今月の音遊人
今月の音遊人:生田絵梨花さん「ステージに立つと“音楽って楽しい!”という思いが、いっそう強くなります」
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たゆみない情熱とともに、さらに未来へと羽ばたく/真琴つばさインタビュー
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2025.10.3
tagged: インタビュー, 真琴つばさ, Christmassy★, どろんぱ
2025年に芸能生活40周年を迎えた真琴つばさ。宝塚歌劇団のトップスターからひとりの表現者となった今も変わることなく華やかな舞台に立ち続けている。これまでの日々とこれから描く未来についての思いをうかがった。
小学5年生の終わりごろ、親友に誘われて東京宝塚劇場で観た『ベルサイユのばら』が真琴つばさの始まりだった。
「登場人物全員が女性だとかそういった一切を飛び越えて、舞台全体がひとつの魂で結ばれているような、熱く、華麗な迫力に圧倒されました。とにかく素晴らしかったんです。実家が化粧品店だったからか、舞台映えするステージメイクのきらびやかさもすんなりと受け入れられて、ただ純粋に宝塚の舞台に引き込まれながら観ていました」
それまで“宝塚”という存在すら知らなかった少女が、人生を決めるほどの衝撃を受けた瞬間だ。その後、高校卒業後に宝塚音楽学校へ入学。宝塚歌劇団の男役として17年間務め上げ、月組のトップスターに上り詰めた。在団当時から「宝塚随一のエンターテイナー」と呼ばれて愛される人気者。2001年退団時のファイナル公演のパレードには約1万人のファンが集まって別れを惜しんだ。そんな当時を「ひたすらに駆け抜けた日々だった」と振り返る。
「とにかく前だけを見て進んでいました。そして、後悔の日々でもあります。ただ、これは決してネガティブな意味ではなくて、その日にあった後悔を明日の希望につなげられた日々というのでしょうか。私は不器用だから『どうすればできるようになるんだろう』と、そればかり考えていたんです。仲間やスタッフ、周りのみんなに助けてもらいながら『今日できなかったことは明日できるようになろう!』と毎日必死でした。宝塚で過ごした時間は、“真琴つばさ”という人間を一から育てて大きくしてくれた大地のようなもの、私の礎だと思っています」
芸能生活40周年を迎えた2025年、真琴はヤマハホールでアニバーサリー・ソロコンサートを開催した。記念公演としては、2009年の25周年以来およそ15年ぶり。6月の本公演に続き、8月には追加公演も実現し、40周年という節目を二度にわたって祝うことができたのは、思いがけない喜びだったそうだ。
「まさか周年コンサートを再演できるとは思わなかったので本当にありがたいことでした。6月公演は直前まで立っていた舞台のおかげで加速していた勢いを緩めることなく臨めましたし、8月はそれをさらにブラッシュアップさせて、これまでの自分と現在の自分をうまくミックスさせたステージをお届けできたと思います。豪華なゲストの方々にも出演していただけて、やりたいことをすべて詰め込んだ記念公演になりました」
周年コンサート当日、会場となったヤマハホールに立ったとき、どこか懐かしい気持ちがしたのだそうだ。
「ホールのある銀座が、幼いころ祖母に連れられて遊びに来ていた場所ということも理由のひとつなのかな。それに、“真琴つばさ”のふるさとでもある東京宝塚劇場(有楽町)のそばですから、思い出の地の近くで記念のコンサートを開催できるという喜びが、そう思わせてくれたのかもしれません」
本公演の模様はDVDとしてリリース予定とのことで、記念すべき一夜が私たちの手元へ届くのを楽しみに待とう。

また、2025年12月には東京・COTTON CLUBでのクリスマス・ライブも決定している。食事やお酒を楽しみながら極上の音楽とともに過ごす時間は、40周年コンサートとは一味違った贅沢な公演になりそうだ。そう伝えると「でもね」と真琴が笑顔で続ける。
