今月の音遊人
今月の音遊人:城田優さん「音や音楽は生活の一部。悲しいときにはマイナーコードの音楽が、楽しいときにはハッピーなビートが頭のなかに流れる」
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マーチングドラムには楽器としてどのような条件が求められるか、スネアドラムを通して見ていきましょう。
まず必要なのは、広い場所で、遠く離れた観客まで音を届ける「音量」。
「マーチングスネアドラムの場合、コンサート用に比べて胴(シェル)が深く、迫力ある音量を出すことができます。また、ヘッドのテンション(張りの強さ)を限界近くまで上げて極端なハイピッチ(高い音程)に調整し、太めのスティックで叩いて音を遠くに飛ばします」(岡本さん)
ただし、きつく張ったヘッドを太めのスティックで叩くとなると、ヘッドや木材で出来た楽器本体に大きな力がかかることになります。そこで必要になってくるのが「強度」。
「ヘッドには強化繊維を使ったものを採用し、要所に金属を多用することで強度を上げています。とはいえ金属は重量があり、重くなると奏者への負担が増えるため、金属のなかでは軽量なアルミニウム(アルミ合金)を使っています。『軽量化』も、マーチングドラムに欠かせない条件です」(岡本さん)
さらにマーチングスネアドラムならではの特徴として、複数の奏者が同じチューニングの音を同時に鳴らすことで、ひとつのドラムを演奏しているような音響を表現することがあります。
「複数台で完成された音響にするため、一台の音は板を叩いているような切れの良さが求められます。そこで裏面ヘッド(下側のヘッド)に張る響き線を、コンサート用の金属製のものではなく、余韻の短いナイロン製のものにしています」(岡本さん)
楽器には音色の良さ、耐久性、デザイン性の高さなど、さまざまな要素が求められますが、マーチングドラムにとっては音量と強度のアップと軽量化が不可欠であることがわかりました。
Take3では、マルチタムとバスドラムの詳しい特徴についてお伝えします。
Take1:見て、聴いて、楽しいマーチング
Take2:マーチングドラムの必須条件とは?
Take3:これからのマーチングドラム~楽器の進化の可能性~
文/ 武田京子
photo/ 村上一光
tagged: 楽器探訪, マーチングドラム, マーチングスネアドラム, マーチングマルチタム, マーチングバスドラム
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