Web音遊人(みゅーじん)

パワフルな歌に子どもたちが大泣きしたことも!?2021年は特別版の丸美屋食品ミュージカル『アニー』/マルシア インタビュー

1924年からアメリカで連載されていた新聞漫画をもとに、1977年にブロードウェイで誕生したミュージカル『アニー』。日本テレビでは1986年から上演され、2017年には演出家、山田和也を迎えて大幅にリニューアル。変わらない感動と新鮮さを常に保ちながら、多くの人々を魅了してきた。
2020年は新型コロナウイルスの影響で全公演が中止となったが、2021年4月24日~5月10日、東京・新国立劇場 中劇場で約1年越しとなる27公演が実現する。
これまでは休憩をはさんで1部と2部で構成されてきたが、今回の公演はシーンを厳選し、内容を凝縮してクオリティと感染症対策を両立させた90分の特別バージョン。同ミュージカルでハニガン役を務めるマルシアに、『アニー』の魅力や今回の公演への思いを伺った。

あまりの怖さに子どもたちが泣き出す!?

舞台は世界大恐慌直後、1933年のニューヨーク。11年前に孤児院の前に置き去りにされたアニーは、いつか両親と暮らせる日が来ると信じて、明るく前向きに生きていた。そんなアニーたちにとって恐怖の存在なのが孤児院の院長ハニガン。マルシアは、2017年に山田の演出で刷新された『アニー』で同役を演じ、今回は4年ぶり2度目の出演となる。
「昨年は、大丈夫!と自分に言い聞かせる反面、本当に大丈夫?というふたつの“大丈夫”を抱えながら半分まで稽古が進んでいたところで、中止が決定しました。本当に残念で悔しい思いでしたが、厳しいオーディションを勝ち抜いてきた子どもたちが一番つらいだろうと思うと胸が痛かったですね。ほぼ同じキャストでのぞむ今回の舞台は、楽しみでしょうがないです」
2017年、マルシアが演じたハニガンはとにかくパワフルだった。
「最初に台本を見たときには、ワォ!と思いました。セリフも多くて歌もたっぷりあるので、責任が多い役だと。でもやっているうちに、自然とハニガンができたのは不思議でした」
役づくりのため、マルシアはいつも台本にはないことを探り出す。時代背景を深掘りし、その役のプロファイルを自分でつくるのだという。そうやって生まれたマルシア ハニガンには、子どもたちに負けないエネルギーが宿る。
『アニー』はクリスマスコンサートも名物となっているが、マルシアが2019年そのコンサートに参加した際のこんなエピソードがある。
彼女が歌い終わると、子どもたちが大泣きし始めたという。感動の涙?いや、恐怖の涙だった。怖いよ~!と泣き叫ぶ子どもたち。爆笑する大人たち。
「私はそういうつもりはなかったのだけれど(笑)、4年ぶりとなる今回も怖いと思われる、パワフルなハニガンでいられたらいいなと思います。自分の細胞のなかにハニガンがいるのは確かですが、今回は新しいスパイスを入れて、新たなチャレンジをしてみたいという気持ちもありますね」

それぞれの役の心の声を歌で聴いてほしい

『アニー』といえば、真っ先に『トゥモロー』の明るい歌声を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。こうした音楽は、『アニー』の大きな魅力だ。
「『トゥモロー』は名曲ですし、アニーによって色が変わるので、今回はどうなるか楽しみにしていただきたいですね。そして、ほかのどの曲も面白くて、それぞれの役にぴったりなものになっています。一曲一曲がとても丁寧につくられているので、私たち役者はとても責任が大きいと思います。ミュージカルのナンバーは、エンターテイメントとして楽しむものだけでなく、その役の心境や心の声、叫びを言葉にして歌っている部分も多いんです」
それがミュージカル音楽の良さであり、そんなふうに聴き分けて楽しんでいただけたらと話す。
「ミュージカルでは歌にしろ、セリフにしろ、発声をしっかりし、一つひとつの言葉を大事にして伝えることはとても大切です。とくに今回は凝縮されたバージョンでセリフ回しが早いところもあり、より鮮明にクリアにお伝えしたいと思っています」

『アニー』は、2021年で36年目を迎える。マルシア ハニガンはじめ、キャストみんなが1年間ため込んだパワーと思いを特別な90分に詰め込んで、魅せてくれることだろう。
「今という時代にぴったりな、今だからこそより心に響くミュージカルではないでしょうか。“未来を信じて、あきらめない”というメッセージを世界中の方々に伝えられる作品だと思っています」
2021年しか観ることができない(であろう)、スペシャルなアニーの世界から目が離せなくなりそうだ。

■丸美屋食品ミュージカル『アニー』

日時:2021年4月24日(土)~5月10日(月)
会場:新国立劇場 中劇場
料金:8,700円(税込・全席指定)
※4月28日(水)のみ6,700円(税込)
出演:藤本隆宏、マルシア ほか
詳細はこちら

特集

坂本龍一さん

今月の音遊人

【プレゼント】今月の音遊人:坂本龍一さん「かつて観たテレビアニメの物語は忘れたけど、主題歌は鮮明に覚えている。音楽の力ってすごいよね」

15630views

音楽ライターの眼

『ヤマハのオト〜奏でる匠のオト〜Ⅲ』アルバムレヴュー

2954views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカで音楽好きの子どもを育てる

13854views

楽器のあれこれQ&A リコーダー

楽器のあれこれQ&A

リコーダーを長く楽しむためのお手入れ方法

5716views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

9905views

仁宮裕さん

オトノ仕事人

アーティストの音楽観を映像で表現するミュージックビデオを作る/映像作家の仕事

13669views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

7253views

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

こどもと楽しむMusicナビ

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

13387views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

11016views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:人を楽しませたい!それが4人の共通の思い

6310views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.7

パイドパイパー・ダイアリー

最初のレッスンで学ぶ、あれこれについて

4522views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

9653views

ホルンの精鋭、福川伸陽が アコースティックギターの 体験レッスンに挑戦! Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ホルンの精鋭、福川伸陽がアコースティックギターの体験レッスンに挑戦!

10545views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

23490views

音楽ライターの眼

連載1[多様性とジャズ]ジャズはなぜ20世紀に求められたのかを“個人主義”という視点で考えてみると……

1984views

出演アーティストの発掘からライブ制作までを一手に担う/ジャズクラブのブッキング・制作の仕事 (前編)

オトノ仕事人

出演アーティストの発掘からライブ制作までを一手に担う/ジャズクラブのブッキング・制作の仕事 (前編)

16266views

if~

われら音遊人

われら音遊人:まだまだ現在進行形!多くの人に曲を届けたい

929views

【楽器探訪 Another Take】ベルの彫刻デザインとマウスピースも一新

楽器探訪 Anothertake

ベルの彫刻デザインとマウスピースも一新

9093views

ホール自慢を聞きましょう

歴史ある“不死鳥の街”から新時代の芸術文化を発信/フェニーチェ堺

8088views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.8 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

初心者も経験者も関係ない、みんなで音を出しているだけで楽しいんです!

5072views

初心者におすすめのエレキギターとレッスンのコツ!

楽器のあれこれQ&A

初心者におすすめのエレキギターと知っておきたい練習のコツ

21293views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

5212views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

24769views