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演出・主演で臨む予測不能なミステリー・ミュージカルコメディ『カーテンズ』/城田優インタビュー
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2022.1.17
「最初は、自分がここまでたくさんのミュージカルに出演するようになるとは思っていませんでした。でも、昔はコンプレックスでありマイナスだと思っていた部分がミュージカルでは武器になるということに気付いた20代前半から、これをライフワークにしていけたらと思うようになりました」
舞台映えする190cmという長身と端正な顔立ち、力強く時に優しく響く声、そして抜群の歌唱力と表現力──。城田優。間違いなく、日本のミュージカル界を牽引するひとりだ。
そんな彼が演出・主演を務めるミュージカル『カーテンズ』が2022年2月から上演される。
『カーテンズ』は2007年にブロードウェイで発表され、トニー賞で主要8部門にノミネートされたミステリー・ミュージカルコメディ。
1959年、ボストンの劇場で起きた殺人事件。ミュージカルオタクの警部補フランク・チョーフィー(城田)は捜査だけではなく舞台の内容にも口を挟み始め、ミュージカルの質が向上していく。一方、出演者、スタッフの全員が容疑者。犯人はいったい誰なのか……。予測不能なストーリーが展開していく。
今回、城田は本国の許可を得ながらシナリオも見直した。
「殺人犯を追いながら、ミュージカルを創っていくというふたつの軸があって複雑。日本人には理解しにくいアメリカ人ならではの訳詞やジョークがたくさんあったので、あらためて検討しました。こういった推理ものや捜査ものは、置いていかれたら、それで終わりですから、お客様がストーリーをしっかり追えることを意識しています。日本人に向けた日本語で上演する作品というところに重きを置いて本を直してきたので、そのあたりがうまく回り、それぞれのキャラクターがしっかり確立されれば面白い作品になると思います」
城田は、2019年のミュージカル『ファントム』でも演出と主演を務め高い評価を得た。だが、今回はさらなる挑戦と位置付ける。
「『ファントム』は、一度自分が演じた作品。まったく違うアプローチから演出兼主演をしてみようというものでしたが、『カーテンズ』は自分にとって初演です。そして、『ファントム』ではWキャストで加藤和樹という相棒もいましたが、今回はあくまでもシングルキャストですから」
共演者には初めてミュージカルに挑む三浦翔平、櫻坂46のキャプテン菅井友香というフレッシュな顔ぶれに加え、瀬奈じゅんをはじめとする日本のミュージカル界を支える豪華な俳優陣が並ぶ。
「初ミュージカルの方たちにはミュージカルというジャンルに挑戦していくなかで楽しんでもらいたいし、同時に実力を発揮してもらいたいですね。彼らをどれだけ伸ばせるかを考えているところです。また、ベテランとはいえ新たな挑戦に臨んでくださる方には、城田演出を通して新しい感覚みたいなものを獲得していただけたらと思っています」
演出家としてディレクションを進めるなか、自分の言葉はすべてブーメランだとも感じている。キャストに伝えたことは、すべてが自身に返ってくる。俳優である自分にそれができていなければ、言葉はたちまち重みを失ってしまう。
「時に主演としてみんなを導かなければいけないし、時に演出家として全体を引っ張っていかないといけない。誰よりも苦しんで、もがいて、逃げ場がないところで葛藤しなければならないのは自分だと思っています」
のしかかる大きなプレッシャー。しかし、それを凌ぐ意気込みをもって臨む。
「日本のミュージカルは、ショーアップされた歌、芝居、ダンスがそれぞれ乖離していると感じています。僕は3つの点ではなく、きちんとつながった線にしたい。かつ、キャラクターそれぞれが何を感じて何を考えているのか、何を思いながら生きているのか。そういったことがお客様に見え、感情移入できて物語にすっと入り込める作品にしたいです」
好きなことなのに、苦しいしつらいし、時々嫌いになってしまう。それでもやろうと心に決めている。それほど城田のミュージカルへの思いは強い。その渾身の作品に期待が高まる。
ミュージカル『カーテンズ』
2022年2月26日(土)〜3月13日(日)東京国際フォーラム ホールC(東京)
2022年3月18日(金)〜3月22日(火)新歌舞伎座(大阪)
2022年3月26日(土)〜 3月27日(日)愛知県芸術劇場 大ホール(愛知)
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文/ 福田素子
photo/ 坂本ようこ
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