今月の音遊人
今月の音遊人: 上野耕平さん「アクセルを踏み続けることが“音で遊ぶ”へとつながる」
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トロンボーンとチェロを駆使する異色のアーティスト、デイナ・リオン
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2015.6.24
tagged: トロンボーン, コンパクトトロンボーン、チェロ, サイレントチェロ, デイナ・リオン, Dana Leong
ニューヨークを拠点に、トロンボーンとチェロの両方をメイン楽器として活動するアーティスト、デイナ・リオンが、「トモコ・ミヤタ&泉川貴広 JAPAN TOUR2015」のスペシャルゲストとして来日。ライブではヤマハ・サイレントチェロ™を手に、独自の奏法を駆使したエキサイティングな演奏で会場をわかせた。
ある時はウッドベースのように、次の瞬間にはアコースティックチェロのように、自由自在にサイレントチェロ™を操るリオン氏。「自分のバンドでは電子音楽を演奏することが多く、そのスタイルにサイレントチェロ™はとても良くマッチする」と語る。
ニューヨークの空気感を音楽で伝えた今回のツアーは、「メンバー全員がとても発展的で、音楽に対する感度も高く、毎回、刺激的なライブになりました」と、手応えを感じたようだ。
ライブ中、耳を奪われたのは、彼の身体全体が楽器と一体化したかのような独創的なサウンド。それはチェロの音とみずからの声を同じピッチで重ねたものだった。
「トロンボーンとチェロはどちらも人の声にとても近い。それをニューヨークのシンガーたちとセッションした時に改めて実感して、自分でもやり始めたんです。チェロを弾きながら歌うと、頭でイメージした音楽がすぐに音になって、楽器も身体も全部がつながる感覚になります。この演奏を始めてから、より柔軟に音を操れるようになりました」
そもそも、なぜトロンボーンとチェロの組み合わせなのだろう?
「6歳のクリスマスにサンタクロース(お母さん)がチェロをくれて、がんばって練習して上手くなったら、翌年のクリスマスにはトロンボーンをプレゼントされて(笑)」
使用楽器は「ヤマハ銀座店で吹いてみてすぐに気に入った」というヤマハコンパクトトロンボーン。「コンパクトなのに通常のものと同じボリュームが出るのに驚きました。ふたつの楽器を持ち歩く僕にピッタリ(笑)」と、演奏中のシリアスな表情から一転、人なつこい笑顔も魅力的だ。
マンハッタンの大学でトロンボーンとチェロを学び、アコースティックチェロも「毎日、練習している」という彼の斬新な発想の源は、「子どもの頃は、よくおもちゃや自転車などを分解して遊んでいた」という人並みはずれた好奇心。自由に柔軟に、楽器と音楽と、そして人と向き合う彼の世界観は、「ハイチやパキスタンでの被災経験をもつアーティストとのセッション」や「音楽で世界を繋ぐ壮大なプロジェクト」へと発展しようとしている。
日本で行なわれる世界的なイベントで、彼の名前を見つける日も近いことだろう。ボーダーレスな音楽の地平を行く彼の、これからの活躍に要注目だ!
デイナ・リオン[Dana Leong]
チェロ&トロンボーン奏者/作曲家/プロデユーサー
サンフランシスコ生まれ。日本人である母の手ほどきで音楽を学び、マンハッタン・スクール・オブ・ミュージックでチェロとトロンボーンを学ぶ。ピアノの他、多種多様な楽器を演奏し作曲もするマルチアーティスト。さまざまなジャンルのトップアーティストと共演し、いずれも高い評価を受けている。ニューヨークを拠点に、世界を舞台に精力的に活動中。
オフィシャルサイト http://www.danaleong.com/