今月の音遊人
今月の音遊人:反田恭平さん「半音進行が使われている曲にハマります」
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「MOTIF XF WH(モチーフ エックスエフ ホワイト)」は、基本性能は2010年発売の前モデル「MOTIF XF」のものを引き継いでいます。その性能について改めてご紹介しましょう。
「MOTIF シリーズは音色の質だけでなく、奏者のタッチの強さやコントローラーを操作したときのその音の変化の仕方の細かい調整にもこだわって作っていますが、『MOTIF XF』は本体にプリセットされる音色の種類も計2,000以上と膨大になりました」(大田さん)
一般的にシンセはスピーカーを内蔵しておらず、外部のPA(音響装置)やスピーカーにつないで音を出すという特徴がありますが、「『MOTIF XF』では音色がよりクリアに、パワフルに鳴るよう、音声を出力する回路の見直しを行いました。実は技術者がもっとも苦労したところですが、こうした見えない部分にも改良が施されています」と伊藤さん。
加えて、以前はパソコンなどの外部から音素材を取り込んでも、電源を切るとデータが消えてしまっていましたが、フラッシュメモリーを装着して音素材を足していくことが可能になりました。
次に「MOTIF XF WH」の外観を見てみると、ボディの色はフラッグシップモデルらしい高級感溢れるホワイトが採用されていますが、ノブとスライダーの部分にあしらわれたラインはグレー、サイドパッドとロゴや各ボタンの名称にはダークブラウンと、全体の色バランスが考えられています。
「ステージ映えや、楽器の造形とのフィット感、コンセプトとのマッチングなど、さまざまな観点からカラーリングを検討しました。その結果、パネル印刷やサイドパッドの色はブラックではなくブラウンで、ボディも純白ではなく、ややアイボリーがかった色になっています」(大田さん)
駆け足で40年を振り返ってきましたが、40年の間にさまざまな試行錯誤があり、ひとつひとつ壁を乗り越えながらヤマハ シンセは変化を遂げてきました。
近年はコンピューター上での音楽制作が一般にも普及し、シンセにもソフトウェア化の波が押し寄せるなど、シンセを取り巻く環境は複雑化しています。でもシンセ本来の魅力は、今も昔も変わらないのではないでしょうか。
「そもそもシンセとは音を合成(synthesize)するものであり、ノブやスライダーをいじりながら、自分が思い描いている音色に近づけていくところに楽しさがあると思います。今後も音色の質や機能性を磨くとともに、演奏や音色のコントロールが奏者の感性を刺激するような楽器を目指していきたいですね」(大田さん)
これまで積み重ねてきた技術やノウハウを基に、次はどんな革新的なモデルが生み出されるのでしょうか。その瞬間を、わくわくしながら待つとしましょう!
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