今月の音遊人
今月の音遊人:大西順子さん「ライブでは、練習で考えたことも悩んだことも全部捨てて自分を解放しています」
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ヤマハの管打楽器のメンテナンスやリペアの相談や依頼をしたい。そんなときの窓口となるのは全国にあるヤマハ楽器特約店。そして、そのサポートはカスタマーサポート部の管打楽器技術サービス課が行っています。
ひと口にサポートといっても、そのカタチはさまざま。陰になり日向になり、アフターサービスを支えています。
前回に続き、その業務について海野真裕さん、原田幸一郎さん、初山阿海 さんに話を伺いました。
ヤマハ特約店に持ち込まれた管打楽器の修理やメンテナンスを日々行っているのは、楽器店に在籍する特約店技術者です。管打楽器技術サービス課は、楽器店ではできない修理に対応。さらに、特約店技術者がスピーディーで質の高いアフターサービスをお客様に提供できるようサポートすることも、業務の大きな柱となっています。
そのひとつとして、全国の特約店技術者から寄せられる修理に関する相談や問い合わせに、電話やメールで対応。
「現場からの相談も多く、緊急時には映像を見ながら会話できるビデオ通話などを活用し、より迅速なアドバイスができるようになりました」(初山さん)
しかし、それを可能にしたのはオンラインツールの普及だけではありません。
「会話だけで対応してもらうためには、ふだんその楽器を診ている技術者とどれだけ連携できるかが鍵になります。そして、そうした遠隔からのサポートの実現には、技術者の育成が重要になってきます」(原田さん)
そのため、東京や大阪など全国各地で、技術レベルの向上を目的とした研修会を定期的に開催。さらに、コロナ禍での経験をプラスに転じた新たな動きも生まれています。
「今後は、対面に加えてオンラインも取り入れた研修の開催も見据えています。より効率的で手厚いサポートを目指しています」(海野さん)
また、修理に求められる技能や知識を評価、認定した「ヤマハ管楽器リペアグレード取得技術者」を対象とした「ヤマハ管打楽器技術者研修会」を、2年に1度開催。各種講座を取りそろえたこの研修会は、技術や知識のさらなるレベルアップを図るとともに、技術者同士の情報交換や懇親の場にもなっています。
吹奏楽にかかわりのある方は、コンクール会場などでヤマハのリペア対応ブースや楽器の修理をしているスタッフを見かけたことはありませんか?管打楽器技術サービス課では、吹奏楽コンクールなどの現場でリペアサポートも行っています。
ただでさえ緊張するコンクール。そんなとき、楽器に問題が発生してしまったら……。実際、本番直前の“まさか”は少なくありません。そのため、全国大会などの会場では、管打楽器技術サービス課の技術者がトラブルに備えてスタンバイ。
「時間をかけてその場で100%直すというよりは、あくまでも本番に間に合わせ、そこできっちり使えるようにする緊急的な対応がここでの役目です。限られた時間の中で、頭も腕もフル回転して全力を注いでいます。基本的な知識や技術はもちろんですが、現場での判断力や対応力も求められます。我々があたふたしてしまっては不安を与えるでしょうから、そこはどんと構えて笑顔で対応。それなりに修羅場をくぐってきていますからね(笑)」(原田さん)
積み重ねてきた経験あればこそのこうした対応は、楽器だけでなく演奏者の「安心」にもつながっています。困っているならば楽器のメーカーを問わず対応するという姿勢は、吹奏楽普及に力を入れているヤマハならではといえるでしょう。
学校を訪問しての点検も、重要なサポート業務です。特約店技術者とともに学校へ出向き、楽器の使用状況や消耗しやすい箇所、製品への評価などを聞き取りながら点検を行っています。その成果は品質管理部門にもフィードバックされ、製品開発や改善に活かされています。
また、点検した楽器の状態から今後予想されるメンテナンス費用を算出し、場合によっては修理費用と新規購入費用を勘案して買い替えの提案をすることも。学校にとっては、現在の楽器の状態を把握できることに加え、翌年度以降の予算をスムーズに組めるというメリットもあります。
ほかにも、日本吹奏楽指導者クリニック(ジャパンバンドクリニック)など、吹奏楽の指導者を対象にしたイベントでも楽器のお手入れ方法などの講座を実施。また、ヤマハのウェブサイトでウイルス対策のための管教育楽器のお手入れ方法を動画付きで紹介するなど、日々のお手入れやメンテナンスの重要性を伝える活動にも積極的に取り組んでいます。
「普段は特約店技術者や社内関係者とのやり取りが多いのですが、学校やイベントでは、生徒さんやお客様を目の前にして修理することになります。『ありがとう』とか『良くなりました』というお声を直接いただくことは、やりがいにつながっています」(初山さん)
「知識面においても技術面においても、常に向上しなければならないということは肝に銘じていますね」(原田さん)
自分たちは前に出て何かをするフォワードのポジションではなく、あくまでもバックサポートという位置づけだと話す管打楽器技術サービス課。後ろには、いつもヤマハがついていますよ──。そんな思いを込めて日々、メーカー技術者にしかできないサポートに努めています。
文/ 福田素子
photo/ 阿部雄介(1枚目)、坂本ようこ(2、3枚目)
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tagged: カスタマーサポート通信, 管打楽器技術サービス課
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