今月の音遊人
今月の音遊人:上原ひろみさん「初めてスイングを聴いたときは、音と一緒に心も躍るような感覚でした」
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歴史的ギターの音を生で聴けるコンサートも開催!
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2016.3.8
tagged: ギター, 楽器博物館探訪, ギター文化館, マヌエル・カーノ, アントニオ・デ・トーレス, カーノ, トーレス
アントニオ・デ・トーレスをはじめとする歴史的ギターを収蔵している施設。その情報だけを頼りにギター文化館の扉を開けると、間違いなく意表を突かれるでしょう。最初に目に飛び込んでくるのは、高い屋根を有した円形のホール。ドーム型の天井の内側には、ギター材にも使われているスプルースが全面に張り付けられ、ホール全体が木のぬくもりに包まれているかのようなつくりになっています。つまりこの建物自体が、ギターの生音を響かせるのに最適なホールとして設計されているのです。
スタッフの方の好意で、特別に1882年製のトーレスをステージで弾かせていただきました。技量などに関係なく、まずトーレスの力強くも優しい音色に心を打たれます。
「国内のギター製作者に随時修理を依頼し、いつでも弾ける状態に保っている。だから音が寝ていない」とスタッフの方はいいます。まさにその通り。130年を超えたギターとは思えないコンディションの良さに驚きます。
そしてホールは、ドーム型の屋根から音が降り注ぐような響きをかもし出します。世界中の名演奏家がボランティアに近い形でこの舞台に立つそうですが、キャパシティ100名の客席との親密さも含め、この環境ならよろこんで演奏してくれると想像できます。
2016年も毎月プロによる様々な公演が予定されています。また、シニア限定のギターコンクールやフリーコンサートなど、一般のギター愛好家にもこのステージは解放されるそうです。
また、そのホールの外周を囲む壁には、世界各地から集められた様々な撥弦楽器(弦をはじいて演奏する楽器)が飾られています。そして、その一角にはトーレス・コレクションの部屋。ステージの左右には、試奏できるギターが何本も置かれています。会員20名からなるギター製作クラブもあり、製作コンクールを経てギター工房を開いた人もいるとか。
そうした弾く、聴く、見る、作るといった、ギターに関わる様々な興味がここに集まっている。だから展示目的の博物館ではなく、総合的で能動的な意味合いを持つ文化館と名付けたそうです。
19世紀のアントニオ・デ・トーレスに端を発し、20世紀のマヌエル・カーノの意志を引き継ぎ、21世紀のギター文化へとつなげていく。そんな人々の思いが詰まったこの場所で聴くトーレスの音色は誰をも魅了するでしょう。様々な公演に合わせて訪れることをお勧めします。
所在地:茨城県石岡市柴間431-35
アクセス:JR常盤線羽鳥駅よりバス10分
文/ 田村十七男
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