今月の音遊人
今月の音遊人:東儀秀樹さん 「“音で遊ぶ人”といえば僕のことでしょう。どのような楽器の演奏でも、楽しむことだけは忘れません」
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古希に向けたミッキー吉野のプロジェクト。第1弾は亀田誠治プロデュースの『DEAD END ~ LOVE FLOWERS PROPHECY feat. STUTS & Campanella』
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2021.8.4
tagged: 亀田誠治, ミッキー吉野, STUTS, Campanella, SHOKICHI
ミッキー吉野が2021年12月に70歳を迎えるにあたり、発足したプロジェクト「ミッキー吉野”ラッキー70祭”【KoKi】(ミッキーヨシノ ラッキーセブンティーフェス コキ)」。
そのプロジェクトの皮切りは、亀田誠治による楽曲プロデュース第1弾の『DEAD END ~ LOVE FLOWERS PROPHECY feat. STUTS & Campanella』。2021年6月30日より配信リリースされている。
16歳でプロデビューした後、バークリー音楽大学へ。帰国後の1975年にゴダイゴを結成して、多くのヒット曲を世に送り出したのはご存じのとおり。キーボーディスト、プロデューサーとしても、ミッキー吉野は数々のすばらしい作品を生み出してきた。
「気が付いたら70歳という感じですけれど、還暦とは重みが違うなという気がしますね。字も古いに希(まれ)ですし」
2020年、ミッキー吉野は大切な仲間を失った。ゴダイゴのギタリスト浅野孝已が逝去したのだ。「そのころから、何かやらなければいけないという思いがどこかにあったんでしょうね」
そして、コロナ禍の世の中を覆いつくしていたのは、先が見えない閉塞感。そんなとき、ふと頭のなかで聴こえてきた曲があった。それが、1977年に発表されたアルバム『DEAD END』収録曲『DEAD END ~ LOVE FLOWERS PROPHECY』だ。当時の混沌とした社会状況を「DEAD END(袋小路)」と表現。ただ、歌詞に「It’s all in your decision」とあるように、自分自身の決断次第で希望につなげることもできると歌っている。
「この曲をリメイクしたいと思いました。外出自粛が長く続き、うちでピアノを弾いたりしていましたが、それだけでは満足できなくなって、何かつくってみたくなったということもあります。でも、セルフプロデュースしても面白くない。そこで、人間的にも音楽的にも信頼する方にプロデュースをお願いしたいと考えました」
プロジェクトが芽吹いた瞬間だった。依頼したのは、日比谷音楽祭などを通じてかねてから親交があった⾳楽プロデューサー・ベーシストの亀田誠治だ。
「亀田さんのまとめる力、構成力はすばらしい。一方で演奏は独創的。このギャップが最高です。そして、世代を超えたものづくりとか音楽というものを総合的に考えている方です。僕は16歳でデビューしたので、いつもまわりは先輩ばかり。でも、いつの間にか僕が一番先輩という立場になって。今、世代を超えて共有できるものは本当に少ないと日ごろから感じていました。音楽は聴くだけなら共有できるものはあるけれど、作品づくりという点ではなかなか難しい。だから、亀田さんが適任だと思ったんです」
そう、プロジェクトのテーマは、時代と世代を超えた作品をつくること──。
今回の作品はセルフカバーではあるものの、トラックメーカー・MPCプレイヤーのSTUTSが手掛けたトラックと、ラッパーCampanellaによるラップという世代を超えたコラボレーション。亀田もベースで参加している。
「サウンドは僕とSTUTSくん、亀田さんのトリオですが、グルーヴが一致していてすごく気持ちがよかったです」
ラップを取り入れたのは、ミッキー吉野のアイディアだ。
「僕の作った曲は英語の歌詞が多かったけれど、Campanellaくんは新しい解釈の日本語でリリックをつくってくれて説得力がありましたね」
ミッキー吉野のピアノフレーズが印象的なイントロからはじまる新作は、原曲の雰囲気を残しつつも、さらなる強いメッセージを備える。世代を超えた拡がりのある、今の時代の音楽が心に響く。
これを絶賛したのが、ゴダイゴのドラムス、トミー・スナイダー。作曲者スティーブン・ショーンバーグにもすぐに連絡して聴かせたそう。タケカワユキヒデも「全然違うし、いいよね」と高評価だったという。
続くプロジェクト第2弾は、2021年9月1日配信予定の『君は薔薇より美しい feat.EXILE SHOKICHI』。
1979年の布施明のヒット曲であり、数々のアーティストにカバーされてきた『君は薔薇より美しい』は、作曲家ミッキー吉野の代表作のひとつだ。プロデュースおよびアレンジとベースは亀田。そして、ボーカルは今の時代のアイコンでもあるEXILEから、EXILE SHOKICHIが担当する。
「今回は、亀田さんのベースのグルーヴに合わせてキーボードを弾きました。楽しいですよ。オリジナルを損ねずにアレンジしていくのが彼の基本ですが、踊れる曲になっています。そしてこの曲にぴったりの、華麗で華やかなSHOKICHIくんが歌ってくれて、とても嬉しく思っています」
亀田とタッグを組んでのプロジェクトは今後も続き、新作も鋭意制作中だ。
「年を取ってもグルーヴはしますよ。でも、年代によって内容は違う。僕は20代のころはスイングしたいと思っていたけれど、月日が経ち還暦を過ぎたときには、シャープにスピード感がある演奏をしたいと思ったんです。年齢を重ねると、みんなスイングしてきちゃうから」
ミッキー吉野の70歳のグルーヴはこれから始まる。楽曲群が作品になって、何が見えてくるか楽しみだ。
『DEAD END ~ LOVE FLOWERS PROPHECY feat. STUTS & Campanella』(配信限定)
発売元:Kisshouten Co., Ltd
発売日:2021年6月30日
配信サイト一覧
オフィシャルサイト
文/ 福田素子
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