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今月の音遊人:大塚 愛さん「私にとって音は生き物。すべての音が動いています」
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【優待チケット】親密な空間で紡がれるオール・シューベルト・プログラム/三浦文彰&清水和音インタビュー
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2025.11.28
バイオリニストの三浦文彰とピアニストの清水和音。ともに世界的に活躍するアーティストとして聴衆を魅了し続けている二人のデュオで、オール・シューベルト・プログラムを堪能できるリサイタルが、2026年1月24日にヤマハホールで開催される。今回の公演について、二人に話を聞いた。
二人はこれまでにブラームスとベートーヴェンのソナタの全曲演奏を終えており、そのスケールの大きさ、みずみずしい輝きにあふれた音色は大いに注目を集めた。約30歳という親子ほどの年齢差だが、間に流れる空気は不思議とそれを感じさせない。
「最初にご一緒したのは桐朋学園の機関誌での対談でした。お話がとても楽しくて、ぜひいつか演奏もご一緒したいと思っていたところ、2021年にその機会がめぐってきました」(三浦)
「そうなんです。初共演は、東芝グランドコンサートの歴代ソリストによるガラ・コンサートでした。実はその時に今回のプログラムにもあるシューベルトのソナチネの第2番を演奏しているのです。ラヴェルの『ツィガーヌ』やクライスラー『愛の喜び』『愛の悲しみ』も弾きましたね」(清水)
インタビューでは旧友のような親しみある会話が印象的だったが、演奏においてもそれは同様である。それぞれのなかにある音楽が重なり合い、呼吸するように流れていく。ドラマの構築にもまったく奇をてらったものはなく、自然と引き込まれてしまうのだ。
「リハーサルで“じゃあ弾いてみようか”と合わせてみたところ、ずれることも不自然なところもなく、あっさり一曲通せてしまったのを今でも覚えています。“この人は合わせが簡単すぎるぞ!”とびっくりしましたね。確かに音楽に対する価値観、そして演奏するときの呼吸感のようなものは似ていると感じるところがたくさんあるのです。そして彼の演奏で素晴らしいところのひとつが、本当に楽譜に忠実だということ。三浦さんは隅々まで作曲家の言いたいことを理解して音にしていると思います」(清水)
「ありがとうございます。少なくとも、演奏が個人的なものにならないよう心がけています。とくにアンサンブルでは、共通となるのが楽譜です。それをもとに音を重ねていくわけですから、楽譜を読み解くことは必須ですよね」(三浦)

初共演のあと、自然と次の演奏の機会や曲が決まっていったという。
「初共演のコンサートを終えたあと、“レコーディングをしよう”という話が出て、それに合わせて今後もコンサートを続けていこうという流れになりました。ちょうどソナタのレコーディングを考えていたタイミングだったのですが、誰と演奏するかというのがとても大事なのです。そんなときに清水さんと出会えたのは、本当に幸運でした」(三浦)
「初共演以降、いろいろなことが驚くほどスムーズに決まっていきました。今回のシューベルトも、その流れの中で自然と固まりました。二人ともシューベルトが大好きですしね」(清水)

シューベルトのバイオリンとピアノのためのデュオ作品はまとめて演奏される機会は少ないが、いずれもこの作曲家ならではの旋律美と繊細な和声の変化など、たくさんの魅力が詰まっている。
「今回は演奏しない『幻想曲 ハ長調』や『ロンド イ長調』を除くと、シューベルトのバイオリンとピアノのための作品は、旋律は本当に美しいのですが、派手さや技巧など魅せる要素はあまりないうえに、彼ならではの“ウィーンなまり”を音にするのが難しい。それに由来するアクセントやリズムが凝らされているので、理解していないとシューベルトらしさがいつまでも出てきません。しかし三浦さんはそれを自然とやってのけてしまうんですよね」(清水)
「ただ繰り返し練習したり、頭で考えたりすればできる、というものではないところが難しいですよね。ただ、それらも楽譜にすべて書かれていると思いますし、クライスラーなど往年の名手の演奏を聴くと“なるほど”と思うことがたくさんあります。清水さんの演奏もシューベルトの語法が鮮やかに聴こえてくるので、ご一緒していて本当に楽しいです」(三浦)
会場となるヤマハホールは333席という親密な空間であり、今回二人に語ってもらったようなシューベルトの音楽の魅力や特徴を味わうのに最適な空間と言えるだろう。
「シューベルトは木のぬくもりに包まれた空間であるヤマハホールにとても合うと思いますし、どんな響きで演奏できるか今からとても楽しみです。お客様にも、アンサンブルの繊細なニュアンスまで感じ取っていただけたら嬉しいです」(三浦)
「三浦さんは2023年の8月から1732年製グァルネリ・デル・ジェス『カストン』に楽器を変えられたのですが、この楽器の音色がまた素晴らしいのです。それにヤマハのCFXの輝きと響きの深さが合わさった音色が重なりあうことで、魅力的なシューベルトの世界をお楽しみいただけるはずです」(清水)
三浦と清水、二人の奏でる音の重なりはもちろん、呼吸まで近くで感じられる、理想的なシューベルトの世界を堪能できる貴重な機会となるはずだ。


日時:2026年1月24日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:7,000円(税込・全席指定)
出演:三浦文彰(バイオリン)、清水和音(ピアノ)
曲目:F.シューベルト/
バイオリンとピアノのためのソナチネ 第1番 ニ長調 Op.137-1, D384
バイオリンとピアノのためのソナチネ 第2番 イ短調 Op.137-2, D385
バイオリンとピアノのためのソナチネ 第3番 ト短調 Op.137-3, D408
バイオリンとピアノのための二重奏曲 イ長調 Op.162, D574
詳細はこちら
本公演の優待チケット(一般:定価7,000円/優待価格6,000円)を計10枚ご用意いたしました。
ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募期間:2025年12月14日(日)23:59まで
文/ 長井進之介
photo/ 宮地たか子
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tagged: ヤマハホール, 三浦文彰, 清水和音, ピアノ
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