Web音遊人(みゅーじん)

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

子どもたちのみならず、お母さんたちからも絶大な人気を誇り、全国各地のコンサートホールを連日沸かせている金管五重奏団「ズーラシアンブラス」をご存じでしょうか? メンバーは指揮のオカピをはじめ、トランペットのインドライオンとドゥクラングール、ホルンのマレーバク、トロンボーンのスマトラトラ、チューバのホッキョクグマ。そう、彼らは希少動物からなるスーパープレイヤー集団なのです! 今回は、そんなズーラシアンブラスの活動をオーガナイズする株式会社スーパーキッズの代表、大塚治之さんにお話を伺いました。

ズーラシアンブラス

2000年に「よこはま動物園ズーラシア」のマスコットキャラクターとしてデビューしたズーラシアンブラス。「弦うさぎ」「サキソフォックス」といった動物のアンサンブルと行うコンサート「音楽の絵本」は、今では海外も含め年間約150公演を数えるほどの人気ぶりです。2011年にはズーラシアンフィルハーモニー管弦楽団もデビューし、その勢いはとどまるところを知らない彼らですが、苦節の下積み時代もあったといいます。

「自分の子どもが小さいころ、未就学児が入れるコンサートを探したんですよ。けれど当時はまったくと言っていいほどなかった。それなら未就学児も聴けるクラシック・コンサートをやろうかなと思ってはじめたのがきっかけです。まずは1999年に『弦うさぎ(うさぎの弦楽四重奏団)』を結成し、そして2000年にズーラシアの開園1周年を記念してズーラシアンブラスを結成しました。けれど最初は本当に売れなかったですね。全国を営業して歩いても、まったく理解してもらえず……もうイヤになって営業をやめ、カタログを配って“やりたいところは声をかけてください”という方式にしたら、急にあちこちのホールから声がかかるようになりました」

音楽の絵本(ズーラシアンブラス、弦うさぎ)

「音楽の絵本」の約90分のステージは、子どもたちが釘付けになる工夫がめいっぱい詰めこまれたエンタテイメント・ショー。「途中で飽きてグズりだすかも……」なんて心配はまったく無用です。それどころか、むしろ「飽きる瞬間も重要」と大塚さんは語ります。

「コンサートは2部構成ですが、子どもたちがずっと集中して聴き通すのは難しいので、メリハリをつける必要があります。まず、第1部の冒頭2~3曲が勝負。ここで、ちゃんと聴いてもらいたい曲を演奏します。あとは第1部の後半あたりにソロの曲を入れて、一気に惹きつける。ソロの力というのはすごいもので、誰もがじーっと聴き入りますからね。休憩をはさんで、第2部の頭では弦楽アンサンブルで『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』などをやって、子どもたちに思いっきり飽きてもらいます。プレイヤーには“ここで谷を掘ってね”と言っていますが、ここで谷を深く掘れば掘るほど、あとで集中力が戻ってくるんですよ。そして第2部のラストから2曲目に、もう1匹のトランペッターが登場して、おいしいところを全部持っていく。基本はそのような流れです」

ほとんどの公演は0歳から入場可。赤ちゃんも、幼稚園生も、小学生も、どの年齢の子どももオールマイティに楽しめる「音楽の絵本」ですが、その理由を尋ねると意外な答えが返ってきました。

「それは、子どもに向けて作っていないから。我々は大人に向けてコンサートを作っているんです。お母さんが面白いと思ったことを、子どもは面白いと感じます。ですから、まずはお母さんが釘付けにならないといけない。子どもって嬉しいことがあると、確認するために親の顔を見ますよね。そのとき子どもの目に映るのが、自分を見ているお母さんではなく、“ステージに夢中になっているお母さんの横顔”というのが、我々の目指すところです。お母さんが楽しいと、コンサートが終わった後も『インドライオンさんのソロがかっこよかったね!』とか、親子のコミュニケーションがはずむでしょう? どの年齢の子どもも楽しめる理由というのは、そこにあるのです」

実際、ダンディなインドライオンの華麗なソロにときめいてしまうお母さんも多いのだとか。それもそのはず、動物たちのプレイヤーの腕前は、プロ・オーケストラの首席奏者級の超一流。

インドライオン、スマトラトラ、マレーバクをはじめ、個性豊かな顔ぶれの「お友達プレイヤー」。

しかも音楽はすべて書き下ろしのオリジナル曲やアレンジ曲であるところも大きな特徴です。

「我々は作曲家のチームを作ってプロジェクトを進めています。年に数回、作曲家が集まる会議を開き、そこで企画とプログラムを出して、“これは誰が担当する”“ここはこういう風にアレンジする”といったことを決めていくんです。曲ごとに作曲家は違いますが、作曲家同士が“あの人はこうくるだろうから、自分はこうしよう”とお互いのサウンド感を考えながら、全体としてひとつのものを作り上げていくスタイルは珍しいのではないでしょうか」

