Web音遊人(みゅーじん)

トランスアコースティックピアノ™

音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」

アコースティックピアノの響板から電子音を鳴らす

アコースティックピアノでありながら、スイッチを切り替えると豊かな響きをそのままに音量が調節できる「トランスアコースティックピアノ」。小さな音量でも豊かな響きを鳴らすことができるのは、木製の響板に取り付けられたトランスデューサーと呼ばれる加振器の技術によるもの。通常、奏者が鍵盤を押すとハンマーが弦を叩きますが、トランスアコースティックピアノでは、ハンマーが弦を叩く代わりにセンサーで読み取った鍵盤の動きに応じた電子音が作成され、その音をトランスデューサーが振動に変換して響板に伝えます。
「ハンマーは弦を叩きませんが、アコースティックピアノと同じように、響板が振動することで起こる弦の共鳴はそのまま生かしています。ピアノ全体が共鳴体となって豊かに響くので、電子音でも臨場感のある演奏を楽しめます」と話すのは商品企画を担当する大西健太さん。

トランスアコースティックピアノ

鍵盤の動きに応じて作成された電子音は、ピアノ内部に設置されたトランスデューサー(加振器)によって振動に変わり、響板を震わせることでピアノ全体から発音される。

トランスアコースティックピアノ

グランドピアノ、アップライトピアノに搭載されるトランスデューサー(加振器)。ピアノ内部の動きを妨げず、かつ響板を効率よく振動させられる設置場所、取り付け方法が採用されている。

また、トランスデューサーの振動の大きさを調節することで音量調整が可能に。ヘッドホンを使わず、アコースティックピアノの豊かな響きのまま音量を下げられることは、音の問題でアコースティックピアノを諦めている奏者にとってうれしいポイントです(ヘッドホンを使って、完全に消音して演奏することも可能)。
「音量を調節できる利点は、近隣への音漏れを防ぐことだけではありません。時間帯に応じた適切な音量で演奏できるので、より長い時間ピアノを楽しめますし、同じ屋根の下にいる家族が程よい距離感で音楽に触れられるので、音楽を通したコミュニケーションも生まれやすいと思います」(大西さん)

大西健太さん

構想段階からトランスアコースティックピアノに携わってきた商品企画担当の大西健太さん。プライベートでもアコースティックピアノ、電子ピアノの両方を演奏し、商品企画に生かしている。

モデルチェンジで表現力がさらにアップ

2015年に初代モデル「SHTA」が発売され、2018年に「TA2」、そして2022年9月に「TA3」と、モデルチェンジしてきたトランスアコースティックピアノ。最新モデル「TA3」は、ヤマハ「CFX」、ベーゼンドルファー「インペリアル」の2つのコンサートグランドピアノの音源が改良されたほか、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンなどの作曲家が演奏していた4種類の古楽器「フォルテピアノ」の音色が新たに搭載されました。
レベルアップした音源を最大限に生かすため、鍵盤の動きを読み取るセンサーシステムを新たに開発。新しくなった音源とセンサーの相乗効果により、強弱だけでなく、細かいタッチの違いによる繊細な音色変化も再現できるようになりました。
「ベースにするアコースティックピアノによって音の鳴り方が異なるため、トランスアコースティックピアノの響板から鳴らした音をアコースティックピアノの開発者やピアニストの意見も聞きながら時間をかけて評価し、モデルごとの音響特性に合わせて調整しています。電子音源の部分では電子ピアノの開発部門と連携しました。アコースティックとデジタル、両方の部門が垣根を超えて開発を行えるのはヤマハの強みだと思います」(大西さん)

トランスアコースティックピアノ

鍵盤本体と鍵盤下の2つのセンサーが連携し、鍵盤の一連の動きを、タッチに影響しない非接触で検出する新開発の「アーティキュレーション・センサーシステム」。ヤマハの製品で初めて搭載されるセンサーシステムとなる。

