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今月の音遊人:H ZETT Mさん「音楽は目に見えないですが、その存在感たるやすごいなと思います」
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“HAPPYな愛”をテーマに豪華アーティスト11名が楽曲を書き下ろした、新作『LOVE 2』/平原綾香インタビュー
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2017.4.21
進化を止めない歌手、平原綾香。デビュー時から類い稀なる歌唱力を誇り、たゆまぬ努力を続け、アルバムを発表する度に聴き手に新たな驚きを与えてくれる。そんな彼女のニューアルバム『LOVE 2』が届いた。愛らしい表現が目立ち、幸せな空気に満ちた作品だが、その影には謙虚に学ぶ姿勢と徹底したプロ意識が垣間見える。
『LOVE 2』は、2016年に発表したアルバム『LOVE』シリーズの第2章。前作は、中島みゆき、財津和夫、徳永英明らそうそうたる顔ぶれのシンガーソングライターに「愛の歌」を1曲ずつ書き下ろしてもらった。シングルを集めたベスト盤のような贅沢な傑作は、本人もよほど手応えを感じた様子。「完成した時に、これはシリーズ化したいという思いがあったんです」
今作の楽曲の提供には、谷村新司、原由子、宮沢和史らが顔をそろえた。
意中の作家に依頼の手紙を書くところから始まり、歌唱を吹き込んだデモテープを送ってアドバイスをもらうという丁寧な制作スタイルをとる。「書き下ろしていただいた曲だから自分が思う通りに歌う、というやり方もあると思うのですが、我が子のように大切に作っていただいた楽曲なので、納得していただけるように歌いたいと思っているんです」
それぞれ独特な世界感を持ったアーティストの楽曲を歌うことによって、曲ごとにガラリと異なる歌の表現を楽しめる。前作の1曲目では、玉置浩二提供の『マスカット』で妖艶な歌声を披露して驚かせたが、今作の幕開けはその対極をいくあどけないイメージ。前作にも参加した諫山実生作詞・作曲の『私 結婚します』という楽曲で、「お父さん、お母さん、私、結婚します」と始まる歌い出しは、あえてたどたどしくリズムに乗って新鮮だ。「前作は悲しい愛や大人の愛が多かったので、次は“HAPPYな愛”を中心に制作してみようというテーマが出来上がりました。それをお伝えしたら、阿木燿子さんと宇崎竜童さんが本当にすてきな曲『世界で一番幸せな娘』を書いてくださって、聴いた父も母も泣いていました。まるで平原綾香がすぐにでも結婚するかのような曲ですが、いまのところその予定はございません(笑)」
とはいえ今作には、姉のAIKAと、その夫で音楽プロデューサーのニコラス・ファーマカリディスとの間に長女が生まれたという平原家の慶事も反映されている。「初めて叔母になり、『この子が笑顔だったらそれだけで満足だわ』なんて思える幸せを感じています」。そんな彼女の気持ちは、姉夫婦共作の『僕へのPeace Song』に見てとれる。
藤巻亮太が提供した『三日月○○』も、子どもの歌声が入っていて楽しい。「地方のホテルのお風呂に入ってこの曲を聴いている時に『これは子どもの声なくしては完成しない』と思って。大親友が音楽教室の先生なのですが、彼女に協力をお願いして、5歳から小学6年生ぐらいの子どもたちにも歌ってもらったのです」
自身でも、壮大な人類愛の歌『La La LOVE』を作詞作曲。また男子のピュアな感情をつづった『YOU ARE MY LOVE SONG』には、織田哲郎が曲を付けて心温まるラブソングに仕上げた。だが平原は、自分の幸せを歌にすることは、ほとんどないという。「苦しい思い、辛いなあという思いは、吐き出して歌詞にして、自分と同じような思いをしている人たちに読んでもらい、共感してもらいたい。でも、幸せだなという思いは、吐き出さずにとっておきたくて、なかなか言葉にできないものなのです」
19歳でデビューし、現在32歳。「青春時代を全部音楽に捧げている状態」と話す。声域を広げ、スキャットやタップダンスにも挑戦し、ミュージカルやオペラの歌唱にも取り組んできた。「これが自分の生きる道。できないことにチャレンジしていかない限り、成長はないと思う」。どこまでもストイックな彼女は、もがきながら音楽を紡ぎつつも、苦しんでいる姿は決して見せない。
その思いは、収録曲『La La LOVE』の歌詞「愛とは、闇の中で微笑む勇気」にあった。「苦しい時、怖い時って、だいたいの人は笑えないじゃないですか。だから、辛くても微笑んだ時、それこそが愛だよねと思ったのです」。常日頃、「顔晴る(がんばる)」という言葉を愛用している平原らしく、新作『LOVE 2』への思いを締めくくってくれた。
――ちなみにこの曲は、以前占いで前世が宇宙人と言われたことから「宇宙人目線で愛を描いた」という。それを谷村新司に告げた時のやりとりは、できすぎた小咄のように面白い。
谷村「空を見上げて最初に見つけた星がふるさとなんだよ」
平原「私、オリオン座しか分からないです」
谷村「じゃあ、オリオン座が絶対そうだよ。綾香の『綾』ってどうやって名付けてもらったの?」
平原「人の絆や音を織りなす女性になってほしいって」
谷村「やっぱりね。『織る音』=『オリオン』でしょ」
平原「ほんとですね!ちなみに谷村さんはどこなんですか?」
谷村「僕?もちろんスバル(昴)だよ(笑)」
■アルバムインフォメーション
『LOVE 2』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2017年4月26日
価格:3,240円(税込)
その他、コンサートやリリース情報はオフィシャルサイトでご確認ください。
文/ 仁川 清
photo/ 後藤泰宏
tagged: インタビュー, アルバム, 平原綾香, LOVE2
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