今月の音遊人
今月の音遊人:石丸幹二さん「ジェシー・ノーマンのような表現者になりたい!という思いで歌の世界へ」
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まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール
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2016.5.12
tagged: ホール自慢を聞きましょう, サラマンカホール, 岐阜県, パイプオルガン
スペインのサラマンカ市との交流にちなんで命名された「サラマンカホール」。正面のパイプオルガンは、岐阜県白川町の辻オルガンによって製作されたスペイン様式とドイツ様式が独創的に組み合わされたオルガンだ。地元の工房で、昔ながらの建造法にこだわって造られたパイプオルガンを持つ、全国でも珍しいホールを訪ねた。
交流のきっかけはパイプオルガンだった。旧市街全体が世界遺産に登録されているサラマンカ市。そこの大聖堂にあった16世紀に造られ傷みの激しかったパイプオルガンを、岐阜県白川町に工房を構えるオルガン建造家の辻宏氏が修復し、それを岐阜県などが協力したことから始まった。大聖堂にあった パイプオルガンの特徴を取り入れて造られたサラマンカホールのパイプオルガンは、まさに友好の証。その響きは荘厳そのもので、ルネッサンス調のデザインで統一されたシューボックス型のホール全体が大きな楽器となって、まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれる。オルガンコンサートなどを通じて 岐阜県民に愛される存在となっている。
内装に楢材を多く使用し、木のぬくもりと重厚感にあふれるサラマンカホールは1994年のオープン。壁、天井、床などはすべて、直接音と反射音の絶妙なバランスによって繊細な響きを生み出すよう設計され、芯のある柔らかい音が聴く人を包み込む。演奏家の間で「演奏しがいのあるホール」という評判が定着し、CDレコーディングでもすでに50タイトル以上が録音されている。
また岐阜県では合唱が盛んで、多くの合唱団体をはじめ、県内の学校の合唱祭などにも利用され、より幅広い層にホールの響きを体感してもらう絶好の機会となっている。アマチュアにとっても「サマランカホールで演奏したい」という、ひとつの目標になっているのだ。
企画面でもサラマンカホールならではの取り組みが目白押し。ひとつは育成プログラムである「サラマンカ少年少女合唱団」の創設だ。地域の子どもたち と音楽の輪を作ろうというもので、公募によって集まった県内の小中高生60人によって2013年に結成された。合唱団としての定期演奏会はもちろん、同ホールで 行なわれる主催公演にも出演する。
ほかに、オーディションで選ばれたメンバーによる「レジデントカルテット」の活動や、フルート奏者・ 工藤重典氏が音楽監督を務め、トッププレイヤーを招いて公開レッスンやコンサートを行なう「夏の特別プロジェクト」など、ホールの響きや特性を活かした要注目の企画が並ぶ。
ホールがあることで人が育ち、長い年月をかけて音楽文化が熟成していく。その発信地となっているサラマンカホール。クラシック音楽に馴染みがない人にもお勧めのパイプオルガンのコンサートはお聴き逃しなく。
所在地:岐阜県岐阜市薮田南5-14-53
TEL:058-277-1113
ホール形式:シューボックス形式
席数:708席
オフィシャルサイトはこちら
文/ 芹澤一美
photo/ サラマンカホール
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