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【優待チケット】ジョビンからジョアンへ。ボサノバを探求してたどり着いた境地を味わうコンサート/伊藤ゴロー インタビュー

2017年に『アーキテクト・ジョビン』、そして2021年に『アモローゾフィア ~アブストラクト・ジョアン~』と、ボサノバの魅力を深く掘り下げたトリビュート・アルバムを発表した伊藤ゴロー。2022年3月26日に行われる公演は、その総決算的な内容になりそうだ。

クラウス・オガーマンのオーケストレーションに着目したアルバム

本公演でプログラムの核となるのは、2021年に発表したアルバム『アモローゾフィア ~アブストラクト・ジョアン~』に収録された楽曲だ。本作は、ジョアン・ジルベルトが1977年に発表したアルバム『アモローゾ』にスポットを当てたトリビュート作品で、編曲を手がけたクラウス・オガーマン、そしてジョアンとともにボサノバという音楽を作りあげたアントニオ・カルロス・ジョビンにもスポットを当てている。
これに先駆ける作品として、2017に発表した『アーキテクト・ジョビン』がある。ジョビンは、ショパンやドビュッシー、サティといった音楽家から大きな影響を受けており、そんな彼のクラシカルな一面をクローズアップし、残されたメモや習作も参照しながら伊藤ならではのアプローチで表現した意欲作だ。
「当時から、『次はジョアンのアルバムを作りたい』という気持ちがありました。タイミング的には、2020年にオーケストラの仕事をしたこともあり、クラウス・オガーマンのオーケストレーションが印象的な『アモローゾ』を取り上げることに決めました」
ギターと歌だけのシンプルな構成で奥の深い音世界を構築するジョアンだが、『アモローゾ』で聴けるのはゴージャスなオーケストラサウンド。彼の本領とは真逆な感じもするが、「そこに興味があった」と伊藤は語る。
「オガーマンのアレンジをジョアンは気に入っていないという噂が飛び交ったほどの豪華なサウンドが特徴なのですが、そこでは音楽的にどんなことが起こっているのか、探ってみたいな、と思ったんです。ちょうどコロナ禍で時間もありましたし、じっくりと聴き込んで、採譜しながらその謎に迫っていきました」
その結果、従来の印象とは少し違うボサノバの姿が浮かび上がってきたという。

ボサノバにアルバン・ベルクの影響が!?ジョビンの『波』に潜む謎

「ボサノバというと、ジョビンに代表されるように、フランス音楽の影響が強いというイメージがあったのですが、『アモローゾ』を聴き込むと、面白いことにドイツ・オーストリア系の音楽にインスパイアされた形跡もあるな、と思ったんです」
伊藤が特に指摘するのは、『アモローゾ』に収められたジョビンの『波』と、アルバン・ベルク『叙情組曲』の関係性だ。『叙情組曲』第二楽章に、『波』の冒頭部分や、オガーマンがイントロに入れたフレーズにそっくりなメロディが登場するのである。ちなみに、その楽章に記された指示は「アンダンテ・アモローソ(Andante Amoroso)」である。また、オガーマンは『波』が初めて収録された1967年のジョビンのアルバムにも参加している。
「『波』は、ハーモニーも『叙情組曲』をかすめるような感じで進行していくんです。推測の域を出ないのですけれど、オガーマンがこうした要素を持ち込んだと思うんですよね。『アモローゾフィア』では、カバーはもちろんのこと、オリジナルもオガーマンが使ったハーモニーを応用したりして楽曲を組み立てています。だから、事前にジョアンの『アモローゾ』と私の『アモローゾフィア』、あと『叙情組曲』も聴いてから公演にお越しいただけると、より楽しめると思いますよ」