「普段、宝塚の舞台をご覧になっている皆様の中には、飲んだり食べたりしながらステージを観ることに慣れていない方も多くいらっしゃるんです。以前、おいしそうなパスタがテーブルに置かれたまま冷めていくのが目に入って、思わず『私が食べましょうか?』って、お声掛けしてしまったことがありました。本来は私も集中して聴いたり観たりしたいタイプだから、その気持ちはよくわかるんです。なので、自分のスタイルでゆったりと歌と食事の両方を楽しんでもらえると嬉しいですね」
なんともほほえましいエピソードを話してくれた。こうした自然体で気取りのないおおらかさも長年ファンを引き付けてやまない魅力のひとつに違いない。
さらには2026年3~4月に上演されるミュージカル作品「どろんぱ」への出演も決まっている。普遍的な親子の愛と絆の物語が妖怪の世界の中で描かれる本作で、真琴は“墓場の土から生まれた人形神(ひんながみ)”を演じる。
「台本がとてもおもしろくて、今から楽しみです。これまでに、ミュージカル『アダムス・ファミリー』の母親役モーティシアを演じさせていただいたことがありますが、今度は日本の妖怪を演じられるのね!と喜んでいます」
40周年を迎えてなお新しい挑戦への意欲は尽きることなく、その視線は常に未来へと向けられている。
「楽器もやってみたいし、ピアノ一本で歌えるだけの力をもっとつけたい。それから、落語的な要素を取り入れた、音楽と物語を融合させるようなひとり舞台もいつか形にしてみたい。やってみたいことはたくさんあります」
その中でも今、心に強く思うのは「ひとつの歌を歌い続ける」ことだそう。
「もともと何かを長く続けることは苦手なんですよ。でも越路吹雪さんの『愛の讃歌』はずっと歌っていきたいと思うようになりました」
これまでにも、宝塚の大先輩である越路吹雪の曲を数多く歌い継いできた真琴がそう考えるようになったのは、「越路さんが亡くなられた年齢を自分が迎えたころ」と言う。
「歌い方に迷ったとき、越路さんの歌声が道を作ってくださったことがあるんです。その方向へ進んで行くと本来の自分で歌えた……そういった感覚がありました。そんな憧れの先輩でもある越路さんの代表曲を大切に、心を込めて歌っていきたいとあらためて思っています。だから今は、50周年のときに堂々と『愛の讃歌』を歌えるようになっていたい。これからの“真琴つばさ”としての目標ですね」
凛とした言葉にこちらの背筋が思わず伸びる。このたゆみない情熱がある限り、“真琴つばさ”の歩みは止まらない。音楽と舞台を愛するすべての人にさらなる感動を届ける日々は、これからも続いていく。
日時:2025年12月12日(金)
[1st.show]16:00開演(15:00会場)
[2nd.show]19:00開演(18:00会場)
出演:真琴つばさ(vo)、小泉たかしスペシャルバンド
会場:COTTON CLUB(東京・丸の内)
料金:13,800円(税込・全席指定)
一般チケット予約受付:
11月1日(土)PM12:00〜(COTTON CLUB、チケットぴあ、楽天チケットにて)
お問い合わせ:㈱エフ・スピリット 03-3225-5220(平日 11:00~18:00)
詳細はこちら
オフィシャルサイトはこちら
“MOJO プロジェクト”第2弾、オリジナルミュージカル『どろんぱ』。日本固有の文化とされる“妖怪”を題材に“親子の愛と絆の物語”を描く!どんな願いも叶えるが代償に、死後、地獄に落とす妖怪人形神(ひんながみ)を真琴つばさが演じます。
日程:
2026年3月(東京公演)/2026年4月(大阪公演)
出演:小池徹平、屋比久知奈
生駒里奈、木内健人、東島京、加治将樹、土井ケイト、相葉裕樹
吉野圭吾、真琴つばさ
お問い合わせ:ワタナベエンターテインメント 03-5410-1885(平日 11:00~18:00)
詳細はこちら
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文/ 髙内優
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