Web音遊人(みゅーじん)

存在感がありながら他の楽器となじむシンフォニックなサウンドが光る、Xeno(ゼノ)トロンボーンの最上位モデル

オーケストラのトップ奏者が監修を担当

「テナーバストロンボーン『YSL-825/YSL-825G』は、ヤマハのカスタムトロンボーン『Xeno(ゼノ)』の最上位モデルで、読売日本交響楽団の首席奏者である桒田晃(くわた・あきら)さんと共に、約10年かけて開発を行いました。桒田さんにオーケストラの本番で何度も試奏いただき、時間をかけて改良、調整を加えました」。そう語るのは、開発担当の金剛明彦さん。

開発初期、試行錯誤したというのが、奏者の息の流れを切り替える「バルブ」の構造と「F管」の形状。F管とは低音域を拡張するための管で、B管のテナートロンボーンに、F管を装着したのがテナーバストロンボーンです。F管の形状にはさまざまなものがありますが、「YSL-825/YSL-825G」は、バルブの出入り口で管が交差する珍しい形状になっています。
「F管の形状からすると息の抵抗が強そうに見えるかもしれませんが、予想を裏切るフリーな吹奏感がこのモデルの特徴です。試奏すると思ったよりスムーズに息が入るので、みなさん驚かれるようです」と、マーケティング担当の加藤平祐さん。

F管が上下に交差する構造は、他のモデルでは見られないもの。「YSL-825/YSL-825G」を象徴するデザイン要素でもある。バルブは心地良い吹奏感を生む構造、素材の組み合わせになっている。

F管の出入り口が交差する構造は、主管とF管の息の流れを同じにする意図もあります。通常、F管の息の流れは主管と逆方向なことが多いですが、「YSL-825/YSL-825G」では同方向にすることで、より自然で、スムーズな吹奏感を実現しています。
「楽器の構造的に、息の流れの方向に優劣はないと思います。また、吹奏感を左右するのは息の流れだけではありません。ただ『YSL-825/YSL-825G』の場合は、主管とF管の息の流れを同方向にすることで、結果的に、主管で吹くときも、F管に管を延ばしたときも同様の吹奏感を実現でき、吹きやすさにつながっていると思います」(金剛さん)

主管とF管の息の流れが同方向になる設計を採用。バルブを切り替えても吹奏感が変わらないため、奏者は演奏に集中できる。

異素材の組み合わせがかなえるシンフォニックサウンド

「YSL-825/YSL-825G」は、異なる素材を組み合わせたハイブリッドモデルであることも特徴。「ベル」と「主管・F管の抜差管」で素材を変え、それぞれの素材が持つ特性をバランスよく生かすことで、豊かで、ほかの楽器ともなじみやすい音、響きになっています。

また、Xeno(ゼノ)としてはじめて、ゴールドブラスのスライドを採用。開発の途中でイエローブラスからゴールドブラスに変えたことが、「YSL-825/YSL-825G」を進化させたといいます。
「スライドの素材を思い切って変えてみたことで、特に奏者自身が感じる音色、吹奏感が大きく変わり、楽器としての表現力が上がりました」(金剛さん)

改良ではなく、一から新しい楽器をつくる

「開発当初は、既存のモデルをベースに改良を重ねていましたが、どうしても納得のいくものができませんでした。そこで、開発協力プレイヤーである桒田さんのアドバイスもあり、ヤマハの管楽器のノウハウは生かしつつ、一から新しい楽器をつくろうという発想に変えたところ、これまでのゼノにはない吹奏感や響きを持つ『YSL-825/YSL-825G』が生まれました」と金剛さん。

(写真左)開発担当の金剛明彦さん。(写真右)マーケティング担当の加藤平祐さん。「YSL-825」と「YSL-825G」では音色のタイプが異なるため、吹き比べて、自分の音楽を表現できるほうを選んで欲しいと語る。

マーケティング担当の加藤さんによると、トロンボーンの基本形はB管のテナートロンボーンですが、近年は全ての音楽ジャンルにおいて、奏者の大半がテナーバストロンボーンを使っているのだとか。
「ジャズ系ではテナートロンボーンを愛用する方もいますが、低音域を出すのに便利なF管が付いたテナーバストロンボーンのほうが、より演奏性が高く、幅広い表現ができると考える奏者が多いようです。ヤマハのテナーバストロンボーンには多彩なモデルがありますが、『YSL-825/YSL-825G』は、より細かい音のコントロールを求める奏者のための楽器です。ぜひ一度試奏いただき、心地よいフリーな吹奏感をご体感ください」と加藤さん。

クライマックスの迫力ある重低音や、ピアニッシモで吹く繊細なメロディ、複数のパートによるユニゾンなど、幅広い表現、役割が求められるトロンボーン。存在感のある響きながら、ほかの楽器となじみがよいシンフォニックなサウンドの「YSL-825/YSL-825G」ならば、オーケストラ、アンサンブル、ソロと、幅広い編成で活躍してくれそうです。

■テナーバストロンボーンYSL-825/YSL-825G

高い次元において最高のパフォーマンスを求める奏者のために開発されたXeno最上位モデル
詳細はこちら

facebook

twitter

特集

LEO

今月の音遊人

今月の音遊人:LEOさん「音楽とは、言葉以上のメッセージを伝えられるものであり、喜びの原点です」

2164views

音楽ライターの眼

すでにAIの音楽は小説の世界を飛び出しているという現実

3325views

Pacifica

楽器探訪 Anothertake

「自分の音」に向かって没入できる演奏性と表現力/エレキギター「Pacifica」

1397views

大人のピアニカ

楽器のあれこれQ&A

「大人のピアニカ」の“大人”な特徴を教えて!

3740views

おとなの 楽器練習記 須藤千晴さん

おとなの楽器練習記

【動画公開中】国内外で演奏活動を展開するピアニスト須藤千晴が初めてのギターに挑戦!

8513views

打楽器の即興演奏を楽しむドラムサークルの普及に努める/ドラムサークルファシリテーターの仕事(前編)

オトノ仕事人

一期一会の音楽を生み出すガイド役/ドラムサークルファシリテーターの仕事(前編)

15510views

サントリーホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

クラシック音楽の殿堂として憧れのホールであり続ける/サントリーホール 大ホール

23092views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

7764views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

14274views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:音楽は和!ひとつになったときの達成感がいい

6048views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

もしもあのとき、バイオリンを習っていたら

5847views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10461views

大人の楽器練習機

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:世界的ピアニスト上原彩子がチェロ1日体験レッスン

17694views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

13266views

音楽ライターの眼

連載5[ジャズ事始め]日本にジャズが芽生えた大正前夜の音楽事情

6556views

カッティング・エンジニア

オトノ仕事人

レコードの生命線である音溝を刻む専門家/カッティング・エンジニアの仕事

3787views

上海ブラスバンド日本支部

われら音遊人

われら音遊人:上海で生まれた縁が続く大家族のようなブラスバンド

2690views

トランスアコースティックピアノ™

楽器探訪 Anothertake

音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」

4440views

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

ホール自慢を聞きましょう

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

14720views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

5701views

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ

楽器のあれこれQ&A

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ機種

27540views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

11099views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

31105views