Web音遊人(みゅーじん)

東京レインボープライド

誰もが自信をもって自分を表現し、輝ける職場と社会の実現のために~ヤマハとヤマハ発動機が「東京レインボープライド2023」に合同出展

2012年の初開催以来、コロナ禍においてもオフラインイベントをおこなうなど、途切れることなく続いてきた「東京レインボープライド」は、LGBTQをはじめとするセクシャル・マイノリティの存在を社会に広め、「“性”と“生”の多様性」を祝福するイベントだ。「変わるまで、続ける」をテーマに、2023年4月21日(金)22日(土)に代々木公園で開催される今回は、ヤマハ株式会社(以下、ヤマハ)とヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ発動機)による初の合同出展が決定している。

これを機会に新しい変化を起こしたい

ヤマハは、2021年から当イベントに協賛を続けてきたが、ヤマハ発動機と合同でのブース出展は今回が初めて。これは会社をまたぐ大きな試みと思えるが、意外にも最初はごくカジュアルなやり取りが発端だったそうだ 。ヤマハ発動機グローバル人事部のリ・セイライさん(以下、ライさん)がその時のことを振り返ってくれた。
「2022年末に若手担当者の交流会があったのですが、その場でヤマハの大原さんから東京レインボープライドに共同出展しませんか?と声をかけていただいたんです。ありがたいお誘いでしたから、ぜひとも実現させましょう! とすぐに動き始めました」
以前から両社はデザイン部門を軸とする合同イベントなどを開催してきた実績があるが、今回の共同出展実現へのスピード感とフットワークの軽さには驚かされる。この背景には、互いにLGBTQ+への取り組みに対する共通認識があったからだと、ヤマハ人事部グローバルHRグループの大原由起子さんは言う。
「ヤマハとしては2019年ごろからLGBTQ+の当事者の従業員の方への施策を数多く採用し、並行してLGBTQ+の方々の支援に社内外で取り組んできました。それに加えて、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進に対する関心が高まってきている今だからこそ、これまで続けてきた東京レインボープライドでの協賛活動をさらに意味のあるものにできる可能性を感じていたんです。東京レインボープライドはとても大きなイベントですし、この機会を通じてさらに新しい変化を起こしたいという私たちの思いも含めて、今回の合同出展が実現したのだと思います」

今後に向けた大きな第一歩に

ここ数年は「アライ(Straight Ally)」と呼ばれる、LGBTQ+の当事者の活動を支持し、支援する気持ちをあらわす人々も増えているが、今回の東京レインボープライドにボランティアスタッフとして参加するヤマハの社員たちにも、熱い想いがあるそうだ。
「自分に何かできることはないかとずっと考えていたという方や、当事者の方々を後押ししたいという方、現在の社会制度の問題解決に向けた一助になりたいという方など、さまざまな立場や考えで参加してくれていると実感します。もちろん、LGBTQ+の当事者として参加する方もいます。このイベントの企画自体が、異なるバックグランドを持った社員たちをつなぐ貴重な機会にもなっています。こうしたいろいろな活動を通じて、皆さんとコミュニケーションを取る中で直接のレスポンスをいただけることが、私自身の大きなやりがいにもつながっています」(大原さん)
一方のライさんは、今回の東京レインボープライドへの参加が同社の今後に向けた大きな一歩になるはずだと言う。
「イベントに参加する社員はもちろん、会社としてLGBTQ+への理解を深めるいい機会だと思っています。東京レインボープライドで生まれたつながりを元にしたコミュニティを立ち上げたいとも考えているので、これを機にいい流れをつくって仲間を増やしていきたいですね。また、今年から6月をプライド月間として特設サイトをオープンさせ、社内啓発を推進することになりました。LGBTQ+に関する課題解決をDE&Iのひとつの大きな焦点として取り組む一年にしたいと思っています」

