Web音遊人(みゅーじん)

LE VELVETS

結成10周年記念、2年ぶりのアルバム!心揺るがす美声でドラマチックな世界を表現『TEATRO CLÁSICO』/LE VELVETSインタビュー

2018年に結成10周年を迎えるクラシック・ヴォーカルグループLE VELVETS。バリトンの宮原浩暢、テノールの佐賀龍彦、日野真一郎、佐藤隆紀、メンバー全員が音大卒という確かな技量に加え、クラシックをベースにロックやジャズ、民謡も取り入れる多彩な音楽性で、音楽チャートのクラシック部門を席巻。コンサートも国内はもとより海外でも行うなど、華々しい活動を展開している。

佐賀「結成当初は、今の状況なんて想像できなかった。なんせ路上ライブをやってましたから。パワーの感じられない歌だと、誰も立ち止まってくれなくて……辛い経験でしたね」
宮原「今でこそホールのコンサートやディナーショーなど、いろんなことをやらせていただいていますが、当時はそんな幅広い世界があることもしらず、とにかく歌うことに必死で……」
日野「グループを組むのも初めてだし、クラシックを学んできたから、ジャズとか民謡を歌うことに戸惑うばかりで。宮原さんが言ったように、とにかく目の前のことを一生懸命にやって、それを日々こなしていく感じでしたね」
佐藤「メンバー同士でぶつかったこともありました。でもその山あり谷ありの10年間が、アーティストとしても人間としても成長させてくれた。メンバーの結束は、今一番強くなってますね」

LE VELVETS

左から、テノールの日野真一郎と佐賀龍彦。

ジェントリーな佇まいからは想像できない、葛藤しながら進み続けた日々。そこで培ったチャレンジ精神は、2年振りとなるアルバム『TEATRO CLÁSICO』で、これまで以上に発揮されている。
例えばシンフォニックジャズの代表曲であるガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」は、ピアノと管弦楽で成立する楽曲だが、それに日本語の歌詞を付けドラマチックに歌いあげている。
宮原「メロディ構成が難しくて“歌がのるかな?”とも思いましたけど、僕達は4人いるから音域が広く、表現にも幅が出たので、形にできたんだと思います」
佐賀「歌詞に“届いたメールが心の灯をともす”など、現代的な要素を入れているのも、新たな挑戦ですね」

世界的ロックバンド、ザ・ポリスの「ロクサーヌ」は、情熱的なタンゴにアレンジ。娼婦に恋をした男が、他の男に抱かれる彼女に心狂わす物語が、より一層狂おしく歌われている。
佐藤「この曲は宮原さんの怒りに満ちた語りで始まり、各人が繋いでいくんですが、日野さんの声が……いやらしいんですよ(笑)」
宮原「ちょっとウィスパーボイスでね。燃え上がる怒りというよりは、沸々とした嫉妬という感じで」
日野「こ、この野郎って(笑)」
佐賀「それぞれみんなが、自分にしか出せない表現をしているのが面白いですよね」

モーツァルトの曲を大胆にアレンジした「クアトロ・ジョヴァンニ~アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などは、ポップなサウンドや艶っぽい歌詞が、クラシックの隠れたキャッチーさを引き出している。
佐賀「これは予想以上に面白い感じになりました。クラシックの声で歌っているけど、あえてラジオボイス(=籠った響き)っぽい加工もしているし。歌詞も僕ら4人をドン・ジョヴァンニに例えて、ひとりの女性を誰が口説き落とすか、みたいに仕上げられていて」
佐藤「ミュージカルを意識した、遊び心のある作品ですよね」

そうしたチャレンジングな作品が並ぶ一方で、オリジナル曲「FLEUR~花」のように、美しいピアノの響きと大切な人への想いを綴った歌詞で、ストレートに心をふるわす楽曲もある。
日野「気づいたら口ずさんでしまうようなメロディにしたいなと思って、まず曲を作って、歌詞は聴く人によっていろんな風に解釈できる感じで進めていたんですが、作詞家の方とやりとりしているうちに、大切な人や家族をテーマにすることになったんです」

