今月の音遊人
今月の音遊人:広瀬香美さん「毎日練習したマライア・キャリーの曲が、私を少し上手にしてくれました」
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美しい音色と表現力で着実にファンを獲得している児玉隼人。日本管打楽器コンクールのトランペット部門で最年少優勝を果たした新進気鋭の奏者である彼に、リサイタルに向けた現在の心境を聞いた。
しなやかに伸びる澄んだ音と豊かな表現力。その演奏に魅了されるファンは、今この瞬間も増え続けている――。そんな勢いを感じさせる彼の名前は児玉隼人。2024年現在中学3年生、15歳の若きトランペット奏者だ。
音楽との出会いは、5歳のクリスマスプレゼントにもらったコルネット。小型版のトランペットとも言われるそれをおもちゃ代わりに吹き始めると、たちまちとりことなり、日々の練習に励んできた。その努力が実を結んで、これまでに日本ジュニア管打楽器コンクールや日本クラシック音楽コンクール、大阪国際音楽コンクールなどで第1位を受賞。小学6年生の時に開催したヤマハホールでのソロデビューリサイタルは大きな反響を呼び、以降、群馬交響楽団や名古屋フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団といったオーケストラとの共演も重ねている。さらに2024年8月20日には、日本管打楽器コンクールのトランペット部門で「小さいころからの夢であり目標だった」という優勝を手にした。ちなみに、15歳での優勝は全部門での史上最年少記録となる快挙だ。
まさに期待の新星と呼べる児玉のトランペット・リサイタルが、2025年2月22日に東京・紀尾井ホールにて行われる。
「紀尾井ホールでの演奏は今回が初めてですが、いろいろな方から本当にいいホールだと聞くので、このリサイタルが決まったときからずっと楽しみで仕方ありません」
少しはにかんだような表情ながらも、力強く答えてくれる。なお、本公演では共演者としてピアニストの高橋優介が決定しているが、当初はこの共演の実現に驚いたという。
「以前、高橋さんの演奏をリサイタルで聴いたことがあったのですが、その素晴らしさに衝撃を受けたんです。だから、ご一緒できると決まったときは『本当にいいんですか!?』って。ソロ演奏はもちろん、アンサンブル奏者としてもいろいろなことに対応していただける方ですし、こんなに光栄なことはないから、ぜひお願いします!と」
憧れの奏者との共演も、今回のリサイタルに向かうモチベーションにつながっているようだ。当日予定している演奏曲も、児玉自身が練りに練って選曲した。
「リサイタルは、多くのお客様に演奏を聴いていただける場ですが、それと同時に、自分のレパートリーを増やして成長できるチャンスでもあると思っています」
中でも初披露となるのがパウル・ヒンデミットの『トランペット・ソナタ』。トランペットとピアノのかけ合いが印象的な一曲である。
「トランペットとピアノ両方が主役の名曲で、それぞれがメインになったり、互いに寄り添ったり、僕と高橋さんだからこそ表現できる演奏にしたいです。他の曲も含めて、古典から現代曲まで、多くの方に幅広く楽しんでいただけるようなプログラムにまとめました」
そしてもうひとつ、今回のリサイタルに対する熱い思いには背景がある。
「2025年の4月からドイツへ留学する予定で、その直前のコンサートになります。2年半前のデビューリサイタルからここまで、自分でも驚くほどいろいろな経験をさせてもらいました。正直まだ“僕の演奏を聴きにきてくれる方がこんなにたくさんいるなんて”とちょっと不思議に感じることもあるんですが、皆さんに会えるのが本当に楽しみですし、現在の自分の持てる力すべてを残さず表現したい。ソリストとしての僕の演奏も、高橋さんとのアンサンブルも、たっぷり聴いていただきたいです」
念願だった日本管打楽器コンクールでの優勝を果たし、海外への留学を控えた15歳。大きな節目の時期とも言えるが、その視線の先には志す場所がまだまだあるという。
「今いちばんの目標はオーケストラ・プレイヤーになることです。交響曲には名曲も多いですし、オーケストラの中でのトランペットの役割や存在に憧れているので、いつかはベルリン・フィルやロイヤル・コンセルトヘボウなどの一員として演奏できたらいいな……と。そのためにも、今後は国際コンクールにも積極的に挑戦するつもりです」
そして、最大の目標は“80歳でリサイタルを開催する”こと。「アドルフ・ハーセスはシカゴ交響楽団で80歳まで首席トランペット奏者を務めていましたし、元N響首席トランペット奏者の北村源三さんは87歳の今もコンサートで演奏されています。日野皓正さんも80代とは思えないくらいパワフル。現役で活躍されている大先輩の姿を見ていると、僕もそこまでできそうな気がするんです。まだこの先60~70年あるので、ゆっくりと音楽を楽しみながら、いろいろなことにチャレンジしていきたいです」
やってみたいこと、興味のあることを両手いっぱいに抱えて、光り輝く未来へと羽ばたいていくその姿は私たちの胸を高鳴らせる。トランペット奏者・児玉隼人から一瞬たりとも目が離せそうにない。
日時:2025年2月22日(土)14:00開演(13:15開場)
会場:紀尾井ホール(東京都千代田区)
出演者:児玉隼人(トランペット)、高橋優介(ピアノ)
予定曲目:
バッハ「協奏曲 ニ長調 BWV972」
ヒンデミット「トランペット・ソナタ」
ヘーネ「スラビッシュファンタジー(スラブ幻想曲)」
ベーメ「トランペット協奏曲 ヘ短調 op.18」 ほか
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※チケットは完売いたしました
本公演のチケットを抽選で3名様にプレゼントします。
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応募締切:2024年10月27日(日)23:59
当選発表:当選の発表は、チケットの発送をもってかえさせていただきます。
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文/ 高内優
photo/ 坂本ようこ
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