今月の音遊人
今月の音遊人:山下洋輔さん「演奏は“PLAY”ですから、真剣に“遊び”ます」
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楽器との出会い、そして家族の愛情にあふれる物語/キース・リチャーズ『ガス・アンド・ミー ガスじいさんとはじめてのギター物語』
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2014.12.2
tagged: ギター, キース・リチャーズ, ローリング・ストーンズ, 奥田民生
音楽や楽器にまつわる原体験。それは、ときに人生を決定づけてしまうものだったりするし、誰にとってもかけがえのない想い出。だから尊いし、共感もできるのだと思う。
これは、ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズが、自らのギターとの出会い、そしてそのギターをくれた、祖父の“ガスじいさん”ことオーガスタスとの想い出を語る絵本だ。
絵を描いたのは、キースの娘であるセオドラ・リチャーズ。幼いキースがガスじいさんに連れられてロンドンの街を歩いたり、中に入った楽器店のめくるめく様子が、夢見るようなタッチで描かれていて、三代にわたる家族の愛を感じずにはいられない。そう、これは楽器との出会いであると同時に、家族の物語でもあるのだ。
今では何人もの孫がいるというキース。彼らに語って聞かせるような優しい声で物語を朗読し、演奏も披露するCDが付いているのはファンにとっても嬉しいところ。そして、日本語訳を手掛けたのは、奥田民生。ミュージシャンらしい言葉づかいで、ロックらしい雰囲気を醸し出しているのもポイントだ。
学生の頃に、地元ダートフォードの駅で幼なじみだったミック・ジャガーと偶然再会し、お互いに同じアーティストのレコードを持っていたことで意気投合したのをきっかけに結成されたローリング・ストーンズ。そしてコードを一発鳴らしただけでオーディエンスを酔わせてしまうキースのパフォーマンスも、この物語に描かれた出会いがあってこそのものだと思うと、とても感慨深い。
もし自分に子どもや孫ができたら、そうした音楽や楽器とのきらめくような出会いを語れるようになりたい。語るべき物語があるというのは、とても幸せなことだと思う。
『ガス・アンド・ミー ガスじいさんとはじめてのギター物語』
キース・リチャーズ作/セオドラ・リチャーズ絵/奥田民生訳
ポプラ社
2,000円(税抜)2014年09月刊
文/ 山口晃
tagged: ギター, キース・リチャーズ, ローリング・ストーンズ, 奥田民生
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