今月の音遊人
今月の音遊人:前橋汀子さん「同じ曲を何千回、何万回演奏しても、つねに新しい発見や見え方があるのです」
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今回取り上げたいのは、主に初等教育(幼稚園・小学校)の音楽教育で使われているピアニカ。多くの子どもが初めて触れる身近な楽器であり、音楽の基礎を養うだけでなく、楽器や音楽に親しむきっかけをつくる重要な役割を担っています。
ひとつ説明しておきたいのが、ピアニカとはヤマハの商品名で、楽器名は「鍵盤ハーモニカ」であること。金属製のリードを呼気で震わせて発音するリード楽器で、音を鳴らす仕組みはハーモニカとほぼ同じですが、ピアニカは音が出しやすく、鍵盤があることで音階を視覚的にとらえやすいのが特長。つまり、教材楽器として非常に優れているのです。
「ピアニカを入り口に、音楽好きの子どもがひとりでも多く育ってほしい」という願いとともに、ヤマハが最初のモデルを世に送り出したのは1961年。以来、品質の高さを誇ってきましたが、なかでも定評があるのが安定したピッチ(音高)と明るく豊かな音色。
「リードプレートに管楽器に使われているのと同じ特殊なさび止めの塗装を施すことで、リードプレートがさびにくく音程が狂いにくいのが、ピアニカの特長となっています」と、開発を担当する野口佳孝さん。
ちなみに、リードは低音から高音にいくほど短く、幅は狭くなるよう機械で加工されますが、最後は熟練した人の手で、一つひとつヤスリで削りながら調律されます。なお、リードの根元を削るとピッチが低く、先端を削るとピッチが高くなるのだとか。
また、教材楽器は合奏の機会が多いですが、ピアニカはソロで吹くときはもちろん、集合音が美しいことが支持を集めてきた理由のひとつです。
「ピアニカはパキッとした張りのある音が特徴的です。ふんわりした音よりも芯のある音が集まったほうがまとまりがよく、他の楽器とアンサンブルしてもまわりの音に埋もれないようです」と、学校への音楽・楽器の普及活動と、教材楽器の商品企画に携わる加藤幸平さん。
教材楽器として、長年に渡り学校教育の現場で愛されてきたピアニカ。これまでのモデルのなかで30年に渡るロングセラーとして君臨してきた「P-32D」というモデルがあるのですが、2014年10月1日、遂に新モデルが発売されることになりました。はてさて、どんなピアニカが登場するのでしょうか。詳しくは、Take2で見ていくことにしましょう。
Take1:懐かしのピアニカを振り返る
Take2:ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生
Take3:ピアニカで音楽好きの子どもを育てる
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