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ディープ・パープル、最後の来日となるか?2018年10月、The Last Goodbyeジャパン・ツアー決定!
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2018.5.11
2018年のロック界で頻繁に話題になるのが、アーティストの引退問題だ。
ロックの高齢化が進んでいき、70歳を超えるベテラン・ミュージシャンも決して珍しくない昨今。サラリーマンだったらとうに定年退職という年齢ゆえ、ハードなツアー活動で体調を崩してしまう前にリタイアするのも選択肢のひとつだろう。2018年にさよならツアーを行うことを発表したアーティストにはエルトン・ジョン、プリティ・シングス、ポール・サイモン、オジー・オズボーン、レーナード・スキナード、スレイヤーなどがいる。スレイヤーは最高年齢のトム・アラヤが1964年生まれの56歳と、ほかのアーティストと比べるとひと世代下だが、その激しい音楽性を考えると、仕方がないかもしれない。
ディープ・パープルもまた、2017年から“ザ・ロング・グッドバイ”ツアーを開始。ツアー活動からの撤退を示唆している。
1968年に結成、「ブラック・ナイト」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハイウェイ・スター」「紫の炎」などハード・ロックの歴史に輝く名曲を発表してきた彼ら。2017年の最新アルバム『インフィニット』もイギリスのチャートで6位、ドイツで1位とヒットを記録している。
バンドの終着の地についてはまだ発表がないものの、メンバーたちは今回が最後の大規模ワールド・ツアーになると宣言している。シンガーのイアン・ギランは「良いライヴができるうちに終わりたい。これまでディープ・パープルは何も計画を立てずに50年やってきたけど、最後の幕引きぐらいはきっちりやろうかと考えている」と語っているし、ギタリストのスティーヴ・モーズも「ヨボヨボなのに自分だけがそれに気付かない状態で活動を続けるのは避けたい」と説明している。キーボード奏者のドン・エイリーは創設メンバーだったジョン・ロードに代わって2001年からバンドと行動を共にしてきたが、当初は「10年もやれば十分」だと考えていたそうだ。『ナウ・ホワット?!』(2013)と『インフィニット』という2枚でバンドの創造性が再燃したことで、彼は留まることになったが、いよいよゴールが迫ってくるのを感じたと語っている。
ギランは「バンドの創造性は干上がっていないし、おそらくアルバムは作り続ける」と言っているが、モーズの手の関節炎や、ドラマーのイアン・ペイス(もはや唯一のオリジナル・メンバーだ)が2016年に心臓発作を起こすなど、健康面を考えると、ディープ・パープルがいつまで存続するかは神のみぞ知る、である。
キッスが20年以上“さよならツアー”を続けたり、サバトンが『ザ・ラスト・スタンド』というアルバムの題名に引っかけて“ザ・ラスト・ツアー”と銘打ったりなど、ロック・アーティストの“最後”はあてにならないものだが、ディープ・パープルの場合は年齢的な部分もあり、そのフィナーレは決して遠い未来ではないだろう。
2017年、当初は『インフィニット』に伴うツアーという色合いが濃かったが、徐々にクラシックスの割合が増していき、同年末の時点ではまさにさよならツアー的なベスト選曲のショーとなっている。
そして発表されたのが2018年10月の日本公演だ。ディープ・パープルと日本の関係は長く、深いものだ。1972年8月の初来日公演を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』はロックのライヴ・アルバム最高峰のひとつに挙げられ、彼らの評価を高めることになった。イアン・ギランとロジャー・グローヴァーを含む“黄金の第2期”が最後のライヴを行ったのも日本だったし、トミー・ボーリンが参加した第4期でも『ラスト・コンサート・イン・ジャパン』が録られている。1993年11月にギタリストのリッチー・ブラックモアが電撃脱退、12月の日本公演は急遽ジョー・サトリアーニを迎えて行われた。波乱に富んだバンドの歴史のいくつかのターニングポイントを目撃してきた日本のファンに、彼らが最後の挨拶をしに来るのだ。
半世紀にわたりハード・ロック界を照らしてきた太陽といえるディープ・パープルの歴史が、幕を閉じようとしている。名盤『ライヴ・イン・ジャパン』から46年、我々はその最終章を見届けねばならない。
2018年
10月14日(日):幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
10月15日(月):名古屋国際会議場センチュリーホール
10月17日(水):大阪フェスティバルホール
10月20日(土):広島上野学園ホール
10月22日(月):福岡サンパレス ホテル&ホール
山崎智之〔やまざき・ともゆき〕
1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に850以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検第1級、TOEIC 945点取得
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