今月の音遊人
今月の音遊人:曽根麻央さん 「音楽は、目に見えないからこそ、立体的なのだと思います」
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スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス
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2019.2.21
tagged: 子ども, こども, ズーラシアンブラス, ズーラシアンフィルハーモニー管弦楽団, こどもと楽しむMusicナビ
子どもたちのみならず、お母さんたちからも絶大な人気を誇り、全国各地のコンサートホールを連日沸かせている金管五重奏団「ズーラシアンブラス」をご存じでしょうか? メンバーは指揮のオカピをはじめ、トランペットのインドライオンとドゥクラングール、ホルンのマレーバク、トロンボーンのスマトラトラ、チューバのホッキョクグマ。そう、彼らは希少動物からなるスーパープレイヤー集団なのです! 今回は、そんなズーラシアンブラスの活動をオーガナイズする株式会社スーパーキッズの代表、大塚治之さんにお話を伺いました。
2000年に「よこはま動物園ズーラシア」のマスコットキャラクターとしてデビューしたズーラシアンブラス。「弦うさぎ」「サキソフォックス」といった動物のアンサンブルと行うコンサート「音楽の絵本」は、今では海外も含め年間約150公演を数えるほどの人気ぶりです。2011年にはズーラシアンフィルハーモニー管弦楽団もデビューし、その勢いはとどまるところを知らない彼らですが、苦節の下積み時代もあったといいます。
「自分の子どもが小さいころ、未就学児が入れるコンサートを探したんですよ。けれど当時はまったくと言っていいほどなかった。それなら未就学児も聴けるクラシック・コンサートをやろうかなと思ってはじめたのがきっかけです。まずは1999年に『弦うさぎ(うさぎの弦楽四重奏団)』を結成し、そして2000年にズーラシアの開園1周年を記念してズーラシアンブラスを結成しました。けれど最初は本当に売れなかったですね。全国を営業して歩いても、まったく理解してもらえず……もうイヤになって営業をやめ、カタログを配って“やりたいところは声をかけてください”という方式にしたら、急にあちこちのホールから声がかかるようになりました」
「音楽の絵本」の約90分のステージは、子どもたちが釘付けになる工夫がめいっぱい詰めこまれたエンタテイメント・ショー。「途中で飽きてグズりだすかも……」なんて心配はまったく無用です。それどころか、むしろ「飽きる瞬間も重要」と大塚さんは語ります。
「コンサートは2部構成ですが、子どもたちがずっと集中して聴き通すのは難しいので、メリハリをつける必要があります。まず、第1部の冒頭2~3曲が勝負。ここで、ちゃんと聴いてもらいたい曲を演奏します。あとは第1部の後半あたりにソロの曲を入れて、一気に惹きつける。ソロの力というのはすごいもので、誰もがじーっと聴き入りますからね。休憩をはさんで、第2部の頭では弦楽アンサンブルで『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』などをやって、子どもたちに思いっきり飽きてもらいます。プレイヤーには“ここで谷を掘ってね”と言っていますが、ここで谷を深く掘れば掘るほど、あとで集中力が戻ってくるんですよ。そして第2部のラストから2曲目に、もう1匹のトランペッターが登場して、おいしいところを全部持っていく。基本はそのような流れです」
ほとんどの公演は0歳から入場可。赤ちゃんも、幼稚園生も、小学生も、どの年齢の子どももオールマイティに楽しめる「音楽の絵本」ですが、その理由を尋ねると意外な答えが返ってきました。
「それは、子どもに向けて作っていないから。我々は大人に向けてコンサートを作っているんです。お母さんが面白いと思ったことを、子どもは面白いと感じます。ですから、まずはお母さんが釘付けにならないといけない。子どもって嬉しいことがあると、確認するために親の顔を見ますよね。そのとき子どもの目に映るのが、自分を見ているお母さんではなく、“ステージに夢中になっているお母さんの横顔”というのが、我々の目指すところです。お母さんが楽しいと、コンサートが終わった後も『インドライオンさんのソロがかっこよかったね!』とか、親子のコミュニケーションがはずむでしょう? どの年齢の子どもも楽しめる理由というのは、そこにあるのです」
実際、ダンディなインドライオンの華麗なソロにときめいてしまうお母さんも多いのだとか。それもそのはず、動物たちのプレイヤーの腕前は、プロ・オーケストラの首席奏者級の超一流。
しかも音楽はすべて書き下ろしのオリジナル曲やアレンジ曲であるところも大きな特徴です。
「我々は作曲家のチームを作ってプロジェクトを進めています。年に数回、作曲家が集まる会議を開き、そこで企画とプログラムを出して、“これは誰が担当する”“ここはこういう風にアレンジする”といったことを決めていくんです。曲ごとに作曲家は違いますが、作曲家同士が“あの人はこうくるだろうから、自分はこうしよう”とお互いのサウンド感を考えながら、全体としてひとつのものを作り上げていくスタイルは珍しいのではないでしょうか」
演奏しながら寝てしまって子どもたちに起こされる『ブラームスの子守歌(睡眠薬入り)』、曲が始まってから楽譜が見つからなくて焦りまくる『パニックリ・フニクラ』など、まるでコントのようなネタも満載。動物たちは人間の言葉を話さないので、身振り手振りだけで笑いをとったり、キャラクターをアピールしなければなりません。
「こうやったらウケるだろうなと思ったことが、いざやってみると意外とクスクス程度で終わったり、ダメだと思っていたネタが大爆笑だったり、小さい子どものリアクションは予測がつかないこともあります。地域によってもリアクションは変わってきますし。台湾のお客さんは、プレイヤーを乗せるのが実に上手なんですよ。シーンと聴き入っていたかと思うと、ドカーンと盛り上がる。そういうときはプレイヤーもアドレナリンが出て、素晴らしい演奏をしてくれます」
今年も新キャラクターの登場や、新企画を続々計画中とのこと。音楽あり、笑いあり、ときめきあり……ズーラシアンブラスとその仲間たちのステージを、親子で体験してみませんか?
6月22日(土)14:00開演/大阪公演(ザ・シンフォニーホール)
7月8日(月)18:00開演/横浜公演(神奈川県民ホール)
8月1日(木)14:00開演/大阪公演(ザ・シンフォニーホール)
8月3日(土)14:00開演/東京公演(サントリーホール)