Web音遊人(みゅーじん)

Seiko All Stars

ミュージシャンたちの熱気がダイレクトに伝わってくるジャズライブ「ヤマハ銀座サマー・ジャズ・ライブ~Seiko Summer Jazz Camp All Stars~」

世界中で活躍する講師が集まり、若い奏者を指導する「Seiko Summer Jazz Camp」。講師陣たちによるスペシャルライブ「Seiko Summer Jazz Camp All Stars」が、2025年もヤマハ銀座スタジオで行われる。プロデューサーの佐々智樹さんに聴きどころをうかがった。

ジャズのレガシーと革新は伝統に根付いている

「かつて、ウィントン・マルサリスがシーンに登場したとき、彼はバンドのメンバーにもスーツ姿でステージに立つことを求めたんですよね。パリっとした白いシャツに、ダーク系のスーツとネクタイ。それはアート・ブレイキーに代表される、モダン・ジャズ最盛期のジャズ・ミュージシャンたちの“正装”なんです。フュージョン・ジャズが全盛の時代になるとラフな格好で演奏されることも多かった中で、ジャズの伝統を大切にする気持ちを、サウンドだけでなくビジュアルにも込めたわけです」
佐々さんがジャズの魅力に目覚めたころに絶大な人気を誇っていたのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ。強靭なリズム・セクションに、分厚くて躍動感あふれるホーン隊が乗るスタイルは、いまやモダン・ジャズの伝統ともいえるもの。ジャズを志す若いミュージシャンや、新しいジャズのリスナーにもこの“熱さ”を感じてもらいたい、というのが佐々さんの願いだ。
「今年の『Seiko Summer Jazz Camp』のテーマは、“Legacy and innovation are rooted in tradition”です。“ジャズの遺産と革新は伝統に根ざしている”というような意味で、講師リーダーを務めるマイケル・ディーズ(Tb)と相談して決めました。ジャズは進化し続けている音楽ですが、そこには常にジャズの伝統に対するリスペクトがあるんですよね」
佐々さんがプロデュースする「Seiko Summer Jazz Camp」のコンセプトは、まさに伝統を重視したジャズの教育。これまでもジャズのリズムや、ルーツであるブルースなど、ジャズの本質に深く関わるテーマを掲げて実施してきた。もちろん、講師陣もその基本理念に共感するミュージシャンたちであり、彼らが毎年出演しているコンサート「Seiko Summer Jazz Camp All Stars」は、「Seiko Summer Jazz Camp」のコンセプトを体現するような、ジャズの真髄が楽しめる貴重な機会なのである。
「ヤマハ銀座スタジオはミュージシャンたちの熱気がダイレクトに伝わってくる会場なので、ぜひチェックしてほしいですね。毎年チケットが完売するのも早いんですよ」

※ドラマーのアート・ブレイキー(1919~1990)がリーダーを務めたバンド。若手奏者を積極的に起用し、リー・モーガン(Tp)やウィントン・マルサリス(Tp)をはじめ、長い活動期間の中で多くのスターを輩出した。


Seiko All Stars-“Seiko Time”/Seiko Summer Jazz Camp 2019
“Seiko Time”は、「Seiko Summer Jazz Camp」のために講師が作ったオリジナルソング。

“若き巨匠”をはじめ3人の新メンバーが参加

マイケル・ディーズを筆頭に、「Seiko Summer Jazz Camp」の講師陣が一堂にそろう本公演。2025年は、初登場のミュージシャンが3人というフレッシュな顔ぶれで行われることになった。その3人について、佐々さんのコメントを交えながら紹介していこう。
まずは、ピアノのダン・ニマー。ウィントン・マルサリスのバンドをはじめ、シーンのまさに最前線で活躍する“若き巨匠”である。
「実は彼がデビューしたてのころから知っているのですが、瞬く間にどんどん有名になってしまって(笑)。日本でもCDをたくさんリリースしていますし、非常に人気のあるピアニストです。そんな彼が『Seiko Summer Jazz Camp』に参加してくださることになって、本当に光栄です。レッスンにもいい影響をおよぼしてくれると期待しています」
ギターのジョセリン・グールドは母国カナダの音楽賞であるジュノー賞の受賞やノミネートの経歴をもち、アメリカでも注目を集める若手ギタリストだ。今回が初来日となる。
「彼女はさまざまな学校で後進の指導にあたっていて、ミュージシャンとしてだけではなく教育者としても注目されているんです。このことは私たちにとって非常に大きなポイントなので、今回参加していただくこととなりました」
そして、アリシア・オラトゥージャは、ジャズをベースにブルースやゴスペル、ポップスの世界でも活躍するマルチなボーカリスト。オペラの教育も受けている。
「黒人のルーツに根ざした音楽を深く追究しつつマルチな活動を展開する一方で、彼女もジョセリン・グールド同様、指導者として活躍しています。また、ジョセリンとアリシアはほかのメンバーとも共演経験があるので、いい雰囲気の中でレッスンもコンサートも行えると思っています」

超強力なリズム・セクションに注目!

