今月の音遊人
今月の音遊人:矢野顕子さん 「わたしにとって音は遊びであり、仕事であり、趣味でもあるんです」
6959views
クラシックギターのポテンシャルを最大限に引き出す4人の名手によるコンサート「Yamaha Grand Concert」/鈴木大介インタビュー
この記事は3分で読めます
1942views
2023.9.4
tagged: ヤマハホール, 沖仁, 鈴木大介, クラシックギター, Yamaha Grand Concert, ジュディカエル・ペロワ, 樋浦靖晃
ヤマハのクラシックギター「GRAND CONCERT CUSTOM(GCシリーズ)」の名を冠したコンサートが2023年11月12日(日)、ヤマハホールで開催される。ヤマハが1960年代から研究開発を続けてきたGCシリーズは、世界のトップギタリストから絶大なる信頼を寄せられる存在。今回は、このGCシリーズをはじめヤマハのクラシックギターを愛用する鈴木大介、沖仁、ジュディカエル・ペロワ、樋浦靖晃が一堂に集うスペシャルな機会となる。そこで鈴木に、GCシリーズの魅力や、コンサートの聴きどころを語ってもらった。
「GCシリーズのクラシックギターは、僕が子どもの頃からありました。1970〜80年代に荘村清志さんが講師として出演していたNHK教育テレビ『ギターをひこう』のテキストにはGCシリーズの広告が載っていて、憧れのギターでしたね」
鈴木は現在、GC82というモデルを使用しているが、その背景にはギター設計者との出会いがあったという。
「1998年ぐらいにはじめてヤマハの工場に行って、それまでの試作品をすべて見せていただいたことがありました。100本以上も並んでいるギターのなかで、ぱっと見て良さそうだなと思って弾いたのが、何木明男さんという方が設計した試作品で。楽器に関する僕の直感はだいたい当たるのですが、予想どおり素晴らしい楽器でした。何木さんはバーデン・パウエルやジョアン・ジルベルトのギターを作ったすごい設計者なのですが、その彼が2012年に生み出したのが、GC82Sと82Cというモデルです」
現代におけるクラシックギターは、19世紀のスペインのギター製作家、アントニオ・デ・トーレスが作った楽器が原型となっている。トーレスのスタイルや技術は、その影響を受けたスペインの製作家たちに受け継がれ、世界へ広まっていった。ヤマハは1966年に手工ギターの開発に着手して以来、トーレスを祖とするスペインの伝統的な技術を継承した楽器を製作してきた。だが、ヤマハのクラシックギターの魅力はそれだけにとどまらないと鈴木は語る。
「このトーレスを研究し、伝統的なスパニッシュギターを作ったヘルマン・ハウザー1世という製作家がいたのですが、何木さんのギターはハウザー1世、サントス・エルナンデス、マヌエル・ラミレスのギターを参考に作られたそうです。このようにスペインの伝統をしっかり継承しながら、同時に、時代とともに進化していく最新の技術が取り入れられているところが、ヤマハのクラシックギターの最大の魅力ではないでしょうか。ギターはまだ歴史的に発展途上にある楽器で、年を追うごとに操作性が上がり、より鳴りやすくなっています。自分の感じたままに反応してくれる運動性、機能性を備えた楽器はありがたい。ヤマハのギターは伝統的な名器ならではの良さを保ちつつ、それを叶えてくれる存在なんです」
鈴木いわく、日本は団塊の世代を中心にクラシックギターの愛好者が多く、独自の発展を遂げてきたがゆえに、日本のギターやその演奏スタイルは、現在の世界の潮流と離れている部分があるとのこと。そのギャップを埋め、最前線で活躍するアーティストの要求にも応えられるのが、ヤマハのクラシックギターなのだそうだ。今回のコンサートには、そんなヤマハのクラシックギターのポテンシャルを最大限に引き出す個性豊かな名手たちが集結する。
「ジュディカエル・ペロワさんは、フランスの若い世代のギタリストたちの先駆者的存在。彼が出てきてから、ティボー・ガルシアやティボー・コーヴァンなど、フランスから超人のようなギタリストが次々と登場するようになりました。樋浦靖晃さんはギタリストでありながら、ご自身で国際ギターフェスティバルを主催し、ヨーロッパの最先端のギタリストたちを日本に紹介してきた立役者でもあります。そして沖仁さんは、日本人としてフラメンコギターを演奏することの意義を問い続け、ご自身のオリジナルの音楽として昇華させた素晴らしいギタリストです」
コンサートでは、4人がそれぞれソロで演奏し、最後に全員でボッケリーニの『序曲とファンダンゴ』を演奏するとのこと。ソロのプログラムは今後、順次発表となる。
「僕は武満徹さんの作品を中心に演奏する予定ですが、それはやはり日本人としてのアイデンティティを考えての選曲です。僕らクラシックの演奏家も沖さんと同じく、海外の作品を演奏しているわけですから、その意義を考えますよね。今回は日本の楽器メーカーが作ったギターということで、日本の作曲家を選んでみました。樋浦さんはトランスアコースティックギターで坂本龍一さんの『Merry Christmas Mr.Lawrence』を演奏なさるそうですし、沖さんはご自身のオリジナルですので、偶然ですが日本人が日本人の作品を演奏するプログラムになりました」
ギタリストと楽器の固い絆を感じられるコンサート、クラシックギターファンは必聴だ。
日時:2023年11月12日(日)17:00開演(16:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:6,000円(税込・全席指定)
出演:鈴木大介、沖仁、樋浦靖晃、ジュディカエル・ペロワ
詳細はこちら
文/ 原典子
本ウェブサイト上に掲載されている文章・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
tagged: ヤマハホール, 沖仁, 鈴木大介, クラシックギター, Yamaha Grand Concert, ジュディカエル・ペロワ, 樋浦靖晃
ヤマハ音遊人(みゅーじん)Facebook
Web音遊人の更新情報などをお知らせします。ぜひ「いいね!」をお願いします!