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陸上自衛隊中央音楽隊の演奏の魅力とは?初めて明かされる素顔と活動/陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏楽入門
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2017.8.25
tagged: ブックレビュー, 陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏楽入門, 武田晃
国賓の歓迎式典や国際的なスポーツの祭典などで耳にする演奏。どんな団体が演奏しているの?と思った人もいるはず。そうしたセレモニーで最も多く演奏しているのが、陸上自衛隊中央音楽隊(以下、中央音楽隊)だ。中央音楽隊は1951年に発足(発足当時は警察予備隊音楽隊)。現在は陸、海、空の各自衛隊に音楽隊があり、陸上自衛隊だけでも全国で21の音楽隊が活躍中だが、そのなかでも、最も重要な国の行事において、日本を代表して「特別儀じょう」演奏をする機会が多いのが中央音楽隊なのだ。
その中央音楽隊の、あまり知られてこなかった活動の紹介も折り込んだ『陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏楽入門』が出版された。2007年から2017年まで隊長を務めた武田晃が「中央音楽隊の活動を知ってもらうきっかけになれば」と編集に全面協力。その結果、「楽器の持ち方や構え方に決まりがある」「歌や踊りも含め、バラエティに富んだ曲を演奏する(大型ステージイベント、ニコニコ超パーティで演奏した『千本桜』が話題に)」「年間約180回の本番をこなす、スケジュール調整が日本一大変な吹奏楽団」「演奏以外の裏方もすべて隊員がこなす」など、中央音楽隊の素顔を伝える興味深い一冊が誕生した。
隊員のふだんの活動や音楽隊員になるための道のり、といった情報に加え、「これまで個人が表に出ることはほとんどなかった」というなかで実現した「中央音楽隊の音の磨き方」では、パート別に隊員が登場し、演奏で心がけていること、個人練習の方法、アンサンブルのコツなどを伝授。音楽隊での演奏を夢みる人はもちろん、日々、演奏力アップを目指して練習している吹奏楽部の人たちにとって大いに役立つ情報が満載だ。
東日本大震災での災害派遣演奏をきっかけに注目度も高まった自衛隊音楽隊。被災各県をたびたび訪れ演奏したなかで、「演奏を聴いて平常心になれた」という被災者の声を聞き、武田は「音楽は乱れた心を整理する働きもある」と感じたという。その際、選曲においても「マーチは、どんな時代のどんな国の曲でも受け入れられる」と気づかされた。「改めてマーチは普遍的だと思いました」(武田)
プロもアマチュアも、日々「聴く人の心に届く演奏とは何か」を追求している。その答えに近づくためのヒントが、本書から読み取れるかもしれない。「そのように読んでいただけたら嬉しいですね」と微笑む武田は、読者に向けて「楽器は長く続けられる素晴らしい趣味。ぜひ続けてほしいと思います。たとえ演奏を止めたとしても、聴くことで音楽を続けてほしいですね」と力強く語った。
『陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏楽入門』
著者:武田晃
発売元:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日:2017年7月24日
価格:1,700円(税抜)
詳細、ご購入はヤマハミュージックメディアの本書のページをご覧ください。
文/ 芹澤一美
photo/ 柏弘一郎
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