今月の音遊人
今月の音遊人:渡辺真知子さん「幼稚園のころ、歌詞の意味もわからず涙を流しながら歌っていたのを覚えています」
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FAQとは、「Frequently Asked Questions」の略で、「よくある質問」の意。ヤマハのWebサイトでも、よくあるご質問と回答を楽器や製品別にまとめて掲載しています。[よくあるお問い合わせ(Q&A)]
ヤマハでは、日本語だけでなく多言語に対応するFAQを展開。「お客様コミュニケーションセンター」が構築してきたコンテンツが、世界中で活用されています。
製品やサービスに関して知りたいことがあるとき、メーカーや店舗などに直接問い合わせる前にFAQを利用する方も多いのではないでしょうか。今や、自己解決の手段として欠かせないものになったFAQ。ヤマハのWebサイトでは、楽器からオーディオ製品にいたるまで約1万件におよぶFAQを掲載しています。
「お客様コミュニケーションセンター」がこのコンテンツに注力するきっかけとなったのは、2010年ごろに始まったスマートフォンの普及でした。世の中に配信されている多くの情報を気軽に検索できるようになったため、電話の利用が減り、ヤマハの窓口とお客様との接点も減少傾向にあったのです。
「私たちは疑問や質問に答えるだけでなく、お客様とつながり、理解したいという思いを常日ごろから抱いています。その使命が果たせなくなることに、ある種の危機感を覚えました」
お客様コミュニケーションセンターの山田貴美子さんは、そう振り返ります。
そこで、取り組み始めたのがFAQの充実でした。FAQはアクセス数などからお客様が知りたい情報を把握することができ、またFAQを読まれたお客様から「役に立った/立たない」という評価をいただくことで、サービス向上に生かしていくことが可能です。

ヤマハのFAQは現在、日本語のほか11の言語で展開している。
しかし、その作成はトライ&エラーの繰り返しでした。FAQのコンテンツ作成にあたったのは、ふだんは電話やメール応対にあたるスタッフたち。積み上げてきた応対事例をFAQ用にテキスト化していったのですが、電話やメールでは喜ばれていた伝え方・表現がFAQでは評価されないこともありました。
例えば、リコーダーのバロック式とジャーマン式。当初のコンテンツではヤマハ製のリコーダーにおける両者の見分け方を最初に紹介し、そのあとに一般的なリコーダーでは運指の違いから判別できることを説明していましたが、低評価を受けることが少なくなかったといいます。試行錯誤しながら改善策を探り、説明の順番を入れ替えたところ、とたんに「役に立った」と評価されるようになりました。
「このケースでは、ヤマハ製品に対する回答よりも楽器としての一般的な情報を求められていることがわかりました。そのため、FAQではいちメーカーとしてだけでなく、楽器業界を背負って情報を配信するという気概を持って作成を続けています。製品やユーザー層に適した伝え方を工夫する必要性を学ばせていただきました」(山田さん)
一方で、購入前に電話やメールで寄せられる機種間の比較に関するご相談内容をFAQに掲載したところ、多くのアクセスが集まりました。これは、お客様と直接コミュニケーションを重ねてきたからこそ生まれたコンテンツの一例です。
こうしてお客様の検索行動に合わせて言葉や構成を考えたり、「役に立った/立たない」というフィードバックをもとに改良を重ねたりすることで閲覧数の増加と満足度向上につなげてきました。

左からお客様コミュニケーションセンターの山田貴美子さん、コーポレート・マーケティング部リテンション企画推進グループ(取材当時)の望月基史さん、同・鈴木浩平さん、同・井上潤さん。
ヤマハは世界各地に拠点を持ち、グローバルな展開をしています。そのため、世界各地の販売会社で活用できる世界共通のFAQサイト(Global FAQ)の整備が急務となっていました。
その実現の要となったのは、コーポレート・マーケティング部と「お客様コミュニケーションセンター」との連携です。ひとつの資産にまで成長した国内FAQコンテンツをベースに、多言語に翻訳して移行するという取り組みが進められました。
「グローバル化にあたっては、いくつかの壁がありました。世界中の販売会社のサポート部門を巻き込み、全員で目的意識を共有して進んでいくという、合意形成もそのひとつでした」
コーポレート・マーケティング部リテンション企画推進グループ(取材当時)の望月基史さんは、そう話します。
グローバル展開をするにあたっては、新たなシステムの構築も必要でした。それを整備したうえで、2021年のインドネシアでのリリースを皮切りに海外向けのFAQは世界各国の販売会社へと広がりました。現在は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、インドネシア語、ベトナム語、韓国語、中国語(繁体字)、ロシア語、ポルトガル語と日本語を合わせて12言語で展開。公開後1,000万ページビューを記録しています(2025年4月現在)。
「私たちが伝えたいのはグローバル共通の内容であり、国内でアクセス数が多い項目などを優先的に掲載しています。地域固有の項目については、まずローカルのFAQとして作成し、グローバルのFAQにするか検討したうえで、必要となれば展開するという流れを体系化しました」(同・井上潤さん)。
こうして、国内のお客様とのコミュニケーションで培ってきたFAQコンテンツが世界中のお客様の役に立ち、さらにそのフィードバックが世界中のお客様の声としてヤマハに届くことになりました。
「世界共通のFAQ誕生の背景には、“世界中のお客様ともっとつながりたい”というヤマハ全体の強い思いがあります」(同・鈴木浩平さん)
「FAQコンテンツはつくって終わりではなく、それをいかに進化させていくかが重要です。現在は、パソコンよりもモバイル端末で閲覧する方が多いため、スマートフォンでの見え方を意識したコンテンツ作成に力を入れています。限られた画面サイズのなかでも情報が見やすく、必要な情報にすばやくアクセスできるように工夫しています」(山田さん)
時代や環境によって変化していくデジタルコミュニケーション。ヤマハのFAQもこれで完成ではなく、次のステージにも対応すべく常に時代の声に合わせて進化を続けていきます。
文/ 福田素子
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tagged: FAQ, お客様コミュニケーションセンター, カスタマーサポート通信
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