GORO ITO BOSSA NOVA EXPERIMENT dedicate to Joao Gilberto & Antonio Carlos Jobim

銀座の魅力を味わい尽くす

伊藤が『アモローゾフィア』で描いた世界を公演で演ずるのは、伊藤も含め8人で構成されるチェンバーオーケストラ。2021年から演奏を重ねて、手応えも感じている。加えて、本公演ではパーカッションで角銅真実かくどうまなみ が参加するのにも要注目。シンガーソングライターとしても注目される新鋭が、伊藤らとどのような化学反応を起こすのか。
「角銅さんとは過去に何度か共演しているのですが、すごく自由なアーティストだな、という印象を受けました。何かをリクエストするというより、好きにやってもらうのがいちばん彼女の個性を発揮できる。自分も刺激されるし、オケに新しい風を運んでくれると思います」

過去に何度もヤマハホールで演奏している伊藤は、「ここならではの音響を楽しみたい」と語る。
「ホール全体がひとつの楽器みたいなんですよね。音を空気の震えで実感できる場所なので、とても楽しみです。この雰囲気にインスパイアされて、私たちの演奏にも新しいアプローチが生まれるかもしれません」
銀座という場所にも特別な思い入れがあり、音楽をやるにしても聴くにしても「気分がシャキっとする」のだそう。
また、本公演では、伊藤の故郷である青森をイメージ、伊藤の楽曲名の付いたオリジナルドリンク「Fly me to the AOMORI」が飲めるドリンクセット券に加え、雪やリンゴを使ったこの日だけのオリジナルメニューが楽しめるアフタヌーンティセット券(ペア券のみ、限定16組)も用意され、ヤマハ銀座店内のカフェ、NOTES BY YAMAHAで提供される。「さすが銀座!と納得するクオリティですよ。打ち合わせを兼ねて試食したのですが、本当にびっくりしました。ぜひこの機会に試してみてください」

久しぶりにエレキギターも?気になる今後の活動

さて、前述のとおり、本公演で活動にひとつの区切りをつけることになるのだが、今後はどのようなプランを描いているのだろうか。
「ジョビンの世界や、ジョアンの『アモローゾ』を深堀りしたのですが、そうやって音楽家たちの研究をするたびに『自分の音楽って何だろう?』とか、『自分は音楽で何ができるだろうか?』と考えるんですよね。今後はギタリストとして自分の可能性をより一層追求するような活動もできたら、と思います」
その候補として、エレキギターを使ったものも考えているのだとか。
「皆さんが私の名前をボサノバと直結させて覚えてくださるのは、とてもうれしいことなのですけれど、自分は過去にエレキも弾いてきているので、久しぶりにそちらにチャレンジしたい気持ちもあるんです。皆さんがあっと驚くような、これまでとはまったく違うアプローチの音楽を今後はお聴かせできるかもしれませんよ」
取材中、「これ、わかりにくいよね?」とか「伝わるかな?」と、何度も心配する様子を見せていたけれど、それは、彼の音楽をとらえる視点がオリジナルであることの裏返し。いつも私たちの数歩先を行くアプローチで、音楽の幅広さや深さを教えてくれる伊藤のことだから、エレキを弾いても何をやっても、それは新鮮な驚きに満ち、そして示唆に富んだものになるに違いない。

■インフォメーション

伊藤ゴロー・チェンバーアンサンブル「Amorozsofia」BOSSA NOVA EXPERIMENT
日時:2022年3月26日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:ヤマハホール(東京・銀座)
料金:コンサートのみ 6,000円/ドリンクセット 6,500円/アフタヌーンティセット 19,000円(いずれも税込・全席指定)
出演:伊藤ゴロー(ギター)、佐藤浩一(ピアノ)、伊藤彩(バイオリン)、ロビン・デュプイ(チェロ)、木村将之(ベース)、坂本楽(フルート)、好田尚史(クラリネット)、角銅真実(パーカッション)
詳細はこちら

■優待チケットの特別販売

本公演の優待チケット(来場チケット:優待価格5,000円/定価6,000円)を計20名様分ご用意いたしました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
2022年3月13日(日) 23:59まで
応募はこちら
オフィシャルサイトはこちら

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