今月の音遊人
今月の音遊人:矢野顕子さん 「わたしにとって音は遊びであり、仕事であり、趣味でもあるんです」
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自身を見つめる時間のなかで紡ぎ出された「大人のための子守唄」/木村大インタビュー
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2021.5.13
クラシックギタリスト、木村大のデビュー20周年アルバム『memory-go-round』は、聴く者の記憶の奥底に眠る風景をふっと呼び起こすような、静かなエモーションをたたえた作品である。
「最初は、これまで共演した方々に参加していただくような、お祭り的なアルバムを計画していました。けれどコロナ禍になって、自分自身と向き合う時間が長くなり、過去を振り返ったり、日常の些細なことが目にとまるようになってきたとき、たまたま高倉健さん主演の『あなたへ』という映画を観たんです。そのなかで、田中裕子さんがどこかで聴いたことのある素敵なメロディを歌うシーンが印象に残って、調べたら宮沢賢治の『星めぐりの歌』でした」
まるで「自分のための子守唄」のように響くこの曲に着想を得て、オリジナル曲を書いたり、既存曲と組み合わせたりしながらアルバムのコンセプトを練っていくなかで、自分だけでなく「大人のための子守唄」として届けたい作品ができ上がっていったという。
「今回は音数をどんどん削いでいくことで、アルバム全体のトーンを作っていきました。そのために、あえて全曲ピアノでアレンジをして、必要な音をセレクトしていったり。テクニカルな奏法も使わず、すべてを丁寧に爪弾くことで、ひとつの音に説得力を持たせるという、クラシックギターの原点に帰るような感覚でしたね」
ライナーノーツにコピーライターの野澤幸司による言葉が一曲ごとに添えられていたり、ミュージックビデオが複数作られていたりと、音楽だけではない表現が重視されているのも特徴的だ。
「僕にとってもっとも大きな存在であるギタリストのアンドリュー・ヨークは、自分の作品をいつも“歌”と呼んでいます。歌詞のないギター曲だからこそ、聴く人それぞれが言葉と結びつけたり、映像を連想したりしやすいのではと思い、音楽、言葉、映像が三位一体となってひとつの作品となるよう考えました」
そのアンドリュー・ヨークも今作のために書き下ろし曲『スカイズ・エンド』を提供し、セッションで二曲参加している。
「アンドリューをはじめ、さまざまな音楽家とのセッションを通して感じたこと、学んだことを、これからの自分のソロギターに落とし込んでいけたらと思っています」
木村大〔きむら・だい〕
1982年、茨城県土浦市生まれ。5歳より父、義輝に師事し、ギターと音楽理論を学ぶ。96年、14歳のときにギターのコンクールでは世界最高水準と言われる第39回東京国際ギターコンクールで優勝。17歳でCDデビューして以来、これまでに10枚以上のアルバムを発表している。2002年より2年間、ロンドンの英国王立音楽院に留学。ピアニストの榊原大をはじめ、さまざまなフィールドのアーティストとも共演し、唯一無二のギタリストとして、今後のさらなる活躍が期待されている。
オフィシャルサイト
発売元:キングレコード
発売日:2021年3月10日
価格:3,300円(税込)
7月4日(日)スターピアくだまつ 大ホール(山口県下松市)
7月11日(日)まほろ座MACHIDA(東京都町田市)
9月10日(金)東京文化会館 小ホール(東京都台東区)
9月11日(土)戸塚区民文化センター さくらプラザ(神奈川県横浜市)
9月12日(日)北九州市ウェルとばた 大ホール(福岡県北九州市)
11月13日(土)SAYAKAホール 小ホール(大阪府大阪狭山市)
11月14日(日)デサフィナード(和歌山県和歌山市)
11月16日(火)京都文化博物館 別館ホール(京都府京都市)
12月11日(土)かじまちヤマハホール(静岡県浜松市)
※公演の詳細と追加公演情報はオフィシャルサイトでご覧ください。
文/ 原典子
photo/ 坂本ようこ
tagged: クラシックギター, ギター, 木村大, インタビュー
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