーティストに楽曲提供していることを知り、そこから派生してさまざまな音楽を聴いて……。単に聴くだけではなく、どんな人たちが関わって音楽が生まれているのかに興味を持つようになったのもこの曲がきっかけでした。
『SURREAL』は私の青春曲なので、今聴くとそのころの記憶があふれ出てきて、 “エモい”というか感情をかき立てられるというか……。感情を揺さぶられ過ぎると日常生活に支障をきたすタイプなので(笑)
私にとって聴くのに覚悟がいる曲ですが、初心に戻ったり、気持ちが緩んでいるときに聴いたりするには、とてもいいです。

Q2.伊藤さんにとって「音」や「音楽」とは?

体の一部みたいなものだと最近感じます。あらためてそう思うようになったのは、息子が生まれてからですね。
私が息子に教えてあげられることは何だろう。そう考えたとき、音を楽しむことだと思いました。
20代のときには音楽に振り回されて傷つくこともあったし、本来楽しむべき音楽が楽しくなくなってしまった時期もありました。でも音は自分の人生を豊かにしてくれたし、音楽に救われて楽しい人生を過ごせています。そう考えると、音や音楽はもう体の一部。息子にも同じように、自分に当たり前に備わっていると感じてほしいと思ったんです。
まもなく4歳になるのですが、ピアノやドラムを習わせたり、現場に連れて行ったときに楽器に触れさせたりしているのですが、子どもの吸収力ってすごい!と驚く日々です。ギターはまだ弦を押さえられないので、好きなときに触れられるよう子ども用の小さいギターを家に置いています。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

真っ先にOvall(オーバル)さんを思い浮かべました。私はソロになってからバンドの音にハマっているのですが、そのきっかけとなったのがOvallさんなんです。その音楽を最初に聴いたとき、音だけでこんなに楽しくできるの!?と感動しました。
以前は曲の完成形がよければOKという感覚だったのですが、曲を構成する一つひとつの音を細かく聴くようになりました。そうやって音楽をつくっていくことでまた違う世界が開けてくるような気がしています。
彼らに“ドハマリ”することになったのが、奇跡的に巡り合えたライブでした。仕事で大阪に行ったとき、担当してくれたメイクさんに「最近、Ovallにハマってるんですよね」と話したところ、実は彼もOvallファン。その日ちょうど大阪でライブがあると教えてもらったんです。しかも会場はたまたま仕事帰りに行ける場所!急いでチケットを取って行きました。
ライブでお客さんを見ると、みんなものすごく気持ちよさそうな顔で聴いているんです。私が表現してきたのはダンスミュージックだったので、みんな熱量が高くてウォー!というテンション。だから、まったく違う世界を見たような気がして衝撃を受けました。人をこんなにも心地よく楽しませる音があるんだって。
大阪でそんなすごい経験をして戻ってきてから、ますますバンドの音に興味がわいて、自分の音楽の方向性も変化しました。いまは、やっていて気持ちがいい音にしたいとチャレンジしている最中です。

伊藤千晃〔いとう・ちあき〕
2017年AAAを卒業。2018年よりソロ活動を開始。2021年6月、『Be』以来約1年半ぶりとなるミニアルバム『sheer』をリリース。アーティストのみならずモデル、タレントとしても多方面で活躍。そのマルチな才能を活かし、ライフスタイルブランド『KIKI AND DAYS』のブランドディレクターを務める。ファッションやコスメへの興味・知識が豊富で、SNSを通して若者や同年代を中心に幅広い年齢層から支持されている。
オフィシャルサイトはこちら

特集

今月の音遊人:清塚信也さん

今月の音遊人

今月の音遊人:清塚信也さん「音楽はあやふやで不安定な世界。だからこそ、インテリジェンスを感じることもあります」

11573views

音楽ライターの眼

シューベルト「弦楽五重奏曲」、C調言葉は変幻自在/宮田大と仲間たち~ウェールズ弦楽四重奏団と共に~

6022views

トランスアコースティックピアノ™

楽器探訪 Anothertake

音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」

3768views

楽器のあれこれQ&A

ドラムの初心者におすすめの練習方法や手が疲れないコツ

10198views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

9891views

音楽文化のひとつとしてレコーディングを守りたい/レコーディングエンジニアの仕事(後編)

オトノ仕事人

音楽文化のひとつとしてレコーディングを守りたい/レコーディングエンジニアの仕事(後編)

5841views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

20249views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

6661views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

13473views

われら音遊人

われら音遊人:ただ今、バンド活動リハビリ中!

7632views

サクソフォン、そろそろ「テイク・ファイブ」に挑戦しようか、なんて思ってはいるのですが

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォンをはじめて10年、目標の「テイク・ファイブ」は近いか、遠いのか……。

7921views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

24740views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:和洋折衷のユニット竜馬四重奏がアルトヴェノーヴァのレッスンを初体験!

4536views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

10992views

ジャズとロックの関係性

音楽ライターの眼

ジャズ・ギターとビートルズの出逢い~『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』が生まれるまで

3528views

楽器博物館の学芸員の仕事 Web音遊人

オトノ仕事人

わかりやすい言葉で、知られざる楽器の魅力を伝えたい/楽器博物館の学芸員の仕事(後編)

8234views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

4830views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカで音楽好きの子どもを育てる

13839views

サントリーホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

クラシック音楽の殿堂として憧れのホールであり続ける/サントリーホール 大ホール

21909views

サクソフォン、そろそろ「テイク・ファイブ」に挑戦しようか、なんて思ってはいるのですが

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォンをはじめて10年、目標の「テイク・ファイブ」は近いか、遠いのか……。

7921views

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

楽器のあれこれQ&A

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

8526views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

5204views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

9629views