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今月の音遊人:松居慶子さん「音楽は生きとし生けるものにとって栄養のようなもの」
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野球中継のテーマソングに抜擢!スポーツで、人生で、頑張っている人にエールを送りたい/トミタ栞インタビュー
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2020.4.30
野球やサッカー、そしてオリンピックなど、スポーツの中継番組では公式ソングも話題となることが増えてきた。毎試合ごと、さらには中継からコマーシャルに切り替わるごとに曲が流れることもある。スポーツ番組にとって音楽は、ドラマやアニメのテーマソングと同じくらい重要な要素のひとつなのだ。
2020年、ドラマの主演をはじめ、ドラマやアニメの主題歌を歌うなどマルチに活躍するトミタ栞の新曲『エンドレスゲーム』が、「J-SPORTS」(テレビやインターネットでも視聴できるスポーツテレビ局)の野球中継テーマソングに抜擢された。この曲は、ライブのサポートメンバーであるベーシストの木下裕晴が作曲、作詞はトミタ本人と木下の共作である。
「最初は野球に寄り添いすぎて、でき上がったものは自分の言葉ではなくなっていました。それでもう一度作り直して、野球というテーマに対して自分のことや気持ちを重ねて言い方を変えたら、しっくりきたんです」
歌詞づくりの過程をこう振り返る。歌詞を練り直すにあたって、トミタは自分の気持ちから出る単語を書き出す作業を数日間行った。「ステージ」や「太陽」「味方」などなど、思いつくままに。その中の「野球場の歓声」が自身の歌声を届ける仕事と「声」でリンクすると気が付いたことで、一気に書き上がったという。
「『エンドレスゲーム』の歌詞には、私の心を掘り下げた言葉が詰まっています。私のことを伝えつつ、いろいろなことと戦っているすべての人の背中を押せる、元気の出る歌詞に仕上がったと思います」
一人称に「僕」を使ったり、語尾を強めたりするなど、これまでの歌詞とは違う新たな表現にもチャレンジした。さらに、甲子園球児だったチーフマネージャーに“野球ファン”としての客観的な意見を求め、修正を重ねた。
「たくさんの人に聴いてもらう曲なので、自分勝手な解釈ではいけないと、丁寧に作りました」苦境にあっても前を向くようにと鼓舞するもので、野球というスポーツと人生の両方への応援と受け取れるテーマソングとなった。
「野球放送を観て私のことを調べてくれるなど、新しい方が曲を聴いてくれているのがうれしいですね」
2012年、トミタは木村カエラを輩出した音楽情報番組のMCに抜擢され、翌13年にミニアルバム『トミタ栞』でデビューしている。音楽活動を始めたのは、番組でさまざまな楽曲に触れたことがきっかけだった。デビュー当時は自分自身の歌い方を模索していたが、ラジオのパーソナリティーを務める中で、声の表現を学んでいった。さらに、コンプレックスだった声の大きさを武器に変えて、思いっきり歌い切ることで「自分らしさ」を獲得した。「今は、息の抜き方や喉の開き方など、他のミュージシャンの歌い方を見て研究しています」
トミタの少しハスキーな声はファンだけでなく、名だたるアーティストをも魅了し、大塚愛や石野卓球、ROLLY、ROCKETMANらがプロデュースを手掛けてきた。「自分の歌声は高音が強みと思っていましたが、憧れの大塚愛さんから『しおりんの低音が素敵なんだよ』と言われて、低音も意識するようになりました」と、先輩たちのアドバイスを貪欲に吸収している。
新曲発売を記念したワンマンツアー「トミタ栞 エンドレスゲームツアー」も開催予定。「VOLA & THE ORIENTAL MACHINE のメンバー楢原英介さんにサポートいただき、私のギターと合わせていろいろな組み合わせでお届けしようと思っています。ギターはまだまだ練習中で、楢原さんに教えていただいてばかりなんですけど、ゆくゆくは弾き語りツアーにも挑戦したいですね」
音楽への興味の深まりとともに、トミタ栞の表現世界はどんどん広がっていきそうだ。
『エンドレスゲーム』(配信限定)
発売元:Sony Music Labels
リリース日:2020年3月20日
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