他の楽器にはない唯一無二の表現ができる

トランスアコースティックピアノは、ピアノ演奏の楽しさを広げる多彩な機能も魅力です。なかでも、アコースティックピアノの音に電子音を重ねる「レイヤーモード」は、トランスアコースティックピアノにしかできない表現。また、演奏する曲(コード)に合わせてベース音が鳴る「リズム(自動伴奏)」も、バンドと一緒に演奏している気分を味わえます。
「音色を変えるだけでも新鮮な気持ちになりますが、いつも弾いている曲にリズムを付けて曲調を変えてみたり、スケール練習のときメトロノームの代わりにリズムでテンポを刻んでみたりすることで、いつもと少し違う演奏、練習を楽しんでいただきたいです」(大西さん)
ただ忘れてはならないのは、トランスアコースティックピアノのベースはアコースティックピアノであること。音色は鍵盤楽器を中心に厳選し、機能、操作法も極力シンプルにするなど、普段ピアノを弾いている方に抵抗なく楽しんでもらえる工夫がされているのもポイントです。

トランスアコースティックピアノ

Bluetooth®(オーディオ・MIDI)も搭載。手持ちのスマートフォン、タブレットと連携させれば、好きな楽曲の音源を鳴らしながらの演奏もできる。

音量を調節して弾いたり、複数の楽器の音色を重ねたり、バンドの演奏音と一緒に演奏したりと、思い思いの使い方ができるトランスアコースティックピアノ。アコースティックピアノ本来の魅力と、ピアノの楽しみ方を広げる機能の掛け算で、これまでにない新しいピアノ体験ができそうだ。

トランスアコースティックピアノ

新開発のセンサーシステムと細かいタッチの違いによる音色変化を再現する新音源により、より繊細で豊かな演奏表現が可能に。フォルテピアノ(古楽器)の音源が加わり、音色のバリエーションもさらに充実。すべてのモデルにBluetooth®(オーディオ・MIDI)を搭載し、無料アプリ「スマートピアニスト」との連携で、より便利に幅広く使うことができる。
詳細はこちら

facebook

twitter

特集

東儀秀樹インタビュー - Web音遊人

今月の音遊人

今月の音遊人:東儀秀樹さん 「“音で遊ぶ人”といえば僕のことでしょう。どのような楽器の演奏でも、楽しむことだけは忘れません」

11859views

マーク・ノップラー

音楽ライターの眼

マーク・ノップラーが新作『One Deep River』を発表。ギターにテレビにチャリティに大忙しの74歳

678views

楽器探訪 Anothertake

26年ぶりにラインアップを一新!「長く持っても疲れにくい」を実現し、フラッグシップモデルが加わったバリトンサクソフォン

3577views

エレキベース

楽器のあれこれQ&A

エレキベースを始める前に知りたい5つの基本

3757views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

9655views

梶望さん

オトノ仕事人

アーティストの宣伝や販売促進など戦略を企画して指揮する/プロモーターの仕事

11268views

東広島芸術文化ホール くらら - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

繊細なピアニシモも隅々まで響く至福の音響空間/東広島芸術文化ホール くらら

13359views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

10745views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

10056views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:バンドサークルのような活動スタイルだから、初心者も経験者も、皆がライブハウスのステージに立てる!

7877views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

6739views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

29943views

おとなの 楽器練習記 須藤千晴さん

おとなの楽器練習記

【動画公開中】国内外で演奏活動を展開するピアニスト須藤千晴が初めてのギターに挑戦!

7715views

上野学園大学 楽器展示室

楽器博物館探訪

日本に一台しかない初期のピアノ、タンゲンテンフリューゲルを所有する「上野学園 楽器展示室」

19590views

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase17)シェーンベルク生誕150年、「ピアノ協奏曲」に聴く十二音技法のロマンチシズム

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase17)シェーンベルク生誕150年、「ピアノ協奏曲」に聴く十二音技法のロマンチシズム

1341views

オトノ仕事人

テレビ番組の映像にBGMや効果音をつけて演出をする音の専門家/音響効果の仕事

2384views

われら音遊人

われら音遊人:ママ友同士で結成し、はや30年!音楽の楽しさをわかちあう

4937views

変えるべきもの、変えざるべきものを見極める

楽器探訪 Anothertake

変えるべきもの、変えざるべきものを見極める

14486views

グランツたけた

ホール自慢を聞きましょう

美しい歌声の響くホールで、瀧廉太郎愛にあふれる街が新しい時代を創造/グランツたけた(竹田市総合文化ホール)

7105views

パイドパイパー・ダイアリー

こうしてわたしは「演奏が楽しくてしょうがない」 という心境になりました

8490views

楽器のあれこれQ&A

ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法

181433views

こどもと楽しむMusicナビ

サービス精神いっぱいの手作りフェスティバル/日本フィル 春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」

9243views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

9968views