Web音遊人(みゅーじん)

村松崇継

音楽の楽しさをエンターテインメントとして楽しんでほしい「コンサートツアー Piano Sings 2023」/村松崇継インタビュー

作曲家として数多くの映像作品の音楽を担当している村松崇継。その活動と並行して、コンポーザーピアニストとしてステージにも立ち続けている。バラエティに富んだ音楽の魅力を届けたいというコンサートへの意気込みを聞いた。

自由気ままなセッションの経験で培われた礎

1996年にオリジナルピアノソロアルバム『窓』でデビューして以来、コンポーザーピアニストとして数多くの映画作品やテレビドラマ、舞台やミュージカルなどの音楽を手がけてきた村松崇継。2023年だけをみても、Netflix映画『クレイジークルーズ』の劇伴やテレビドラマ『この素晴らしき世界』の音楽を手がけ、第90回NHK全国学校音楽コンクール小学校の部課題曲の作曲、そして村松自身初となる演歌歌謡界への楽曲提供など、活動はとどまることがない。その多才ぶりに驚くばかりだが、本人は「そもそも僕があらゆるジャンルの音楽が好きなので」と照れたように笑う。
「ピアノを始めて以来、愛してやまないのはクラシックで、自分の基礎になっていると思います。そこからジャズやポップスが大好きになりましたし、J-POPももちろん聴いてきました。それに、子ども時代を“唯一のイベントが神社のお祭り”のような田舎で過ごしたからか日本の伝統楽器も好きなんです。演歌も聴きますから、今回山内惠介さんに曲を書かせていただいた時も本当に楽しかったです」
このしなやかさを、学生時代を過ごした国立音楽大学での経験が支えている。
「当時の大学での講義は音楽史や現代音楽についてなど、アカデミックな内容がメインでしたが、他学科の学生たちと毎日のようにセッションを重ねたことは、とてもいい勉強になりました」
というのも、大学の授業以外の課外活動で、ある時はゴスペルのサークルに出向いてピアノを弾き、ある時はビッグバンドとともに演奏を楽しみ、ある時は吹奏楽の指揮を担当し……と、まさに百戦錬磨だったのだそう。
「まず『何か面白いことやりたい奴は集まって!』というところから始まるんです。教本も何もない、耳コピでもとにかくやってみる。クラシックの基礎をしっかりと学ぶのと同時に、友達と自由気ままにセッションしながら得たものが今の僕の礎になっていると思います」

村松崇継

自らの感性から生まれた音楽を届ける

作曲家として精力的な活動を続けながら、同様に大切にしているのが「コンポーザーピアニスト」としてのステージである。2023年10月からの開催が決定した「村松崇継 コンサートツアー Piano Sings 2023」でも、村松崇継サウンドの世界観を思う存分楽しめそうだ。
「脚本や演出家、監督の意図に沿いながら多種多様なジャンルの音楽を形にして作品づくりに携われるという意味で、フィルムスコアリングや劇伴は僕に向いていると思いますし、そこをベースにしている部分もあります。その一方で“自分自身の感性から生まれた村松崇継としての音楽”を軸に据えたものを皆さんにお届けしたいという想いから、今年もコンサートを開催します」
具体的な内容は検討中ということだが、オリジナル曲を中心に最近の提供楽曲やスタジオジブリ作品『思い出のマーニー』の楽曲、幅広い層から人気の『いのちの歌』なども予定されている。
「皆さんがご存知の曲から、クラシックやジャズなど、いろいろ聴いていただきたいですね。年齢を重ねることで考え方や音楽性が自然と変化しているので、2023年最新版の村松崇継をご披露できればと考えています」

ヤマハのピアノはフレンドリー

5歳の頃に通い始めたヤマハ音楽教室で初めてピアノに触れたという村松。それ以来、コンサートや日常の練習の際にはヤマハのピアノを弾く機会が多いそうだ。
「ヤマハのピアノはとにかくフレンドリーなんですよね。1~2曲弾いているうちに友達になれるというか、『一緒に楽しもうよ!』と誘われるような明るさがあるんです。たとえこちらの気持ちが少々落ち込んでいても『よし、頑張ろう』というところまで持ち上げてくれる。どんなジャンルもバランスよく弾ける柔軟性も魅力で、コンサートでさまざまな楽曲を演奏する僕にはぴったりです」
相棒とも呼べるピアノとのコンサートでは音楽の楽しさをエンターテインメントとして見せられたらと話す。
「楽曲のジャンルの幅が広いコンサートですから、普段はクラシックしか聴かない、ポップスしか聴かない、といった方にも楽しんでいただける内容になると思います。バラエティに富んだ音楽の魅力をお届けできるよう準備していますので、ぜひお越しください」

■村松崇継 コンサートツアー Piano Sings 2023

10月22日(日):浜離宮朝日ホール(東京都) 
10月29日(日):新発田市民文化会館(新潟県)
12月15日(金):東大阪市文化創造館ジャートーハーモニー小ホール(大阪府)
公演の詳細はこちら

photo/ 宮地たか子

本ウェブサイト上に掲載されている文章・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

facebook

twitter

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:小林愛実さん「理想の音を追い求め、一音一音紡いでいます」

16808views

樫本大進、キリル・ゲルシュタイン

音楽ライターの眼

初共演にして、火花散るようにエキサイティングな一夜/樫本大進&キリル・ゲルシュタイン プレミアム・コンサート

4953views

P-515

楽器探訪 Anothertake

ポータブルタイプの電子ピアノ「Pシリーズ」に、リアルなタッチ感が得られる木製鍵盤を搭載したモデルが登場!

33593views

楽器のあれこれQ&A

目指せ上達!アコースティックギター初心者の練習方法とお悩み解決

101020views

脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

10875views

弦楽器の調整や修理をする職人インタビュー(前編)

オトノ仕事人

見えないところこそ気を付けて心を配る/弦楽器の調整や修理をする職人(後編)

8443views

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

ホール自慢を聞きましょう

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

9264views

こどもと楽しむMusicナビ

クラシックコンサートにバレエ、人形劇、演劇……好きな演目で劇場デビューする夏休み!/『日生劇場ファミリーフェスティヴァル』

6984views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

23461views

上海ブラスバンド日本支部

われら音遊人

われら音遊人:上海で生まれた縁が続く大家族のようなブラスバンド

2596views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

6897views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

26118views

バイオリニスト石田泰尚が アルトサクソフォンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】バイオリニスト石田泰尚がアルトサクソフォンに挑戦!

12907views

ギター文化館

楽器博物館探訪

19世紀スペインの至宝級ギターを所蔵する「ギター文化館」

15182views

音楽ライターの眼

連載13[ジャズ事始め]なぜ上海は“ジャズの揺りかご”となったのか?

3556views

小林洋平

オトノ仕事人

感情や事象を音楽で描写し、映画の世界へと観る人を引き込む/フィルムコンポーザーの仕事

2330views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

5752views

CP88/73 Series

楽器探訪 Anothertake

ステージで際立つ音色とシンプルな操作性で奏者をサポート!最高のライブパフォーマンスをかなえるステージピアノ「CP88」「CP73」

16304views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

21602views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

8625views

楽器のあれこれQ&A

モチベーションがアップ!ピアノを楽しく効率的に練習するコツ

41756views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

9053views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10371views