Web音遊人(みゅーじん)

子ども向けコンサートを企画し、音楽が好きな子どもを増やす/コンサートプロデューサーの仕事

コンサートプロデューサーの仕事を一言でいうと、コンサートの企画・制作・運営を行うこと。つまりはコンサートにまつわるすべてのプロセスを管理、進行する仕事だ。
現在 は各地で、乳幼児から高校生までを対象にしたクラシックコンサートが多数行われている。そんな、子ども向けクラシックコンサートをプロデュースする、ソニー音楽財団の高堀明日香さんにコンサートをどのように開催しているのか、また子ども向けコンサートの仕事の特徴を伺った。

高堀さんが勤めるソニー音楽財団は、ソニーグループの社会貢献活動の一環として1984年に設立された。“子どもとクラシック音楽”をキーワードに、子どもの豊かな感性や健やかに生きる力を育むため、0歳から19歳までの子どもや親子に向けたコンサートを開催している。
「まずはどんなコンサートを行うか、企画することからスタートします。財団で事業を行う場合、内閣府に事業内容の認可を取り、その内容に沿って具体的な内容を検討していきます」
具体的な内容とは、アーティスト、会場、チケット代など、コンサートにまつわるすべてのことを企画および決定していく。会場を押さえる場合も、当日の会場以外に事前リハーサルの会場を確保する必要がある。チケットは、『チケットぴあ』などのプレイガイドに委託するほか、A席・B席などの席種および価格、発売日も決める。PRも高堀さんの仕事のひとつで、チラシの制作や広告の出稿、ときにはメディアでインタビューを受けることもある。
あらゆる仕事のなかで、高堀さんがとくに大切にしていることは、出演アーティストの決め方だ。
「私たちのコンサートでは、より身近に感じてもらえるよう、演奏の合間に出演者から子どもたちに向けてお話をしていただく時間を設けています。なので、演奏の質はもちろん、人柄も重視しながらオファーをしています。お話が上手な人や子どもが好きな人、あとは演奏中に動いたり声を出したりする子もいるので、その場合でも対応いただけるかどうかも大事ですね。こういうところは大人向けのコンサートとはだいぶ違うかなと思っています」
ちなみにコンサートで演奏する曲目は、アーティストと話し合いながら決めていく。また、長い曲は子どもの集中力がもたない場合もあるため、1曲フル演奏ではなく、短く編曲して演奏することも多いが、なるべく原曲に近い状態を目指しているという。
「来場されたお子さんが大きくなった時に、“あのコンサートで聴いた曲だ”と思ってもらえることを意識しています。リハーサルは私も立ち会わせていただき、ここでもアーティストと話し合いながら編曲を完成させます。“本物を届ける”ということをとても大事にしているんです。子どもたちにとっては初めて触れる曲になりますので、原曲と印象が変わらないように気をつけています」

コンサート当日の仕事は、来場客の対応とアーティスト対応の大きく2つに分かれる。来場客へはエントランスでの応対や、トラブルがあった際はその対処も行う。舞台裏では、アーティストのケアや進行管理、進行中に突発的なトラブルがあった際には、会場スタッフと協力して対応していく。コンサートを無事成功させるためには、来場客にもアーティストにも、丁寧なコミュニケーションを取りながら、きめ細かいフォローをすることが欠かせないのだ。
「きめ細かいフォローが必要になるのは、会場づくりに関しても同様です。子どもがぶつかるかもしれない置き型の照明などは、倒れたら危ないので、事前に手の届かない場所に移動させます。子どもの目線に立って危険性がないかをみるのも大切なんです」
クラシック音楽が好きで、プライベートでもコンサートに足を運んでいるほか、自身も「ソニー・フィルハーモニック・オーケストラ」という社員等からなるオーケストラに参加し、ビオラを演奏しているという高堀さん。クラシックの魅力について、目を輝かせながらこう語る。
「クラシックを聴くと心が豊かになりますし、いい音楽は心を育ててくれます。そうして心が豊かになった子どもたちが、いずれ国を動かしていく存在になったときに、日本がより一層明るい国になるんじゃないかと思っているんです。だからこそ、子どもたちがクラシックを聴く機会をたくさん作っていきたいです」

