今月の音遊人
今月の音遊人:伊藤千晃さん「浜崎あゆみさんの『SURREAL』は私の青春曲。今聴くとそのころの記憶があふれ出ます」
5525views
ソロ活動を中心に、国内外のアーティストとの共演やプロデュース、楽曲提供など、精力的な音楽活動を展開するギタリスト、沖仁さん。フジテレビ系『ヨルタモリ』には、番組内のバー「ホワイトレインボー」の常連客として出演し、時にはセッションすることも。フラメンコギターというフィールドで活躍の幅を広げる沖さんが、フラメンコの魅力と今後の活動について語ってくれた。
音楽ジャンルや楽器の垣根をも超え、多彩なアーティストたちとコラボレーションしたアルバム『Dialogo』で「多くの刺激を受けた」という沖さん。今年春のツアーでは、大先輩のギタリスト、渡辺香津美さんとのデュオで全国を回った。
「ライブをするたびに新しい発見がありました。毎回『香津美さんが予想もしていないものを表現したい』と思いながらご一緒させていただきました」
メジャーデビューから約10年。「自分の求めていたものはこれだ」と思って形にして、「まだ何かが足りない」と新たな模索を始める。それは、フラメンコギターが伴奏楽器だから。
「そこを掘り下げることは不可欠ですが、もともとソリストになりたくて音楽活動を始めたので、ソロを追求したいという思いがあります。それがどういう形で結実するのかを探っているところですね」
「時空が歪むくらい、ものすごく時間が凝縮されているように感じる」という本場のフラメンコ。たとえば手拍子だけを演奏するパルメーロは、「野性動物が狩りをするかのような鋭さと真剣さと集中力で、1拍を叩く狭い幅を狙いすましている」という。
「自分の中にないはずの音楽だけれど、すごく感じるものがあって、どんどん惹かれていくうちに逃げ出せなくなっていました(笑)」
そんなフラメンコの世界に自分のルーツを重ねながら、聴き手もまた、沖さんと一緒に新しい音楽の形を見つける旅をしているのかもしれない。2015年7月4日(土)にヤマハホールで行われる「沖仁 フラメンコギターコンサート」は早々にチケットが完売。ファンの熱気の高まりが感じられる。
多くの出会いから、「フラメンコにしかないもの、フラメンコギターのルーツみたいなものが強みではないか」と見えてきた。「他のギターでは絶対に出せない音、どこか土臭い音を大事にしたい」と力を込める。それを表現するのが、ずっと弾き続けてきたヤマハのフラメンコギター「FC50」だ。
「すごく『フラメンコな音』がするんです。ちょっと生々しくて乾いた音、土の香りのする音です。同時に現代性も持っているので、あらゆる音楽にマッチすると思います」
ギターには「自分の身体の一部になってほしい」と考える沖さんが「ピタッとはまっている」というFC50。これからもこの相棒と、他の誰もたどり着けない、ソロギターの世界を生み出していくのだろう。今後の活躍がますます楽しみだ。
沖仁 con 渡辺香津美
・日時:2015年6月22日(月)開場18:30/開演19:00
場所:長崎・長崎県美術館(エントランスロビー)
・日時:2015年6月23日(火)開場18:30/開演19:00
場所:福岡・Gate’s7
沖仁 CONCERT TOUR 2015「Guitarra Flamenca」
・日時:2015年11月20日(金)開場18:00/開演18:30
場所:大阪・サンケイホールブリーゼ
・日時:2015年11月21日(土)【1st】開場16:00/開演17:00【2nd】開場19:00/開演20:00
場所:愛知・名古屋ブルーノート
・日時:2015年11月25日(水)開場18:00/開演18:30
場所:東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール