今月の音遊人
今月の音遊人:宇崎竜童さん「ライブで演奏しているとき、もうひとりの宇崎竜童がとなりでダメ出しをするんです」
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われら音遊人: 地域の人たちの喜ぶ顔を見るために苦しいときも前に進み続ける
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2022.10.12
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, 武豊吹奏楽団
2019年末からのコロナ禍は、アマチュアバンドの活動にも多大な影響を及ぼしています。
活動休止を余儀なくされるバンドも少なくないなか、感染防止対策を徹底しながら、「今できること」に精いっぱい取り組んでいるバンドの様子をご紹介します。
名古屋から南下し、知多半島のちょうど中央部に位置する武豊町。武豊吹奏楽団は、主に地元出身のメンバーで構成され、知多半島最南端の吹奏楽団として活動している。
練習場所である北山区民館をのぞくと、指揮を振る平川盛男さん(普段はトランペット担当)の声が響いていた。「この8分音符のアクセントはもっときちんとつけて」「ここはスラーだから、音がなめらかにつながるように意識して」。真剣な面持ちでそれに応えようとする団員たち。のどかな住宅街にある区民館は熱気に包まれていた。
武豊吹奏楽団がスタートしたのは2007年4月。学生時代に吹奏楽部だった団長の舩坂容子さん(アルトサクソフォン担当)が、周りのママ友を誘ったのがきっかけだ。
「子どもが通っていた児童クラブのお母さんのなかに、吹奏楽部だった人が何名かいることがわかりました。当時、地元武豊町にはアマチュア吹奏楽団がなかったこともあり、『じゃあ、みんなでやらない?』という軽い気持ちで、ご近所さんにも声をかけたり、武豊町全域に団員募集の回覧板を回したりして20名くらいが集まりました」
小さな声かけから始まった楽団は、メンバーの入れ代わりはありつつ、2022年の4月で16年目に突入。定期演奏会や地元のイベント参加など、地域密着型の活動を続けてきた。
「入団テストなどはなく、楽器経験者で、毎週土曜日、練習場所に来られる人なら誰でも歓迎しています。メンバーの年齢、職業、演奏歴はさまざまで、創立時から続けている人もいますし、夫婦や親子で参加する人、メンバーのつながりで入ってくる人など、今では近隣の市町まで輪が広がっています」と舩坂さん。
コロナ禍による緊急事態宣言の発令によって区民館の使用が難しくなり、2度にわたって長期の練習自粛を余儀なくされた。
「自粛期間中は思うように練習できなかったメンバーがほとんどではないでしょうか」と、楽団の事務局長でもある平川さんは言う。
先行きが読めないなか、皆の大きな支えとなったのが年に一回開催される定期演奏会。だがこれも感染拡大に翻弄されることとなり、2020年は、6月に予定されていた第12回定期演奏会を翌年の3月に延期。2021年9月の第13回定期演奏会は、一週間前に愛知県から緊急事態措置が発出され、泣く泣く中止せざるを得なかったそうだ。
「ほかの公演も軒並み中止になっていましたし、自分たちの力ではどうにもならないこととわかっていましたが、やるせない気持ちでいっぱいでした」と、平川さんは振り返る。
一方、2022年に入って明るいニュースもあった。6月には、第14回定期演奏会を無事に開催。感染者が減っていた時期だったため、人数制限もなく、大勢のお客さんで例年以上の盛り上がりをみせたという。また、コロナ禍をきっかけに始まった屋外イベントへの参加など、新たな活動の場も生まれている。
「私が舞台演出を考えていますが、誰もが知る映画やドラマのヒットソングメドレーを必ず演奏したり、曲の内容に合わせて仮装したメンバーが寸劇をしたり、お客さんと一緒に楽しめる工夫をしています。お客さんに喜んでいただけることが何よりの喜びであり、やりがいになっています」と語る舩坂さん。
当たり前のようにやっていた練習や公演を、突然できなくしてしまったコロナ禍。だが、みんなで音を合わせる楽しさや、観客の前で演奏を披露し、拍手をもらうことの喜びを強く感じることもできた。
この日の練習でも、秋のイベントに向けた曲目の話し合いや、音合わせが行われていた。思いどおりにいかないコロナ禍にあっても、武豊吹奏楽団の団員たちの目は前を向いているようだ。
Q.練習の自粛期間中、何か特別なことをしましたか?
団員有志によるリモート演奏にチャレンジし、YouTubeに動画をアップしました。初の試みで編集などに苦労しましたが、みんなで集まれなくてもモチベーション維持に貢献できれば、との思いで実施しました。
Q.コロナ禍の中での活動で気を配っていることは?
使用する施設のガイドラインとは別に、楽団独自の感染拡大防止ガイドラインを作成。使用した椅子や共有部のアルコール消毒、床のモップ掛けをしています。また、休憩時にはかならず窓を開けて換気を行います。
バンド紹介
●バンド名:武豊吹奏楽団
●結成時期:2007年4月
●活動内容:愛知県知多部武豊町を拠点に、年1回の定期演奏会や地域のイベントで演奏を披露
●練習頻度:毎週土曜日、3時間程度
●平均年齢:学生から中高年まで
●メンバー:ピッコロ&フルート3名、オーボエ1名、クラリネット6名、バスクラリネット1名、アルトサクソフォン2名、テナーサクソフォン1名、バリトンサクソフォン1名、ホルン5名、トランペット4名、トロンボーン2 名、ユーフォニアム1名、チューバ1名、パーカッション2名 計31名
オフィシャルサイト
音楽情報誌「音遊人」とWebマガジン「Web音遊人」にご登場いただける、仕事をしながら活動を続けているアマチュアバンドや楽団を募集しています。ジャンルは問いません。ぜひ、取材にご協力ください。
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文/ 武田京子
photo/ 村川荘兵衛
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