Web音遊人(みゅーじん)

ドイツのプログレッシヴ/ポスト・メタル最重要バンド、ジ・オーシャンが2019年10月に初来日

ドイツのプログレッシヴ/ポスト・メタル最重要バンド、ジ・オーシャンが2019年10月、初来日公演を行うことが決定した。

2011年、ドイツのベルリンで結成。壮大なスケールの大作主義は、世界中の音楽リスナーを圧倒してきた。地球誕生から肉眼で見える生物が誕生するまでの40億年、先カンブリア紀をテーマとした『Precambrian』(2007)、コペルニクスの太陽中心説(地動説)を描いた『Heliocentric』(2010)、ユダヤ/キリスト教的価値観の人間中心主義を題材とした『Anthropocentric』(2010)、地球の海層を音楽化した『Pelagial』(2013)など、地球規模の世界観を描くアルバムを発表している。あまりにスケールが大きすぎてアルバム1枚に収まりきらず、2枚に及ぶことも少なくない。

2018年11月に発売された最新アルバム『顕生代~破壊と創生 第一部:古生代』においても、そんなコンセプトは貫かれている。『Precambrian』の続編的作品であるこのアルバムは、2020年発表予定の『顕生代~破壊と創生 第二部&第三部:中生代&新生代』と共にひとつの世界観を成しており、5億年前から現代に至る地球史が描かれている。

クラシック音楽ではグスタヴ・ホルストが太陽系の地球を除く惑星を題材とした組曲『惑星』を1920年に初演しているが、それに比するスケールの作品をロックで発表し続けるのがジ・オーシャンなのである。

バンドのギタリストであり創始者、そしてトータル・コンセプトのヴィジョンを担うリーダーのロビン・スタップスは、ジ・オーシャンを単なるロック・バンドでなく、”コレクティヴ(集合体)”と定義している。音楽作品の発表やライヴ・パフォーマンス、ビデオ、ウェブ媒体、他アーティストの作品もリリースする「ペラジック・レコーズ」運営など、多彩なアート表現が行われており、『顕生代~破壊と創生 第一部:古生代』のジャケットにはこれまでの”The Ocean”でなく”The Ocean Collective”とはじめてクレジットされている。

そんな彼らのライヴ・パフォーマンスを、ロビンは「別世界に沈んでいく1時間半のエクスペリエンス」と表現する。ヘヴィでダイナミックなサウンドに加えて、ライティングやストロボ・ライトを駆使してヴィジュアル的にも魅了するライヴは、ヨーロッパや北米のアンダーグラウンド・シーンでカルト的な支持を得ている。そのスケール感からすると大規模な野外フェスティバルなどが向いているかとも思われる彼らのステージだが、ロビンいわく「ジ・オーシャンの音楽をフルに体験するならクラブの単独公演が良い。俺たちは闇に属するバンドだから」とのことだ。

遂に実現することになった日本でのライヴは2019年10月6日(日)東京・下北沢ERAでのライヴ・イベント「Tokyo Jupiter Records presents JAPAMOSPHERE 2019」(スウェーデンのTengilらも出演)、そして2019年10月7日(月)東京・高円寺HIGHでのヘッドライナー・ショーという2公演。どちらもクラブ規模であり、”闇に属するバンド”であるジ・オーシャンを体感するにはベストな環境だといえる。

炭素を極限までの高圧力で凝縮させるとダイヤモンドになる。46億年におよぶ地球の歴史をロックで凝縮させたジ・オーシャンのライヴは、我々の心にダイヤモンドを輝かせるであろう。

■アルバムインフォメーション

『顕生代~破壊と創生 第一部:古生代 / Phanerozoic I:Palaeozoic』

アーティスト名:ジ・オーシャン
発売元:P-VINE
価格:通常盤 2,500円(税抜)
詳細はこちら

■公演インフォメーション

「Tokyo Jupiter Records presents The Ocean LIVE IN TOKYO 2019」
主催:Tokyo Jupiter Records
東京公演:2019年10月6日(日)下北沢ERA
東京公演:2019年10月7日(月)高円寺HIGH
詳細はこちら

 

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:石丸幹二さん「ジェシー・ノーマンのような表現者になりたい!という思いで歌の世界へ」

14600views

ジャズとロックの関係性

音楽ライターの眼

ジャズ・ギターとビートルズの出逢い~『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』が生まれるまで

4688views

CLP-800シリーズ

楽器探訪 Anothertake

グランドピアノの演奏体験を全身で感じられる電子ピアノ── クラビノーバ「CLP-800シリーズ」

3626views

初心者におすすめのエレキギターとレッスンのコツ!

楽器のあれこれQ&A

初心者におすすめのエレキギターと知っておきたい練習のコツ

27532views

おとなの楽器練習記:岩崎洵奈

おとなの楽器練習記

【動画公開中】将来を嘱望される実力派ピアニスト、岩崎洵奈がアルトサクソフォンに初挑戦!

13071views

小林洋平

オトノ仕事人

感情や事象を音楽で描写し、映画の世界へと観る人を引き込む/フィルムコンポーザーの仕事

5246views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

10371views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

10340views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

14592views

練馬だいこんず

われら音遊人

われら音遊人:好きな音楽を通じて人のためになることをしたい

6901views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

6465views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

28219views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

9720views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

15557views

ムソルグスキー「展覧会の絵」、創作欲を刺激する余白、ELP版はプログレの大門

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase8)ムソルグスキー「展覧会の絵」、創作欲を刺激する余白、ELP版はプログレの大門

11229views

弦楽器の調整や修理をする職人インタビュー(前編)

オトノ仕事人

見えないところこそ気を付けて心を配る/弦楽器の調整や修理をする職人(後編)

9215views

われら音遊人

われら音遊人:みんなの灯をひとつに集め、大きく照らす

6744views

楽器探訪 - ステージア「ELC-02」

楽器探訪 Anothertake

持ち運び可能なエレクトーン「ELC-02」、自由な発想でカジュアルに遊ぶ

35170views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

14282views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

クラス分けもまた楽しみ、レッスン通いスタート

5487views

楽器のあれこれQ&A

エレクトーンについて、知っておきたいことや気をつけたいこと

28198views

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

こどもと楽しむMusicナビ

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

17000views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11817views