今月の音遊人
今月の音遊人:矢野顕子さん 「わたしにとって音は遊びであり、仕事であり、趣味でもあるんです」
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大人になる少し前、さまざまな経験をし、スポンジのように吸収していく高校時代。仲間たちと過ごした日々は、多くの人にとってかけがえのないものではないだろうか。そんな仲間とまた同じ時間と目標を共有できたなら……。それを実践しているのが、都立小石川高校の同級生7人による「駕籠町021Hアンサンブル」だ。
グループ名の「駕籠町(かごまち)」は、学校所在地の旧町名。昭和44年卒業の21期生、H組のクラスメイトのみで編成され、メンバーは現在67~68歳になる。
結成のきっかけとなったのは、5年ほど前のクラス会だ。亡くなった友人を追悼しようと全員で歌をささげた際、ピアノ伴奏をしたのが現在バンドリーダーを務める笹森令温(れおん)さんだった。成人してからはピアノから離れていた笹森さんだったが、「それはもったいない」と感じた同級生たちが声をかけ合い、音楽活動を始めた。
高校時代の音楽仲間が再結成したのではなく、新生アンサンブルのスタート。楽器経験もさまざまで、高校時代からギターやピアノをやっていた人もいれば、40代後半でフルートを始めた人も。大学時代にフルートを始め、市民交響楽団で活動していたことのあるメンバーもいる。
「我々の高校は3年間、クラス替えがないので、結束が固いんです。体育祭や芸能祭(文化祭)、創作展などで一緒にものをつくったり活動したりする機会が多かったので、みんなでやっていれば何かできちゃうよな、という安心感があります」とメンバーの小泉則彰さん。
演奏ジャンルはクラシックから邦楽、洋楽ポピュラーまでさまざまだ。ピアノ、バイオリン、ビオラ、フルート、ギター、テナーサクソフォン、リコーダー、ボーカルなどのパートをそれぞれが担い、メンバーのひとりが楽器編成に合わせて編曲を行う。楽譜作成ソフトを使って楽譜を作るのは小泉さんの役割。練習会場は、笹森さんが公共施設の利用抽選にマメに申し込んでいる。
現在は、全員が仕事を持ちつつも定年の歳を超え、現役時代に比べると時間は自由になった。練習は月1回程度、演奏会の前は毎週行うこともある。演奏が上達することはもちろんだが、みんなで音楽を楽しむことも大切にしているという。メンバーの秋田徹さんは「練習3時間、おしゃべり2時間、そのあとの飲み会2時間。音楽談義に花を咲かせています」と笑う。
「音楽があるから、こうやって集まれるというのはありますよね。ただの飲み会では月に一度会ってもしょうがないしね(笑)」と藤田武さん。「演奏の上達」と「親睦」のバランス。みんなが同じ感覚を持っていることが、活動を長く続けられる理由のひとつかもしれない。
「今後は、高齢者施設など、発表の場を広げていくことができれば。もちろんボランティアでね」と笹森さんが言えば、「そんなの当然。お金なんてもらえるわけないじゃない」と藤田さんがツッコミを入れる。彼らの笑顔は、まるで少年のようだ。
仲間と音楽を楽しむ――。そのすばらしさを「駕籠町021Hアンサンブル」は体現している。
●バンド名:駕籠町021H(かごまちゼロニーイチエイチ)アンサンブル
●結成時期:2013年10月
●モットー:音楽を楽しむ
●練習頻度:月1回程度。発表会前は毎週。
●平均年齢:67~68歳
●メンバー:笹森令温(リーダー/ピアノ、指揮)、藤田武(ギター、ボーカル、リコーダー)、秋田徹(フルート)、小泉則彰(フルート)、Y.K.(バイオリン、ビオラ、ピアノ)、K.A.(リコーダー)、M.Y.(テナーサクソフォン)
●活動内容:紫友芸能祭(都立小石川高校卒業生の音楽祭)に、2017年と2018年に出演。紫友芸能祭は2018年で終了となったため、来年からは杉並公会堂での発表会を予定。
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文/ 福田素子
photo/ Takaoka Kunihiko
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, 021Hアンサンブル
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