今月の音遊人
今月の音遊人:挾間美帆さん「私は音で遊ぶ人のために作品を作っているのかもしれません」
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音楽知識ゼロから作曲するためのヒントが満載/『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』
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2016.9.2
tagged: ヤマハミュージックメディア, 仰木日向, まつだひかり, 作曲少女, 作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~, ライトノベル
主人公は、アベレージのど真ん中の女子高生、いろは。「自分だけの特別な何かをしたい」と作曲にトライするものの、なけなしのお小遣いをはたいて買った作曲の本はチンプンカンプン。いきなり挫折しかけた彼女が頼ったのは、女子高生作曲家でもあるクラスメイト、珠美だった。「14日間で作曲はマスターできる」と断言する珠美のもと、さまざまな壁にぶつかりながらも人生初の1曲に挑戦していく──。
その顛末にページをめくる手が止まらなくなる本書は、これまでなかったライトノベル形式の作曲入門書。読者が主人公と一緒に実際にありがちな壁を乗り越え、初めての1曲を仕上げられる本になっている。
「音楽理論書は、当然ながら音楽ができる人が書いていて、確かではあるけれど難解。新しい切り口を提案できないかという思いから、この本は生まれました」
そう語る著者は、作詞・作曲家としても活躍する仰木日向(おうぎひなた)さん。イラストは、インディーズアニメ『女子高生エフェクターを買いに行く!!』シリーズなどで注目を集める、まつだひかりさん。ツイッターを通してお互いの創作活動に惹かれ合い、かねてから親交を結んでいたというふたりの二人三脚(&最強の応援団である編集者)によって制作は進められた。
「あくまでもキャラクター小説としての面白さを追求し、その上で理論をいかに盛り込んでいくか。そのバランスは難易度が高かったですね」
仰木さんがそう話すように、本書では難しい話は最低限しか出てこない。一方で必ず習得すべきことや悩みの解決方法は丁寧に描かれているので、物語を読み進めるうちに音楽のしくみが理解でき、曲作りの方法がわかっていく。
読者がストーリーに惹きこまれ、疑似体験できるのは、ふつうの理論書には決して書かれていない初心者の心理がリアルに描かれているからだろう。実は、本書は仰木さんの経験が活かされた本でもある。プロの和太鼓奏者となったのち、プロのチューバ奏者を志して渡米。帰国した後は、演奏家から作曲家へと転身すべく音楽制作会社で作曲を学び始めた。そして、フリーランスへ。挫折感や立ちはだかる壁は、幾度となく経験したことなのだ。
また、まつださんのイラストも登場人物に思わず感情移入してしまう大きなポイントだ。「いろはと珠美が喧嘩するシーンでは、無表情で感情を表すのが楽しかったですね」というように、揺れ動く登場人物の心理が、ふんわり優しいイラストのなかで巧みに表現されている。
ところで、先ほど「作曲入門書」と紹介したが、仰木さんいわく「入門書というよりも、音楽で遊びましょうというお誘い。音楽の遊び方の本を書いたつもり」なのだそう。
「無理矢理遊ぶというのでもなく、よかったら遊んでくださいという感じ。単純に面白がって読んでいただければ、そのまま自然に吸収できると思います」
本書によれば、作曲の基本は「耳コピ」「キー」と、ごくシンプルだ。そして、物語の中では「作曲を始める前にやることは『自分が何に感動してきたか』そして『何を再現していきたいか』を真剣に考えるってことだ。これをやらないで作曲を始めて『何も作りたいものがない』とか言い出す人が結構いるけれど、音符をただいじっているだけで自分が感動してきたものなんか思い出せるわけがない」と指導役の珠美がいろはに説いている。
「珠美が『知ってるとかわかるとか別に大したことじゃないんだ』と言っていますが、作曲を始めようとする人は、頭にメモするのではなくて、自分の感動を手からアウトプットしたときに初めて一歩進めるんだと思います」(仰木さん)
本書は、作曲に挑戦している人や自分で曲を作ってみたい人にオススメの入門書であるだけでなく、音楽制作の本質にも触れられており、さまざまな読み方ができる一冊だ。
「作曲家がどういう世界観で音楽を作っているのか。彼らの頭のなかの解剖図のような本でもあるので、楽器を演奏されている方にとっては音楽はこういうしくみで作られているという読み説きのヒントになるかもしれません。また、自分以外の感性をもっている人の気持ちが理解できるようになるとも思うんです。音楽の遊び方には、いろいろなバリエーションがあるということを知っていただける本になっていたらいいなと思います」(仰木さん)。
「曲づくりだけでなく、ものづくりに挑戦してみたい方のヒントになるのではないかと思います。作曲経験者の方でも自分の音作りを改めて見直し、再認識するきっかけになる本だと思いますので、いろいろな方に読んでいただきたいですね」(まつださん)
気鋭のコンビによる一冊は、何より音楽は楽しむものだということをあらためて教えてくれる。
『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』
著者:仰木日向
まんが・イラスト:まつだひかり
発売元:ヤマハミュージックメディア
発売日:2016年6月24日
価格:1,600円(税抜)
詳細、ご購入はヤマハミュージックメディアの本書のページをご覧ください。
『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』の著者・仰木日向さんとまんが・イラストを担当したまつだひかりさん、2名のサイン入り色紙を抽選で5名様にプレゼントいたします。
※応募締切:2016年9月11日(日)
文/ 福田素子
photo/ 後藤泰宏
tagged: ヤマハミュージックメディア, 仰木日向, まつだひかり, 作曲少女, 作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~, ライトノベル
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