今月の音遊人
今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」
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母校・登美丘高校のダンス部コーチを務め、2017年の夏に日本高校ダンス部選手権の準優勝に導いた『バブリーダンス』をきっかけに、振付師として活躍の場を広げているakaneさん。3歳からダンススクールに通い、大学では舞踊学を専攻というダンス歴が結実し、今や振り付けの依頼が絶えない。仕事や音楽へのこだわりについてうかがった。
アーティストの振り付け、CMの振り付け、舞台やイベントの振り付けなど幅広い分野で活動しているが、それらを仕上げるまでには、どのような流れで進んでいくのだろうか。
「テレビCMだと、クライアントの意向を受けて、監督が内容と方向性を決めてから音楽が決まります。振り付けの仕事はそこから始まるので、考える期間が限られてくることもありますね。1分、2分くらいのウェブCMだと、ダンスがメインになるので、事前に音楽を相談される場合もあります」
ミュージカルっぽい要素を入れてほしい、こういうイメージで作りたいなど振り付けの要望があれば、それにあわせて提案するが、多くの場合は、曲から受けるフィーリングをもとにakaneスタイルで作っていくそうだ。
「CMはオリジナル曲が多いですね。いつも聴いているジャンルの音楽よりも、日常であまり聴くことのないクラシック音楽とか、なじみのないジャンルの方が新しい振り付けが思い浮かんだりすることもあるんです」
曲によっては一つのフレーズの振り付けを6、7時間かけて考えることもあるという。
「曲とのフィーリングが合えば、1時間くらいで何パターンも考えられるんですけどね。1曲の振り付けは多くて10パターンくらい考えます。特にCMの振り付けは、キャッチーかつインパクトのあるダンスを15秒とか20秒におさめることが求められるので、いろいろなバリエーションを作って選んでもらいます。すべて納得のいくものを作り上げているので、どれが選ばれても全く問題はないです」
振り付けの提案をするときは、自ら動画を作成して提出している。
「振り付けのイメージができたら鏡の前で踊って作り上げていきます。だいたいできあがったところでアシスタントに覚えてもらい、それを今度は私が客観的に見て、振り付けを変える作業を繰り返します。一緒に踊りながら、動きを修正していって、OKとなったら動画を撮影。このやり方で何パターンもの振り付けを作成していくんです」
振り付けに音楽を欠かすことはできない。それと同じくらいakaneさんにとっては、トレンドの把握も大事だという。忙しい毎日で音楽や情報との接点はどのように作っているのだろうか。
「テレビやYouTubeが大好きなので、どんなに忙しくても隙間を見つけて、映画、ドラマ、アニメなどを片っ端から観ています。なんでそんなに時間あるの?と聞かれてしまうくらい(笑)」
もう一つ欠かせないのがNHKの朝ドラである。毎朝起きたら観るのがルーティンになっているのだとか。これまでほぼ見逃したことがなく、これを観ないと一日が始まらないのだそうだ。
「自分の好きなものや、チェックしておきたいものは、一つも逃したくないんです。どんなに忙しくてもTikTokは1時間ぐらい、長い時だと3時間は平気で見ています。インスタもチェックしたり、その間にラジオを聴いていたり……。それぞれちゃんと見られていなかったりするのかもしれないけど、すべて“ながら”でやっています。この仕事をするうえで、トレンドを押さえておかないとダメだと思うんですよね。そのために気を抜くことはないです!」
そんな彼女に、疲れがたまったりしないのかと聞いてみると、「眠れば回復するし、おいしいものを食べればいくらでも働けます」と笑って答えてくれた。生き生きと活動を続けるakaneさんの躍進は止まらない。
Q.子どもの頃の夢は?
A.ダンスの先生になりたかったですね。保育園のお遊戯会で私がすごく楽しそうにダンスをしているのを見た母が、3歳からダンススクールに通わせてくれたんです。保育園の先生より私のほうが作れるなんて言って、お遊戯を作っていた子どもでしたからね(笑)。その頃は振付師という仕事を知らなかったので、ダンスを教える先生になるのが夢でした。
Q.今の仕事についていなかったら、どんな仕事を選んでいましたか?
A.音楽も映画も大好きなので、音楽関係か映像関係の仕事についていたかもしれません。子どもの頃からパソコンをいじるのが好きで、音楽の編集もしていましたし、今もSNSでは、編集をすべて一人でやっているので、音楽や映像に関わる仕事には憧れがありますね。
Q.休日はどのように過ごしていますか?
A.お笑い番組や、テレビドラマを見て過ごしています。特にお笑い番組を楽しんでいますね。ダウンタウンが昔から大好き。私は自分のことダンサーよりもお笑い芸人やと思ってます(笑)。
Q.これからやってみたいことは?
A.私、岡本太郎さんが大好きなんです。1970年の大阪万博で彼がプロデューサーとして、太陽の塔の展示に関わったことを知って、すごく刺激を受けました。万博はアートや芸術を披露できる機会でもあるので、2025年の大阪・関西万博の会場で何かパフォーマンスができたらいいなと思っています。
文/ 唐沢耕
photo/ タカオカ邦彦
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