今月の音遊人
今月の音遊人:富貴晴美さん「“音で遊ぶ人”たちに囲まれたおかげで型にはまることのない音作りができているのです」
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ステージで際立つ音色とシンプルな操作性で奏者をサポート!最高のライブパフォーマンスをかなえるステージピアノ「CP88」「CP73」
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2019.2.26
tagged: 楽器探訪AnotherTake, ステージ, CP88, CP73
ステージピアノとは、ライブステージで使うために設計されたピアノのこと。ピアノのリアルな表現力を追求しているところは電子ピアノと同じですが、音色や機能はライブパフォーマンスに最適なものに絞り、またライブ会場への運搬を考え、小型・軽量化が徹底されているという特徴があります。
40年以上の歴史を持ち、世界のアーティストの支持を得てきたヤマハのステージピアノ「CPシリーズ」。2019年3月上旬リリースの88鍵盤モデル「CP88」と73鍵盤モデル「CP73」は、音色、演奏性、操作性、デザインの全てにおいて、プレイヤーが求めていることを形にしています。
開発のテーマとなったのは、いかにプレイヤーにストレスを感じさせず、演奏に集中してもらう楽器にするかということ。
「開発にあたりプレイヤーの実態を調査したところ、スムーズに操作できないことが大きなストレスとなっており、マニュアルを見ることも面倒と感じている人が多いことがわかりました。そこで、シンプルに操作できる楽器にすれば、もっと多くのプレイヤーに自分の音楽を自由に表現してもらえると思いました」と、開発プロデューサーの山田祐嗣(ゆうじ)さん。
初めて楽器に触れる人が、マニュアルを見なくても操作できるように開発されたのが、ひとつのボタン・スイッチ・ノブにそれぞれひとつの機能を割り当てた「One-to-Oneスタイル」。音色に関わる全ての機能をワンタッチで切り替えられるため、モニターを見ながらボタンを何度も押したりする必要はなく、シンプルかつスピーディに操作できます。
「ステージピアノでは、好みの音色をつくって楽器本体に保存し、ライブ本番に呼び出す操作がメインで、リアルタイムでの音色の調整は難しいとされてきました。それがOne-to-Oneスタイルによって、ライブやリハーサルで鍵盤を弾きながらの調整も簡単にできるようになりました」と、マーケティング担当の梅津昇陛(しょうへい)さん。
国内外の一流のプレイヤーとタッグを組み、プロの意見を反映した音づくりをしているのも新モデルの特徴です。
「他の楽器とのアンサンブルで埋もれないよう音色を磨いただけでなく、プレイヤーのタッチの強弱にマッチした音が鳴るように、一鍵一鍵、打鍵と発音のバランスを細かく調整しました。プレイヤーが想像した通りの音が鳴るので、弾いていて気持ちよく、より繊細な表現ができるようになりました」(山田さん)
なお、思い通りの表現ができるのは、タッチ感に優れた鍵盤があってこそ。「CP88」はグランドピアノのタッチを再現する木製鍵盤、「CP73」は多彩な音楽の表現に適した全音域が同じ重さの鍵盤と、鍵盤の素材は異なりますが、いずれもハンマーアクションを搭載しており、ピアノらしい弾き応えを得ることができます。
「鍵盤の自然なタッチ感や、タッチと音色がぴったり合う感動は、言葉ではなかなか伝えきれません。ぜひ一度、ご自身の指先や耳で体感いただきたいです」と梅津さん。
音色のバリエーションは、プロのアーティストがステージで使えると判断したものを厳選。ピアノの音色ひとつとっても、フルコンサートグランドピアノだけでなく、ジャズシーンで需要の高いアップライトピアノ、バンドサウンドで人気のビンテージエレクトリックピアノと、幅広い音楽ジャンル、演奏形態に対応できる多彩な音色が内蔵されています。
「また、今回の新モデルから、本体機能のアップデートに合わせて新しい音色を追加、拡張していけるようになりました。時代のトレンドに合わせて機能、音色をアップデートできることは、電子楽器を長く使ううえで大きな利点になると思います」(梅津さん)
ボタン・スイッチ・ノブのデザインは、視覚的にそれぞれの役割をわかりやすくしているだけでなく、思わず触りたくなるような色、フォルムになっており、アナログな操作感も魅力です。
「目的のために操作するだけでなく、スイッチやノブに触りながら『ここは音がこう変化するんだな』『じゃあ次はこうしてみよう』などと、プレイヤーのインスピレーションがどんどん広がっていってくれたら嬉しいですね」と山田さん。
ボディには、軽量で堅牢なアルミ素材を採用。さらに、可能な限り小さく、薄くなるように設計されており、「CP73」は、歴代の「CPシリーズ」のなかで最も軽量でコンパクトなモデルになっています。
楽器を入れて持ち運ぶための専用ケースも、楽器の保護性能を第一に考えながら、1グラムでも軽量になるように設計を一から見直したのだとか。運搬しやすいよう、背面に牽引用のハンドル、底面にキャスターを装備しているのもポイントです。
「鍵盤楽器のケースは黒が多いですが、見た目の印象が柔らかくなるように、ボディカラーをグレーにして、キルティング加工を施しました」(山田さん)
小型・軽量で、高いライブパフォーマンスを実現してくれる音色や機能が詰まった「CP88」「CP73」。脚やスピーカー(またはヘッドホン)を揃えれば自宅でも使えるため、アコースティックピアノだけでなく、多彩なピアノの音色で演奏してみたい人や、自作の音色で好きな曲を弾いてみたい人は、ステージピアノに注目してみてはいかがでしょうか。
「本物」を感じさせるアコースティックピアノとエレクトリックピアノのサウンド、ピアニストの感性を満たす鍵盤タッチ、そして直感的な操作を可能とするOne-to-Oneインターフェイス。
CP88とCP73は100年以上をかけ培ってきたピアノ製造へのクラフトマンシップと、45年に及ぶシンセサイザーの研究開発の歴史の上に立つ、新時代のステージピアノです。
文/ 武田京子
photo/ 坂本ようこ
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