そんな高堀さんが手がける音楽フェス「こども音楽フェスティバル」が2020年7月17~21日の5日間開催される。ソニー音楽財団とサントリー芸術財団が共同で開催し、さまざまなイベントを行うという。0歳児からの未就学児、小学生、中高生、さらにはまだ生まれる前の赤ちゃんや妊婦さん向けのコンサートまで、各年齢に合わせたプログラムが用意されている。
「子ども向けということで、いつ来ても何かしらの催しが行われている、楽しい5日間になればと思っています。今まさに、毎日のように話し合いを重ねて企画を詰めています」
子どもはもちろん、家族皆で楽しめる音楽の祭典に注目だ。

Q.子どもの頃になりたかった職業は?
A.赤ちゃんの頃、それこそ歩き出す前から10歳くらいまでプールに通っていました。なので、その頃は水泳選手になるんだって思っていましたね。水の中って無音に近いので、考え事をするのにもいい環境なんです。今でも考え事をしたいときは泳ぎに行っています。

Q.好きな音楽を教えてください。
A.今の仕事がとても好きなので、どうしてもクラシックを聴く傾向にあります。子ども向けのコンサートがあると行ったりして……常に企画のことを考えているかもしれません。少しはリラックスしなさいって感じですね(笑)。

Q.休日は何をしていますか?
A.ソニーフィルの練習ですとか、ほかにもビオラのアンサンブルバンドをやっているのでその練習に行くことが多いです。あとは、おいしいものを食べたり、おいしいお酒を飲んだりしています。とくにワインが好きなんです。体を動かすことも好きなので、ランニングやウォーキングをすることもあります。

■こども音楽フェスティバル

子どもたちに贈る、世界最大級のクラシック音楽フェス!
日時:2020年7月17日(金)~21日(火)
会場:サントリーホール(東京都港区)ほか周辺施設
※ チケット発売開始4月~(予定)
こども音楽フェスティバルWebサイト
ソニー音楽財団Webサイト

特集

山下洋輔さん

今月の音遊人

今月の音遊人:山下洋輔さん「演奏は“PLAY”ですから、真剣に“遊び”ます」

5224views

音楽ライターの眼

【優待チケット】「奇跡の相性」で結ばれたデュオが追求するオーボエ×ギターの可能性/広田智之&大萩康司インタビュー

1368views

懐かしのピアニカを振り返る

楽器探訪 Anothertake

懐かしのピアニカを振り返る

11154views

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

楽器のあれこれQ&A

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

6347views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

5326views

オトノ仕事人

歌、芝居、踊りを音楽でひとつに束ねる司令塔/ミュージカル指揮者・音楽監督の仕事

373views

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、新時代へ発信する刺激的なコンテンツを/東京芸術劇場 コンサートホール

ホール自慢を聞きましょう

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、刺激的なコンテンツを発信/東京芸術劇場 コンサートホール

8732views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

6747views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

15473views

われら音遊人

われら音遊人:オリジナルは30曲以上 大人に向けて奏でるフォークロックバンド

2050views

サクソフォン、そろそろ「テイク・ファイブ」に挑戦しようか、なんて思ってはいるのですが

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォンをはじめて10年、目標の「テイク・ファイブ」は近いか、遠いのか……。

5151views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

22679views

注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

6145views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

9117views

樫本大進、キリル・ゲルシュタイン

音楽ライターの眼

初共演にして、火花散るようにエキサイティングな一夜/樫本大進&キリル・ゲルシュタイン プレミアム・コンサート

2717views

オトノ仕事人

音楽フェスのブッキングや制作をディレクションする/イベントディレクターの仕事

8834views

われら音遊人

われら音遊人:アンサンブル仲間が集う仲よしサークル

5882views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生

10730views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

13674views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

3586views

サクソフォンの選び方と扱い方について

楽器のあれこれQ&A

これからはじめる方必見!サクソフォンの選び方と扱い方について

22149views

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

こどもと楽しむMusicナビ

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

8095views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

6431views