今月の音遊人
今月の音遊人:家入レオさん「言葉に入りきらない気持ちを相手に伝えてくれるのが音楽です」
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音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」
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2022.11.30
tagged: トランスアコースティックピアノ, 楽器探訪AnotherTake
アコースティックピアノでありながら、スイッチを切り替えると豊かな響きをそのままに音量が調節できる「トランスアコースティックピアノ」。小さな音量でも豊かな響きを鳴らすことができるのは、木製の響板に取り付けられたトランスデューサーと呼ばれる加振器の技術によるもの。通常、奏者が鍵盤を押すとハンマーが弦を叩きますが、トランスアコースティックピアノでは、ハンマーが弦を叩く代わりにセンサーで読み取った鍵盤の動きに応じた電子音が作成され、その音をトランスデューサーが振動に変換して響板に伝えます。
「ハンマーは弦を叩きませんが、アコースティックピアノと同じように、響板が振動することで起こる弦の共鳴はそのまま生かしています。ピアノ全体が共鳴体となって豊かに響くので、電子音でも臨場感のある演奏を楽しめます」と話すのは商品企画を担当する大西健太さん。
また、トランスデューサーの振動の大きさを調節することで音量調整が可能に。ヘッドホンを使わず、アコースティックピアノの豊かな響きのまま音量を下げられることは、音の問題でアコースティックピアノを諦めている奏者にとってうれしいポイントです(ヘッドホンを使って、完全に消音して演奏することも可能)。
「音量を調節できる利点は、近隣への音漏れを防ぐことだけではありません。時間帯に応じた適切な音量で演奏できるので、より長い時間ピアノを楽しめますし、同じ屋根の下にいる家族が程よい距離感で音楽に触れられるので、音楽を通したコミュニケーションも生まれやすいと思います」(大西さん)
2015年に初代モデル「SHTA」が発売され、2018年に「TA2」、そして2022年9月に「TA3」と、モデルチェンジしてきたトランスアコースティックピアノ。最新モデル「TA3」は、ヤマハ「CFX」、ベーゼンドルファー「インペリアル」の2つのコンサートグランドピアノの音源が改良されたほか、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンなどの作曲家が演奏していた4種類の古楽器「フォルテピアノ」の音色が新たに搭載されました。
レベルアップした音源を最大限に生かすため、鍵盤の動きを読み取るセンサーシステムを新たに開発。新しくなった音源とセンサーの相乗効果により、強弱だけでなく、細かいタッチの違いによる繊細な音色変化も再現できるようになりました。
「ベースにするアコースティックピアノによって音の鳴り方が異なるため、トランスアコースティックピアノの響板から鳴らした音をアコースティックピアノの開発者やピアニストの意見も聞きながら時間をかけて評価し、モデルごとの音響特性に合わせて調整しています。電子音源の部分では電子ピアノの開発部門と連携しました。アコースティックとデジタル、両方の部門が垣根を超えて開発を行えるのはヤマハの強みだと思います」(大西さん)
トランスアコースティックピアノは、ピアノ演奏の楽しさを広げる多彩な機能も魅力です。なかでも、アコースティックピアノの音に電子音を重ねる「レイヤーモード」は、トランスアコースティックピアノにしかできない表現。また、演奏する曲(コード)に合わせてベース音が鳴る「リズム(自動伴奏)」も、バンドと一緒に演奏している気分を味わえます。
「音色を変えるだけでも新鮮な気持ちになりますが、いつも弾いている曲にリズムを付けて曲調を変えてみたり、スケール練習のときメトロノームの代わりにリズムでテンポを刻んでみたりすることで、いつもと少し違う演奏、練習を楽しんでいただきたいです」(大西さん)
ただ忘れてはならないのは、トランスアコースティックピアノのベースはアコースティックピアノであること。音色は鍵盤楽器を中心に厳選し、機能、操作法も極力シンプルにするなど、普段ピアノを弾いている方に抵抗なく楽しんでもらえる工夫がされているのもポイントです。
音量を調節して弾いたり、複数の楽器の音色を重ねたり、バンドの演奏音と一緒に演奏したりと、思い思いの使い方ができるトランスアコースティックピアノ。アコースティックピアノ本来の魅力と、ピアノの楽しみ方を広げる機能の掛け算で、これまでにない新しいピアノ体験ができそうだ。
新開発のセンサーシステムと細かいタッチの違いによる音色変化を再現する新音源により、より繊細で豊かな演奏表現が可能に。フォルテピアノ(古楽器)の音源が加わり、音色のバリエーションもさらに充実。すべてのモデルにBluetooth®(オーディオ・MIDI)を搭載し、無料アプリ「スマートピアニスト」との連携で、より便利に幅広く使うことができる。
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文/ 武田京子
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