LE VELVETS

左から、バリトンの宮原浩暢とテノールの佐藤隆紀。

アルバム最後を飾る曲「VIVERE」も、雄大な歌声がみずみずしいエネルギーを放ち、音楽の力、仲間との絆、応援してくれるファンの愛情を信じる彼らの姿を感じさせる。
宮原「路上ライブ時代から歌っていますが、歌があるから僕達は生きられる、そういうメッセージ性がピッタリだなって思うんです」
佐賀「今回のアルバムは2年ぶりなので、自分たちにとって勝負だと思っています。でもその一方で、自分たちが楽しんで生まれた音楽こそ人に伝わるのだとも思うので。レコーディング中も互いのソロ・パートを聴きながら “じゃあ僕はこうしてみよう”という感じに、物語を4人で作っていくようで楽しかったですね」

10年という節目を迎え、新たなステージに踏み込んだLE VELVETS。劇場という意味のTEATRO(テアトロ)を冠した最新アルバムは、彼らの新たな舞台の幕が開いたことを告げているのだ。

■アルバムインフォメーション

『TEATRO CLÁSICO』
LE VELVETS
発売元:株式会社ハッツアンリミテッド
発売日:2018年10月10日
価格:CD+DVD 4,200円、CD3,500円(いずれも税込)

■10 th Anniversary LE VELVETS コンサート2018「Teatro Clásico」

11月15日(木)ももちパレス(福岡)
11月23日(金・祝)昭和女子大学人見記念講堂(東京)
11月29日(木)森ノ宮ピロティホール(大阪)
12月5日(水)アートピアホール(愛知)
詳細はこちら

 

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:小山田圭吾さん「唯一の趣味が音楽だった」

16511views

音楽ライターの眼

イタリアン・シネマチック・ファンク・バンド、カリブロ35が新作アルバム『モーメンタム』を発表

365views

楽器探訪 Anothertake

【モニター募集】37鍵ピアニカに30年ぶりの新モデルが登場!メロウな音色×おしゃれなデザインの「大人のピアニカ」

18133views

ピアノやエレクトーンを本番で演奏する時の靴選び

楽器のあれこれQ&A

ピアノやエレクトーンを本番で演奏する時の靴選び

33186views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

3375views

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

オーケストラのステージの“演奏以外のすべて”を支える/オーケストラのステージマネージャーの仕事(前編)

30795views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

10252views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

2928views

ギター文化館

楽器博物館探訪

19世紀スペインの至宝級ギターを所蔵する「ギター文化館」

7608views

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う 結成30年のビッグバンド

われら音遊人

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う、結成30年のビッグバンド

4250views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.8 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

初心者も経験者も関係ない、みんなで音を出しているだけで楽しいんです!

2559views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

4589views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:若き天才ドラマー川口千里がエレキギターに挑戦!

4425views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

13313views

ジャズとクラシックの関係性

音楽ライターの眼

ジャズとクラシックの距離を測るための極私的な指標について

1480views

オトノ仕事人

音楽フェスのブッキングや制作をディレクションする/イベントディレクターの仕事

6131views

われら音遊人

われら音遊人:ママ友同士で結成し、はや30年!音楽の楽しさをわかちあう

1968views

reface

楽器探訪 Anothertake

個性が異なる4機種の特徴、その楽しみ方とは?

3438views

しらかわホール

ホール自慢を聞きましょう

豊潤な響きと贅沢な空間が多くの人を魅了する/三井住友海上しらかわホール

6230views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

泣いているのはどっちだ!?サクソフォン、それとも自分?

2818views

サクソフォンの選び方と扱い方について

楽器のあれこれQ&A

これからはじめる方必見!サクソフォンの選び方と扱い方について

14834views

こどもと楽しむMusicナビ

サービス精神いっぱいの手作りフェスティバル/日本フィル 春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」

3939views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

13985views