もちろん、2024年から引き続き参加するメンバーも強力だ。講師リーダーのマイケル・ディーズ(Tb)、ディエゴ・リヴェラ(Ts)、ベニー・べナックⅢ(Tp & Vo)、中村恭士(B)、クインシー・デイヴィス(Dr)というラインアップ。特に、2024年から復帰した中村と、クインシー・デイヴィス、ダン・ニマーによる強力なリズム・セクションは佐々さん自身も楽しみで仕方ないという。
「いまやニューヨークのファースト・コール・ベーシストとなった中村さんが『Seiko Summer Jazz Camp』に戻ってきてくださって、本当にうれしいです。彼の存在感ある太いベースと素晴らしいリズムを目の前で感じてください。ダン・ニマーやクインシー・デイヴィスとのコンビネーションにも注目ですよ」
出演するメンバー全員がスーツにネクタイ……ではないかもしれないが、彼らのスピリットはまさに“正装”そのもののはず。ジャズの伝統をリスペクトしつつ、アメリカの最新トレンドも垣間見られるような演奏が楽しめるに違いない。
「オーディエンスのみなさんからは『本場直送のジャズが聴けてうれしい』という声を多くいただきます。ストレートアヘッドでホットなジャズをお届けしますので、ぜひお越しください。先ほども申しあげましたが、ヤマハ銀座スタジオはミュージシャンのエネルギーがステージからダイレクトに届きます。ジャズの興奮を、肌で感じてもらえたらうれしいです」
2025年も、真夏の銀座をジャズのエネルギーがさらに熱くする。

■ヤマハ銀座サマー・ジャズ・ライブ
~Seiko Summer Jazz Camp All Stars~

日時:2025年8月6日(水)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハ銀座スタジオ(東京都中央区銀座7-9-14 地下2F)
料金:5,000円(税込)
出演:マイケル・ディーズ(Tb)/ディエゴ・リヴェラ(Ts)/ベニー・べナックⅢ(Tp & Vo)/ダン・ニマー(Pf)/ジョセリン・グールド(G & Vo)/中村恭士(B)/クインシー・デイヴィス(Dr)/アリシア・オラトゥージャ(Vo)
サマージャズライブの詳細はこちら(Seiko Summer Jazz Campサイト)

特集

神保彰

今月の音遊人

今月の音遊人:神保彰さん「音楽によって、人生に大きな広がりを獲得できたと思います」

13593views

音楽ライターの眼

緑豊かな古都のホールで上質なクラシックのコンサートに耳を傾ける

4024views

楽器探訪 Anothertake

人気トランペッターのエリック・ミヤシロがヤマハとタッグを組んだ、トランペットのシグネチャーモデル「YTR-8330EM」

6587views

楽器のあれこれQ&A

モチベーションがアップ!ピアノを楽しく効率的に練習するコツ

42928views

桑原あい

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若きジャズピアニスト桑原あいがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

16419views

楽器博物館の学芸員の仕事 Web音遊人

オトノ仕事人

わかりやすい言葉で、知られざる楽器の魅力を伝えたい/楽器博物館の学芸員の仕事(後編)

9450views

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

ホール自慢を聞きましょう

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

10471views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

7475views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

26141views

横浜レンタル倉庫(YRS)

われら音遊人

われら音遊人:目指すはフェス! 楽しみ、楽しませ、さらなる高みへ

2474views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

贅沢な、サクソフォン初期設定講習会

5955views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

27272views

おとなの楽器練習記:岩崎洵奈

おとなの楽器練習記

【動画公開中】将来を嘱望される実力派ピアニスト、岩崎洵奈がアルトサクソフォンに初挑戦!

12487views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

11056views

音楽ライターの眼

2020年2月、トニー・ハドリーが来日。スパンダー・バレエの名曲の数々を歌う/2020年2月23日、ビルボードライブ東京

9720views

JTBロイヤルロード銀座

オトノ仕事人

日本では出逢えない海外の音楽体験ツアーを楽しんでいただく/海外への音楽旅行の企画の仕事

7771views

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

われら音遊人

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

11846views

懐かしのピアニカを振り返る

楽器探訪 Anothertake

懐かしのピアニカを振り返る

19238views

秋田ミルハス

ホール自慢を聞きましょう

“秋田”の魅力が満載/あきた芸術劇場ミルハス

6848views

山口正介 Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

マウスピースの抵抗?音切れ?まだまだ知りたいことが出てくる、そこが面白い

6354views

エレキベース

楽器のあれこれQ&A

エレキベースを始める前に知りたい5つの基本

8372views

こどもと楽しむMusicナビ

サービス精神いっぱいの手作りフェスティバル/日本フィル 春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」

10773views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

27272views