“ビートルズ嫌い”という思い込みを正すきっかけをつくってくれたジャズ・カヴァーという“遺産”

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“ビートルズ嫌い”という思い込みを正すきっかけをつくってくれたジャズ・カヴァーという“遺産”
音楽ライターの眼
“ビートルズ嫌い”という思い込みを正すきっかけをつくってくれたジャズ・カヴァーという“遺産”

2年前の2016年、ある雑誌からビートルズに関する内容のアンケート取材を受けたことがあった。

それは、自分のなかのビートルズ感を振り返ることにもなった。

天邪鬼が原因だった“ビートルズ嫌い”

どんなビートルズ感だったのかといえば、自分をビートルズ世代と呼ぶにはちょっとずれていること、そのために「ビートルズは“嫌い”」と思っていたほうが楽だったこと、それなのにジャズにアレンジされたビートルズ・ナンバーが気になることが多くなっていたこと――などを挙げて、自分の“ビートルズ嫌い”がいわゆる“すでに人気のあった対象に対する単純な反発”にすぎなかったことを認め、ビートルズをほかのジャズ・スタンダードをつくってきた先人たちと同列に扱うことにした、と答えていた。

このときボクが推薦したビートルズ・カヴァーのジャズ・ナンバーはブラッド・メルドーによる「シーズ・リーヴィング・ホーム」(2005年『デイ・イズ・ダン』収録)だったのだけれど、これはブラッド・メルドーの表現力を優先させた選択で、“ビートルズのカヴァー”という視点をあまり考慮したものではなかったことを白状しなければならない。おまけに、ブラッド・メルドーを選んでおいたほうがジャズ評論家としての体裁を保てるのではないかと考えていなかったと言えば嘘になるかな……。

いずれにしても、ビートルズ・ナンバーのジャズ・カヴァーを意識したのはブラッド・メルドーが最初ではない。

“隠れビートルズ・ジャズ・ファン”の愛聴曲?

メルドーよりも明らかにハードローテーションだったのはグラント・グリーンの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」(1970年『グリーン・イズ・ビューティフル』収録)だし、この演奏を聴くといつも思い出していたのがウェス・モンゴメリーの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」(1967年『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』収録)だった。

ウェス・モンゴメリー版は音楽史に遺る大ヒットを記録したから、このレコーディングを嚆矢(こうし)としてジャズとビートルズの付き合いが始まったのかなと思っていたのだけれど、調べてみたらそうではなかったことも見えてきて、いずれ原稿にしたいと思っていたのだ。

次回は、そのあたりのことに触れてみよう。

富澤えいち〔とみざわ・えいち〕
ジャズ評論家。1960年東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる生活を続ける。2004年に著書『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)を上梓。カルチャーセンターのジャズ講座やCSラジオのパーソナリティーを担当するほか、テレビやラジオへの出演など活字以外にも活動の場を広げる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。『井上陽水FILE FROM 1969』(TOKYO FM出版)収録の2003年のインタビュー記事のように取材対象の間口も広い。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。
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文/ 富澤えいち