今月の音遊人
今月の音遊人:諏訪内晶子さん「音楽の素晴らしさは、人生が熟した時にそれを音で奏でられることです」
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“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街
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2019.2.4
tagged: 東京交響楽団, 子どもたちと芸術家の出あう街, こどもと楽しむMusicナビ
アートを通じて子どもにいろいろな体験をさせてあげたいと願うお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。大迫力のオーケストラ・コンサートを聴いたり、好きな楽器を手に取って触ってみたり、バレエやダンスで身体表現をしてみたり……そんな体験が1日でできてしまうイベントが「子どもたちと芸術家の出あう街」。毎年、池袋の東京芸術劇場で開催されているコンサート&ワークショップです。
東京都内の4つのオーケストラ(東京交響楽団/日本フィルハーモニー交響楽団/新日本フィルハーモニー交響楽団/東京フィルハーモニー交響楽団)が、1年ごとに交代で登場するこのイベント。15回目を迎える2019年は、東京交響楽団が企画・制作・出演するとのことで、同団のスタッフにお話を伺いました。
「東京交響楽団が担当するのは4年ぶり、4回目となります。それぞれのオーケストラのカラーが出る形で企画しているので、毎年違って面白いですよ。どのオーケストラも、前の年にほかの団がやっているのを見て、“うちの団はもっとこうしよう” “こんなワークショップをやろう”とヴァージョンアップしていくのでしょうね。年を重ねるにつれ多彩に、盛りだくさんになっています」(桐原美砂さん)
今回は、東京交響楽団によるオーケストラ・コンサートに「オーケストラのイキモノ大図鑑」、ワークショップに「アートなイキモノ大図鑑」というタイトルがつけられています。イキモノ大図鑑なんて、子どもならずともワクワクしますよね。
「子どもって図鑑が大好きですよね。巷では『ざんねんないきもの事典』がベストセラーになっていますが、『子どもたちと芸術家の出あう街』では、オーケストラの楽員や、ワークショップを担当するアーティストたちを“アートなイキモノ”と称し、“ちょっとへんてこに見えるけど、じつはこんなすごい特技を持っているんだよ”とか、“こんな素敵な秘密があるんだよ”といったことを、子どもたちが発見できる場であってほしいと考えました。音楽家もダンサーも造形作家も、あらゆるジャンルの“アートなイキモノ”に出会って、彼らが発するエネルギーを感じてもらえたらいいなと」(桐原さん)
オーケストラ・コンサートは4歳から入場可。同じ時間帯に「0歳からのコンサート」も開催されるので、お母さんがお兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒にオーケストラ・コンサートに行っている間、お父さんは赤ちゃんを連れて「0歳からのコンサート」を聴くといったこともできます。
「『0歳からのコンサート』は大人気で、会場が小さいということもあり、すぐに完売してしまいました。オーケストラ・コンサートがターゲットとしている年齢は、基本的に小学校低学年ぐらいですが、近年は未就学児のコンサートへのニーズが高まっていますし、幼稚園に通う4歳ぐらいのタイミングでオーケストラ体験デビューをさせたいと思う親御さんも多いのではないでしょうか」(桐原さん)
もちろんプログラミングも考え抜かれたもの。オーケストラ・コンサートの前半から「梅田博士の子どもオーケストラ相談室」「テューバのタビーの物語」など、楽しそうな内容が盛りだくさんです。
「『梅田博士の子どもオーケストラ相談室』は、指揮の梅田俊明さんを“博士”、ナビゲーターの野口綾子さんを“研究員”に見立て、子どもたちから事前に募集したオーケストラに関する質問や疑問に答えるというコーナーです。アウトリーチ活動などで小学校を訪問して演奏すると、子どもたちからユニークな質問がたくさん飛んできます。たとえば、“楽器の値段と何歳から楽器をはじめたか”は必ず聞かれる鉄板(笑)。あとは“バッハとかベートーヴェンとかの中でいちばん偉いのは誰ですか?”といった素朴な疑問も。ただいま質問を絶賛募集中ですので、どしどしお寄せください! それから『テューバのタビーの物語』はナレーションが入った音楽物語。チューニングからはじまり、オーケストラの楽器が次から次へと登場します」(美濃部敦さん)
続く後半では、ボロディンの『だったん人の踊り』に歌と踊りで参加できるとのこと。最後はラヴェルの『ボレロ』でカッコよく締めとなります。
「前半はオーケストラを構成する楽器やプレイヤーをフィーチャーしながら、イキモノ図鑑を1ページずつめくっていくような内容になっていますが、後半はオーケストラ全体について、あるいは音楽ってどういうものかについて知っていただくような大きなテーマでお届けします。たとえば『だったん人の踊り』では、曲の中にある歌の要素や踊りの要素を取り出して、一緒に声を出したり身体を動かしたりしながら、オーケストラとの一体感を感じていただいたり。気づいたらオーケストラの一員になっていた……ステージと客席とがそんなインタラクティヴな関係になれるのが理想ですね」(桐原さん)
「『ボレロ』はコンサートの総まとめ。いろいろな楽器が次々に登場して同じメロディを奏でていくので、“あ、さっき出てきた楽器だ!”と前半の復習にもなりますし、後半でオーケストラの音の作り方や仕組みを体験していれば、また違った聴こえ方になるのではないかと思います」(美濃部さん)
そして「子どもたちと芸術家の出あう街」の大きな特徴は、コンサートと同じ熱量で企画されているワークショップの数々。好きな楽器を実際に触って音を出すことができる楽器体験をはじめ、音楽の秘密を紐解く音遊び、手作り楽器教室、バレエやダンス体験、工作、雅楽や書道まで、多種多様なアートを体験できます。
※ワークショップは事前申込み制、2018年12月21日受付終了
「その年に担当するオーケストラによってワークショップの内容は変わりますが、毎年恒例の人気企画も。雅楽演奏グループの伶楽舎(れいがくしゃ)さんに指導していただいている雅楽ワークショップでは、お正月の初詣に行くと流れている“越天楽”が歌えるようになるんですよ。なにかを作るワークショップでも、ただ用意されたキットを組み立てるのではなく、アーティストとして活動されている講師の方と触れ合い、彼らの技の一端を見たり、自分で試してみたりしながら、自分の表現を見つけるというところを大切にしたいと思っています」(桐原さん)
当日参加可能なワークショップやミニライブも開催されるとのこと。ぜひお子さんと一緒に、“アートなイキモノ”に触れる1日を過ごしてみてはいかがですか?
【なぜ?なに?オーケストラ研究所】子どもたちからの質問を大募集!
オーケストラについて、楽器について、音楽家についてのなぜ?なに?どうして?知りたい!などの質問を大募集。みなさんからのご質問、お待ちしています!
日時:2019年2月11日(月・祝)15:00開演(14:15開場)
会場:東京芸術劇場 コンサートホール(東京・池袋)
指揮:梅田俊明 ナビゲーター:野口綾子 チューバ:渡辺功
料金:S席 大人4,000円 子ども2,000円/A席 大人3,000円 子ども1,500円/B席 大人2,000円 子ども1,000円
※いずれも全席指定、税込
※子ども:4歳~高校生
※3歳以下のお子様はご入場いただけません