演奏しながら寝てしまって子どもたちに起こされる『ブラームスの子守歌(睡眠薬入り)』、曲が始まってから楽譜が見つからなくて焦りまくる『パニックリ・フニクラ』など、まるでコントのようなネタも満載。動物たちは人間の言葉を話さないので、身振り手振りだけで笑いをとったり、キャラクターをアピールしなければなりません。

「こうやったらウケるだろうなと思ったことが、いざやってみると意外とクスクス程度で終わったり、ダメだと思っていたネタが大爆笑だったり、小さい子どものリアクションは予測がつかないこともあります。地域によってもリアクションは変わってきますし。台湾のお客さんは、プレイヤーを乗せるのが実に上手なんですよ。シーンと聴き入っていたかと思うと、ドカーンと盛り上がる。そういうときはプレイヤーもアドレナリンが出て、素晴らしい演奏をしてくれます」
今年も新キャラクターの登場や、新企画を続々計画中とのこと。音楽あり、笑いあり、ときめきあり……ズーラシアンブラスとその仲間たちのステージを、親子で体験してみませんか?

■2019年公演インフォメーション

ズーラシアン吹奏楽部!

6月22日(土)14:00開演/大阪公演(ザ・シンフォニーホール)
7月8日(月)18:00開演/横浜公演(神奈川県民ホール)

ズーラシアンブラス サマー・ミュージック・フェスティバル

8月1日(木)14:00開演/大阪公演(ザ・シンフォニーホール)
8月3日(土)14:00開演/東京公演(サントリーホール)

※その他の公演情報は、オフィシャルサイトでご確認ください。
オフィシャルサイトはこちら

 

特集

今月の音遊人 岡本真夜さん

今月の音遊人

今月の音遊人:岡本真夜さん「親や友達に言えない思いも、ピアノに聴いてもらっていました」

4373views

J.S.バッハの《コーヒー讃歌》

音楽ライターの眼

ああ、コーヒーのおいしいこと。1000回の接吻よりすばらしく、マスカット酒より甘い…… J.S.バッハ《コーヒー・カンタータ》の誕生秘話

3211views

楽器探訪 Anothertake

【モニター募集】37鍵ピアニカに30年ぶりの新モデルが登場!メロウな音色×おしゃれなデザインの「大人のピアニカ」

18126views

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

楽器のあれこれQ&A

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

4885views

【動画公開中】沖縄民謡アーティスト上間綾乃がバイオリンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】沖縄民謡アーティスト上間綾乃がバイオリンに挑戦!

4473views

マイク1本から吟味して求められる音に近づける/レコーディングエンジニアの仕事(前編)

オトノ仕事人

マイク1本から吟味して求められる音に近づける/レコーディングエンジニアの仕事(前編)

7226views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

3657views

こどもと楽しむMusicナビ

クラシックコンサートにバレエ、人形劇、演劇……好きな演目で劇場デビューする夏休み!/『日生劇場ファミリーフェスティヴァル』

2517views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

6640views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

1985views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.7

パイドパイパー・ダイアリー

最初のレッスンで学ぶ、あれこれについて

2378views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

16528views

おとなの 楽器練習記 須藤千晴さん

おとなの楽器練習記

【動画公開中】国内外で演奏活動を展開するピアニスト須藤千晴が初めてのギターに挑戦!

3055views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

6815views

なぜジャズのハードルは下がらないのか?vol.3

音楽ライターの眼

なぜジャズのハードルは下がらないのか?vol.3

3325views

オトノ仕事人

新たな音を生み出して音で空間を表現する/サウンド・スペース・コンポーザーの仕事

1815views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:音楽は和!ひとつになったときの達成感がいい

3002views

【楽器探訪 Another Take】ベルの彫刻デザインとマウスピースも一新

楽器探訪 Anothertake

ベルの彫刻デザインとマウスピースも一新

3998views

札幌コンサートホールKitara - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

あたたかみのあるデザインと音響を両立した、北海道を代表する音楽の殿堂/札幌コンサートホールKitara 大ホール

11445views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

泣いているのはどっちだ!?サクソフォン、それとも自分?

2818views

引っ越しのシーズン、電子ピアノやエレクトーンの取り扱いについて

楽器のあれこれQ&A

引っ越しのシーズン、電子ピアノやエレクトーンを安心して運ぶには?

50005views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

4588views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

16528views