今月の音遊人
今月の音遊人:今井美樹さん「私にとって音楽は、“聴く”というより“浴びる”もの」
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〈「音大を出てどうする?」の答えが見つかる!〉の副題が強いインパクトを与える新刊『「音大卒」は武器になる』が話題をよんでいる。
著者は現在、武蔵野音楽大学で音大生を社会に送り出す就職指導のプロ。独学のピアノとショパンをこよなく愛し、「音大は憧れの的だった」と笑う元銀行員、大内孝夫だ。銀行で多くの新人を育ててきた大内の目に、音大生は「ひとつのことに継続、集中して取り組める、すばらしい人材」と映った。
「部下にしたい人材がたくさんいる、と思いました。音楽の世界ばかりでなく、もっと広くさまざまな分野で活躍できると思ったのです」
その理由にも説得力がある。
「音大生は長年の厳しいレッスン経験から、目上の人に物怖じせずに礼儀正しく接し、対等に会話できる力をもっています。また、少しくらい怒られてもめげない力も身に付けていて、さらには、本番に向けて何がなんでもやりとげるという根性もあります。音楽を学ぶことで培われたこうした能力こそ、社会に出てから必要とされるスキルなのです」
しかし、音大から一般企業への就職は不利、という思い込みは根強い。
「それは、採用する側が、まだ音大生の潜在能力に気付いていないからです。経済学や法律を学ぶのも音楽を学ぶのも、その目的は、学びを通して人格を形成し、社会で通用する人間になることです。目的はみな同じなんですね。また、会社で必要となる知識は入社後に学べば身に付けられますが、コミュニケーション力や粘り強さといった力は会社で身に付くものではありません。社会人として最も必要とされる能力を、音大生はすでにもっているのです」
実際に大内のアドバイスを受け、金融機関に就職した卒業生が、社内試験や資格試験などに次々とパスし、着実にキャリアを築いているという。音楽に打ち込んだ経験は確実に成果を出している。音楽という単一の価値観から少し発想を広げれば、活躍の場も広がり、社会全体にとっても大きな力となるはずだ。
「音大生は他の一般大学生と比べても圧倒的に勉強しています。ぜひ自信をもって自分に合った幸せなキャリアを築いてほしい。そして世の中の人にもっと音大生の力を知ってほしい。その願いを込めて執筆しました」
音大生やその保護者はもちろん、「企業人にこそ読んでほしい」と語る。これまでにない視点から音大を分析し、音楽を学ぶことに自信をもたせてくれる異色のキャリアガイド。勇気がわいてくる一冊だ。
『「音大卒」は武器になる』
著者:大内 孝夫
発売元:ヤマハミュージックメディア
発売日:2015年1月22日発売
価格:1,600円(税抜)
詳細、ご購入は「ヤマハミュージックWebshop」サイトをご覧ください。
文/ 芹澤一美
photo/ 柏弘一郎
tagged: 「音大卒」は武器になる, 大内孝夫
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