Web音遊人(みゅーじん)

野球中継のテーマソングに抜擢!スポーツで、人生で、頑張っている人にエールを送りたい/トミタ栞インタビュー

野球やサッカー、そしてオリンピックなど、スポーツの中継番組では公式ソングも話題となることが増えてきた。毎試合ごと、さらには中継からコマーシャルに切り替わるごとに曲が流れることもある。スポーツ番組にとって音楽は、ドラマやアニメのテーマソングと同じくらい重要な要素のひとつなのだ。
2020年、ドラマの主演をはじめ、ドラマやアニメの主題歌を歌うなどマルチに活躍するトミタ栞の新曲『エンドレスゲーム』が、「J-SPORTS」(テレビやインターネットでも視聴できるスポーツテレビ局)の野球中継テーマソングに抜擢された。この曲は、ライブのサポートメンバーであるベーシストの木下裕晴が作曲、作詞はトミタ本人と木下の共作である。
「最初は野球に寄り添いすぎて、でき上がったものは自分の言葉ではなくなっていました。それでもう一度作り直して、野球というテーマに対して自分のことや気持ちを重ねて言い方を変えたら、しっくりきたんです」
歌詞づくりの過程をこう振り返る。歌詞を練り直すにあたって、トミタは自分の気持ちから出る単語を書き出す作業を数日間行った。「ステージ」や「太陽」「味方」などなど、思いつくままに。その中の「野球場の歓声」が自身の歌声を届ける仕事と「声」でリンクすると気が付いたことで、一気に書き上がったという。
「『エンドレスゲーム』の歌詞には、私の心を掘り下げた言葉が詰まっています。私のことを伝えつつ、いろいろなことと戦っているすべての人の背中を押せる、元気の出る歌詞に仕上がったと思います」
一人称に「僕」を使ったり、語尾を強めたりするなど、これまでの歌詞とは違う新たな表現にもチャレンジした。さらに、甲子園球児だったチーフマネージャーに“野球ファン”としての客観的な意見を求め、修正を重ねた。
「たくさんの人に聴いてもらう曲なので、自分勝手な解釈ではいけないと、丁寧に作りました」苦境にあっても前を向くようにと鼓舞するもので、野球というスポーツと人生の両方への応援と受け取れるテーマソングとなった。
「野球放送を観て私のことを調べてくれるなど、新しい方が曲を聴いてくれているのがうれしいですね」

2012年、トミタは木村カエラを輩出した音楽情報番組のMCに抜擢され、翌13年にミニアルバム『トミタ栞』でデビューしている。音楽活動を始めたのは、番組でさまざまな楽曲に触れたことがきっかけだった。デビュー当時は自分自身の歌い方を模索していたが、ラジオのパーソナリティーを務める中で、声の表現を学んでいった。さらに、コンプレックスだった声の大きさを武器に変えて、思いっきり歌い切ることで「自分らしさ」を獲得した。「今は、息の抜き方や喉の開き方など、他のミュージシャンの歌い方を見て研究しています」
トミタの少しハスキーな声はファンだけでなく、名だたるアーティストをも魅了し、大塚愛や石野卓球、ROLLY、ROCKETMANらがプロデュースを手掛けてきた。「自分の歌声は高音が強みと思っていましたが、憧れの大塚愛さんから『しおりんの低音が素敵なんだよ』と言われて、低音も意識するようになりました」と、先輩たちのアドバイスを貪欲に吸収している。

新曲発売を記念したワンマンツアー「トミタ栞 エンドレスゲームツアー」も開催予定。「VOLA & THE ORIENTAL MACHINE のメンバー楢原英介さんにサポートいただき、私のギターと合わせていろいろな組み合わせでお届けしようと思っています。ギターはまだまだ練習中で、楢原さんに教えていただいてばかりなんですけど、ゆくゆくは弾き語りツアーにも挑戦したいですね」

音楽への興味の深まりとともに、トミタ栞の表現世界はどんどん広がっていきそうだ。

■リリースインフォメーション

『エンドレスゲーム』(配信限定)

発売元:Sony Music Labels
リリース日:2020年3月20日
ダウンロードはこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:村治佳織さん「自分が出した音によって聴き手の表情が変わったとき、音楽の不思議な力を感じます」

7055views

音楽ライターの眼

2本のギターが運ぶ、未体験の楽しさ/GORO ITO meets KAORI MURAJI BOSSA NOVA Special Night

3792views

楽器探訪 - ステージア「ELC-02」

楽器探訪 Anothertake

持ち運び可能なエレクトーン「ELC-02」、自由な発想でカジュアルに遊ぶ

27536views

楽器のあれこれQ&A

きっとためになる!サクソフォンの基礎力と表現力をアップする練習のコツ

14778views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

6953views

アカネキカク akaneさん

オトノ仕事人

楽曲のイメージをもとに、ダンスの振りを考え、演出をする/振付師の仕事

763views

札幌コンサートホールKitara - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

あたたかみのあるデザインと音響を両立した、北海道を代表する音楽の殿堂/札幌コンサートホールKitara 大ホール

15890views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

9207views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

11480views

われら音遊人:クラノワ・カルーク・ オーケストラ

われら音遊人

われら音遊人:同一楽器でハーモニーを奏でる クラリネット合奏団

7041views

サクソフォン、そろそろ「テイク・ファイブ」に挑戦しようか、なんて思ってはいるのですが

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォンをはじめて10年、目標の「テイク・ファイブ」は近いか、遠いのか……。

6795views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

8159views

ぱんだウインドオーケストラの精鋭たちがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ぱんだウインドオーケストラの精鋭たちがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

12128views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

9908views

音楽ライターの眼

フジロック・フェスティバル 23年の思い出とベスト・アクト<前編>

4287views

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

ステージマネージャーひと筋に、楽員とともにハーモニーを奏で続ける/オーケストラのステージマネージャーの仕事(後編)

16149views

ギグリーマン

われら音遊人

われら音遊人:誰もが聴いたことがあるヒット曲でライブに来たすべての人を笑顔に

842views

エレクトーンに新風を吹き込んだ「ステージア」

楽器探訪 Anothertake

エレクトーンに新風を吹き込んだ「ステージア」

21232views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

5940views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

7358views

楽器のあれこれQ&A

モチベーションがアップ!ピアノを楽しく効率的に練習するコツ

38693views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

6204views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

8159views