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今月の音遊人:神保彰さん「音楽によって、人生に大きな広がりを獲得できたと思います」
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ミュージシャンたちの熱気がダイレクトに伝わってくるジャズライブ「ヤマハ銀座サマー・ジャズ・ライブ~Seiko Summer Jazz Camp All Stars~」
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2025.6.27
tagged: ヤマハ銀座サマー・ジャズ・ライブ, ヤマハ銀座スタジオ, Seiko Summer Jazz Camp, Seiko Summer Jazz Camp ALL STARS
世界中で活躍する講師が集まり、若い奏者を指導する「Seiko Summer Jazz Camp」。講師陣たちによるスペシャルライブ「Seiko Summer Jazz Camp All Stars」が、2025年もヤマハ銀座スタジオで行われる。プロデューサーの佐々智樹さんに聴きどころをうかがった。
「かつて、ウィントン・マルサリスがシーンに登場したとき、彼はバンドのメンバーにもスーツ姿でステージに立つことを求めたんですよね。パリっとした白いシャツに、ダーク系のスーツとネクタイ。それはアート・ブレイキーに代表される、モダン・ジャズ最盛期のジャズ・ミュージシャンたちの“正装”なんです。フュージョン・ジャズが全盛の時代になるとラフな格好で演奏されることも多かった中で、ジャズの伝統を大切にする気持ちを、サウンドだけでなくビジュアルにも込めたわけです」
佐々さんがジャズの魅力に目覚めたころに絶大な人気を誇っていたのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ※。強靭なリズム・セクションに、分厚くて躍動感あふれるホーン隊が乗るスタイルは、いまやモダン・ジャズの伝統ともいえるもの。ジャズを志す若いミュージシャンや、新しいジャズのリスナーにもこの“熱さ”を感じてもらいたい、というのが佐々さんの願いだ。
「今年の『Seiko Summer Jazz Camp』のテーマは、“Legacy and innovation are rooted in tradition”です。“ジャズの遺産と革新は伝統に根ざしている”というような意味で、講師リーダーを務めるマイケル・ディーズ(Tb)と相談して決めました。ジャズは進化し続けている音楽ですが、そこには常にジャズの伝統に対するリスペクトがあるんですよね」
佐々さんがプロデュースする「Seiko Summer Jazz Camp」のコンセプトは、まさに伝統を重視したジャズの教育。これまでもジャズのリズムや、ルーツであるブルースなど、ジャズの本質に深く関わるテーマを掲げて実施してきた。もちろん、講師陣もその基本理念に共感するミュージシャンたちであり、彼らが毎年出演しているコンサート「Seiko Summer Jazz Camp All Stars」は、「Seiko Summer Jazz Camp」のコンセプトを体現するような、ジャズの真髄が楽しめる貴重な機会なのである。
「ヤマハ銀座スタジオはミュージシャンたちの熱気がダイレクトに伝わってくる会場なので、ぜひチェックしてほしいですね。毎年チケットが完売するのも早いんですよ」
※ドラマーのアート・ブレイキー(1919~1990)がリーダーを務めたバンド。若手奏者を積極的に起用し、リー・モーガン(Tp)やウィントン・マルサリス(Tp)をはじめ、長い活動期間の中で多くのスターを輩出した。
マイケル・ディーズを筆頭に、「Seiko Summer Jazz Camp」の講師陣が一堂にそろう本公演。2025年は、初登場のミュージシャンが3人というフレッシュな顔ぶれで行われることになった。その3人について、佐々さんのコメントを交えながら紹介していこう。
まずは、ピアノのダン・ニマー。ウィントン・マルサリスのバンドをはじめ、シーンのまさに最前線で活躍する“若き巨匠”である。
「実は彼がデビューしたてのころから知っているのですが、瞬く間にどんどん有名になってしまって(笑)。日本でもCDをたくさんリリースしていますし、非常に人気のあるピアニストです。そんな彼が『Seiko Summer Jazz Camp』に参加してくださることになって、本当に光栄です。レッスンにもいい影響をおよぼしてくれると期待しています」
ギターのジョセリン・グールドは母国カナダの音楽賞であるジュノー賞の受賞やノミネートの経歴をもち、アメリカでも注目を集める若手ギタリストだ。今回が初来日となる。
「彼女はさまざまな学校で後進の指導にあたっていて、ミュージシャンとしてだけではなく教育者としても注目されているんです。このことは私たちにとって非常に大きなポイントなので、今回参加していただくこととなりました」
そして、アリシア・オラトゥージャは、ジャズをベースにブルースやゴスペル、ポップスの世界でも活躍するマルチなボーカリスト。オペラの教育も受けている。
「黒人のルーツに根ざした音楽を深く追究しつつマルチな活動を展開する一方で、彼女もジョセリン・グールド同様、指導者として活躍しています。また、ジョセリンとアリシアはほかのメンバーとも共演経験があるので、いい雰囲気の中でレッスンもコンサートも行えると思っています」
もちろん、2024年から引き続き参加するメンバーも強力だ。講師リーダーのマイケル・ディーズ(Tb)、ディエゴ・リヴェラ(Ts)、ベニー・べナックⅢ(Tp & Vo)、中村恭士(B)、クインシー・デイヴィス(Dr)というラインアップ。特に、2024年から復帰した中村と、クインシー・デイヴィス、ダン・ニマーによる強力なリズム・セクションは佐々さん自身も楽しみで仕方ないという。
「いまやニューヨークのファースト・コール・ベーシストとなった中村さんが『Seiko Summer Jazz Camp』に戻ってきてくださって、本当にうれしいです。彼の存在感ある太いベースと素晴らしいリズムを目の前で感じてください。ダン・ニマーやクインシー・デイヴィスとのコンビネーションにも注目ですよ」
出演するメンバー全員がスーツにネクタイ……ではないかもしれないが、彼らのスピリットはまさに“正装”そのもののはず。ジャズの伝統をリスペクトしつつ、アメリカの最新トレンドも垣間見られるような演奏が楽しめるに違いない。
「オーディエンスのみなさんからは『本場直送のジャズが聴けてうれしい』という声を多くいただきます。ストレートアヘッドでホットなジャズをお届けしますので、ぜひお越しください。先ほども申しあげましたが、ヤマハ銀座スタジオはミュージシャンのエネルギーがステージからダイレクトに届きます。ジャズの興奮を、肌で感じてもらえたらうれしいです」
2025年も、真夏の銀座をジャズのエネルギーがさらに熱くする。
日時:2025年8月6日(水)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハ銀座スタジオ(東京都中央区銀座7-9-14 地下2F)
料金:5,000円(税込)
出演:マイケル・ディーズ(Tb)/ディエゴ・リヴェラ(Ts)/ベニー・べナックⅢ(Tp & Vo)/ダン・ニマー(Pf)/ジョセリン・グールド(G & Vo)/中村恭士(B)/クインシー・デイヴィス(Dr)/アリシア・オラトゥージャ(Vo)
サマージャズライブの詳細はこちら(Seiko Summer Jazz Campサイト)
文/ 山﨑隆一
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