東京レインボープライド

東京レインボープライドを通じて誰もが自信をもって自分を表現し、輝いてほしいという両社のメッセージ。

ありのままの自分で活躍できる環境づくりを

例年、さまざまな趣向を凝らした出展ブースが会場を虹色に彩り、来場者を楽しませている東京レインボープライド。先述のようにすでに合同ブランドを持ち、交流もあるヤマハとヤマハ発動機の出展ブースはどんなコンセプトになるのだろうか?
「“ひとつのヤマハ”というメッセージを伝えられたらと思っています。楽器やバイクなど両社製品を展示しますから、ぜひ実際に体験しながら楽しんでいただきたいです」(大原さん)
まずヤマハは、駅や空港、商業施設などに設置して“誰もが自由に弾けるピアノ”として人気を呼んでいるLovePiano® 1号機を展示。イラストレーター立川恵一さんと御茶ノ水美術専門学校の学生4名によってペイントされたピアノがブースに花を添える。この他にもギターとフルートが並ぶ予定だが、これら楽器のラインナップには社会的なジェンダー・ステレオタイプが反映されているそうだ。
「ギターは男性っぽい、ピアノやフルートは女性らしいといったイメージが強いとされているんですね。ボランティアスタッフにも、子ども時代にピアノを習いたかったけれど親御さんに『女の子の楽器だから』と止められた経験を持つという男性がいます。社会的な固定観念に囚われて自分の気持ちが萎縮してしまうのはとても残念なことですから、性別やアイデンティティにとらわれることなく音楽や楽器を楽しもう! というメッセージを発信したいと考えています」(大原さん)

LovePiano

LovePiano® 1号機

ヤマハ発動機は、ヤマハとの共同デザインプロジェクトから生まれた音を奏でる電動アシスト車いす「&Y(アンディ)01 」と、電動スクーター「E-Vino (イービーノ)」を展示する。
「弊社は多種多様な製品を生産していますし、それは人の多様性とも通じるものです。核となるキーワードは『Embracing Diversity』。“ダイバーシティ(多様性)はヤマハ発動機の心である”という思いを込めて、今回の展示をこの2製品に絞りました。また、どちらもレインボーカラーにデコレーションすることができるので、来場者の皆さんに自分の想いとクリエイティビティを表現していただきたいです。遊び心に満ちたヤマハ×ヤマハ発動機の体験型ブースに来て、触れて、描いて、ぜひ楽しんでください!」(ライさん)

東京レインボープライド

(写真左)音を奏でる電動アシスト車いす「&Y01」(写真右)電動スクーター「E-Vino」

「多様性」という言葉が身近になり、トレンドやブームをあらわす言葉のように感じられることもあるが、本来は、そうした一過性のものでは決してない。「多様性」とは、性別や年齢、国籍、価値観などさまざまな側面を受け入れて尊重するという、生活の根幹なのだ。

「LGBTQ+をはじめとする誰もが不安を感じることなく、自分らしく活躍できる環境を整えていきたい。これが、今回私たちが伝えたい一番のメッセージですね」(ライさん)
「音楽も、自分を表現しながら相手を受け入れるものであり、そのためにとても大切なもののひとつだと思っています。東京レインボープライドに来場される方々には、ぜひ“ありのままの自分”を発揮していただきたいですし、ポジティブな気持ちを実感できるようなイベントにしたいと思っています」(大原さん)

東京レインボープライド

両社のメッセージをデザインした、ヤマハブース来場者ノベルティのクラッパー。

■東京レインボープライド2023(TOKYO RAINBOW PRIDE 2023)

日付:2023年4月22日(土)〜4月23日(日)
場所 :東京都渋谷区代々木公園イベント広場、他協力施設や公共スペース
詳細はこちら

●プライドフェスティバル
日付:4月22日~23日(日)11:00〜18:00
場所:代々木公園イベント広場&野外ステージ
ヤマハブースの詳細はこちら

●プライドパレード
日付:4月23日(日)13:00スタート(予定)
場所:代々木公園、渋谷〜原宿
パレードの詳細はこちら

■企業の取り組み

ヤマハ株式会社
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
ヤマハ発動機株式会社
サステナビリティ(持続可能性への取り組み)

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